外食マネージャーのためのぶれないプライドの創り方

発刊
2020年5月8日
ページ数
288ページ
読了目安
336分
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推薦者

飲食業のマネージャーにとって大切なこと
モスバーガーの創業期から41年間、お店の運営や商品開発などに携わってきた著者が、外食産業のマネージャーの心得を書いた一冊。どのようにして、飲食業のお店で使命感を持つか、スタッフを育成すれば良いかが書かれています。

マネージャーにとって最も大事な仕事

どんな会社にも「使命」がある。使命とは会社の「存在意義」と言ってもいい。「使命」とは、社会や地域、そこに住んでいる人たちにとって「どうお役に立つのか」「どうすれば幸福な生活を送ってもらえるのか」を真剣に考え、知恵を絞り、具体的な商品やサービスの提案を通じてその役割を果たし、結果的に地域の人々にとってなくてはならない存在として認めてもらうことである。「使命」を掲げず、ただ儲け主義に走るところは、簡単に見抜かれ、早々に市場から追い出されてしまう。

モスの場合は、それぞれのお店が存在する地域で「お客様に、美味しくて、安全で、健康に良い商品を提供し、お店で働く人の善意や元気に触れて、心の安らぎや温かさを感じていただく」というものである。この使命をスタッフ全員が共有し、美味しい商品づくりに技を磨き、マニュアルに頼らず、一人ひとりのお客様の気持ちに寄り添い、ホスピタリティの向上に努めている。

使命は「お客様との約束」である。マネージャーはその約束を裏切ることなく、現場でしっかり実践できるようにスタッフを導いていかなければならない。そしてそれを自分の喜びとすること。これがマネージャーにとって最も重要な仕事である。一般に「使命」は抽象的な言葉で表現されていることが多いが、それを正しく実践できるように、自身の経験を踏まえ、具体的にわかりやすく伝えることも必要である。

 

使命感がプライドをつくる

41年間、モスで勤め上げることができたのは「プライド」である。プライドが「ブレない心の力」になり、それをずっと持ち続けることができたから続いた。

美味しいハンバーガーを真心込めて作り、それに目一杯の笑顔を添えて、目の前のお客様に提供する。そこにはゴマをする必要も二枚舌を使う必要もない。形式的な実務やハンコも不要。正しいと思うこと、お客様の喜ぶことを、ただ真っ正直に実行すればよかった。

この「使命」で語られている、お客様のためという「お役立ちの姿勢」こそが、自分の行動をストレスなく、最大限に引き出してくれる「プライド」になった。働くことの「意義」を明確に心に落とすことができた。「プライド」とは、正しいことを「使命感」に基づき、ひたすら、ひたむきにやり抜くエンジンのようなもの。その「やりがい・いきがい」がプライドである。人は何かに意義を見出した時に素晴らしい力を発揮する。

 

モスの創業者は常々「どうせ仕事をするなら感謝される仕事をしよう」と言っていた。お店のスタッフは単なる「売り子」ではなく、お店を利用するお客様にとって「お役に立つ人」でなければならないことを意味する。マネージャー職は、最初の教育で、作業や技術を教える前に、仕事の「使命」「役割」といった「心のドメイン」のあり方を教えることが重要である。

 

機会あるごとに「自分の言葉」で次の「3つのプライド」をスタッフに話すこと。

①会社の「ブレない心」(理念・品質価値のこだわり)

②会社の「生まれと育ち」(創業期のマーケティング、他との戦略的違い)

③会社の「らしさ」(品格・人柄の価値、大事にしている風土)

 

この「プライド」は「ブレない心の力」になる。