神コーチング 人が育つ言葉

発刊
2020年4月17日
ページ数
224ページ
読了目安
205分
推薦ポイント 2P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

推薦者

人を育てるために必要な考え方とスキル
北海道日本ハムファイターズで、コーチとして選手の育成に携わり、リーグ優勝2回、日本一2回を達成した著者が、人材をを育てるためのコーチングの技術と考え方を紹介している一冊。
部下を育成するなど、マネージャーが指導育成するために必要な考え方が書かれています。

コーチングとは

「コーチ」の語源は馬車で、人を目的地まで運ぶことから転じて、目標を達成させる人のことをコーチと呼ぶ。コーチングの手法は主に「傾聴」「承認」「質問」の3つに分類されるが、これは「スキル」ではない。コーチングは小手先のノウハウではなく、「人としての心のあり方」である。これが人とコミュニケーションを取る上で最も大事なことである。

 

ティーチングとコーチングは、場面によって使い分けが必要である。ティーチングのメリットは、一度に大人数に伝えることができる。一方、生徒の取り組み姿勢や意欲によって、結果に大きな違いが出てしまうのがデメリットである。

コーチングでの情報伝達は、一方通行ではなく、双方向である。コーチは教えるのではなく、問いかけ、相手の考えを深めていく。少人数で行うのが特徴で、その分一人ひとりと深く関わることができる。

自分自身が正しいと思う答えを相手に伝えるのではなく、答えは相手の中にある。つまり、相手をコントロールするのではなく、相手の中にある答えを引き出すのである。

 

傾聴のスキル

自分の聞きたいことではなく、相手の言いたいことを聞く。言葉だけでなく、言葉の裏にある感情まで聞き取る。

傾聴は、コミュニケーションをとる時の技術の1つである。ただ聞くのではなく、深いレベルで相手の言葉を理解しようと努力し、共感すること。相手にアイデアを求める場面で、リーダーがやってはいけないことは「迎合」と「批判」である。もし間違ったことを相手が言ったとしても、「君はそう思うんだ」と、一旦受けとけること。賛同する必要も、否定する必要もない。受け入れた上で「もしそれをやったらどうなるか?」と問いかけていく。

 

承認のスキル

相手の存在を肯定的に認める。それを言葉や行動に表して相手に伝える。

相手がミスをした場合には、相手の責任にするのではなく、ミスを共有する。この一緒に取り組む姿勢が、人間関係を良好にしていく。行動を起こせば成功も失敗もある。それでも、行動を起こした上での失敗は、失敗ではない。その失敗から学んだら次の成功しかない。

怒るのではなく、承認し、問いかけること。やるべきことは、どうしたら成果が出るかを一緒に考えることである。「君は目標達成のために頑張っている」と承認した上で、「でも結果が出ていないのは、その取り組みが本当に適切なのだろうか」と問いかける。そうすると相手は「自分の今のやり方は正しいのか、どんな問題があるのか」と考えるはずである。

 

質問のスキル

相手の考えを深め、気づきを引き出すためにする。質問で相手の考えを聞くことは、相手に対する尊重でもある。

イエスノーで答えられる質問をクローズドクエスチョン(限定質問)と言う。限定質問を続けていると、相手は責められているような感覚になる。コーチングでは、オープンクエスチョンで相手の気持ちを引き出していく。

意欲を高める質問は意外に難しい。ゴールに向けた質問でも、やりすぎると達成意欲が下がってしまう。ゴールに向かって質問すると、労力を払わないといけないと気づくので、苦しくなってしまう。

ゴールに到達した時にどんな価値が生まれるのか、これを「価値質問」と言う。価値質問をすると意欲が高まる。頑張った先に何を得られるのかに焦点を合わせると、意欲は高まる。だからこそ、目標を個人の価値につなげる作業が大切になる。