理想のチームプレーヤー

発刊
2020年6月26日
ページ数
308ページ
読了目安
315分
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組織にチームワークを根付かせるために必要なこと
優れたチームプレーヤーに欠かせない3つの要素を説明し、組織にチームワークを根付かせる方法を紹介している一冊。前半は、物語形式で、チームワークに必要なことを描いています。

チームプレーヤーに欠かせない3つの美徳

企業が成功するにあたっては、会社のカルチャーに合う社員を雇って確保することが重要である。これはシンプルで腑に落ちる考え方だが、なぜかしばしば見過ごされており、多くのリーダーが主に能力や実務のスキルをもとに採用を行なっている。

本気でチームワークを自社のカルチャーにしようと試みる組織にとって、その「適切な人」とは、次の3つの美徳を持った人である。

 

①謙虚

優れたチームプレーヤーには、過剰なエゴや上下関係のこだわりがない。周りの貢献はすぐに気づいて称え、自分へ注目を集めることには腰が重い。成果は分かち合い、自分よりチームを強調し、個人ではなく全体の成功と考える。そのため、謙虚さはチームプレーヤーにとって欠かせない最大の要素である。

謙虚さに欠けるタイプは基本的に2種類である、この2種類を知っておくことが特に重要である。

  1. 過剰に傲慢な人
    エゴに突き動かされ、怒りや分断や社内政治を生み出してチームワークを弱める。
  2. 自信に欠けているが他人に寛大でポジティブな人
    自分の能力や貢献を低く見積もる傾向にあるため、周りはその人が謙虚だと勘違いしてしまう。自分の価値に対する認識不足も謙虚さを損ねる要素となる。必要以上に自尊心が低い人間は、自分のアイデアを主張しなかったり、問題に気づいても注意を呼びかけなかったりしてチームに損失を与える。

 

②ハングリー

ハングリーな人は、もっと働けとマネージャーに急き立てられる必要がない。自分の中に動機があり、勤勉だからだ。常に次のステップや次の機会のことを考えている。良い仕事への貢献をコントロールしながら持続させ、本当に必要な時は普段以上の働きをする。但し、チームではなく自分の利益を追求することにハングリーになる人は悪影響を与えてしまうので注意が必要である。

ハングリーさに欠けているメンバーを放っておけば、非生産的で情熱を持たない人は目立つため、チームに明らかな問題をもたらす。

 

③スマート

チームという文脈において「スマート」とは、シンプルに常識的に人と接することを指す。相手に気を払って適切に振る舞うためのあらゆる能力が含まれている。スマートな人はグループに起きている事態を把握し、最も効果的な方法で周りと接する方法を知っている。良い問いかけをし、相手の発言に耳を傾け、会話にしっかりと集中したままでいる。

 

「謙虚、ハングリー、スマート」のモデルは、3つを必要とする。1つでも要素が欠けると、チームワークの達成は難しいものとなり、不可能になることさえある。

 

謙虚でない人は自分の弱さをさらしたり信頼を構築したりすることができず、本音で衝突したり、周りから腹を割って話してもらったりすることができなくなる。そして自分の関心にそぐわない決定には、責任を持って取り組むことが苦手である。ハングリーさに欠けた同僚は、気まずい衝突には参加しようとせず、仕事仲間の責任を追及しようとせず、結果を達成するためにあらゆる手を尽くそうとせず、代わりに楽な道を取る。そして、人間関係がスマートでない人は、チーム形成のあらゆる過程で不必要な問題を生じさせる可能性が高い。

 

理想のチームプレーヤーは5つの機能不全を乗り越える

謙虚とハングリー、スマートの重なっている部分が3つの資質を備えた理想のチームプレーヤーである。チームのメンバーたちが各美徳を十分に備えている時、チームを機能不全に陥らせる5つの要素を乗り越えることが容易になり、チームワークが実現される。

 

①信頼の欠如:自分の弱みをメンバーに見せることを恐れると、チーム内の信頼形成を妨る。

②衝突への恐怖:表面的な調和を保とうとする気持ちは、生産的な意見の衝突の発生を抑える。

③責任感の不足:明確さの欠如や、間違うことへの恐怖は、迅速かつ自信を持った決断を下す妨げになる。

④説明責任の回避:対人関係の気詰まりを避けたいという気持ちは、が互いの責任を追及することを妨げる。

⑤結果への無関心:自分が称賛されたいという欲望は、チームの成功という考えを蝕む。