スタートアップ・ウェイとは
現代の組織は、由緒あるところも新しいところも、新しい製品やビジネスモデルを素早く試す能力、社員に創造性を発揮してもらう能力、何度も何度も革新を繰り返す能力が欠けていて、成長と生産性の新たな源を見つけられずにいる。
アントレプレナーシップには、21世紀のマネジメントに新たな活力を与えられる可能性がある。スタートアップ・ウェイとは、厳格な総括マネジメントと極めて漸進的なスタートアップの性質とを組み合わせるものだ。常にイノベーションを目指す組織であれば、その規模、歴史、ミッションに関わらず、利用することができる。
スタートアップ・ウェイでは、アントレプレナーシップを1つのマネジメント原則だと捉える。組織構築や評価、資源配分などの枠組みだと考える。今のマネジメントは計画と予測によるが、スタートアップ・ウェイは、速さと不確実性を前提とする。速ければ速いほど、不確実であればあるほどうまくいく。
スタートアップ・ウェイを支える5原則
①継続的イノベーション長期の成長に必要なのは、組織の上から下まで様々な人材と創造性を活用し、新たなブレークスルーを見つける方法だ。
②スタートアップを仕事の原子単位とする
継続的イノベーションを繰り返し、新たな成長の源を手に入れるためには、実験のできるチームが必要だ。このチームは社内スタートアップであり、他とは異なる組織構造で支えなければならない。
③欠けている機能
組織のエコシステムに追加したスタートアップは、従来の手法と相容れない新しいやり方で管理する必要がある。ほとんどの組織は、マーケティングや財務などと同じく成功に欠かせない機能「アントレプレナーシップ」が欠けている。
④再創業
創業5年の新しい会社であっても100年の古い会社であっても、組織の構造をここまで大きく変えるのは、会社を新たに創業しなすに等しい。
⑤継続的変容
このようなことを実現するには、新たな課題に直面するたび組織のDNAを書き換える能力が必要である。
すべてのチームをスタートアップの原則に基づいて再編しなければならない訳ではない。目的は、スタートアップチームが機能できるようにすること、どの社員にもアントレプレナーのように考え、行動する機会を与えることだ。だから、マネージャーは、全員が起業マネジメントに通じていなければならない。
起業をマネジメントする
起業マネジメントは、不確実性の時代に適したリーダーシップの枠組みである。従来型のマネジメントに取って代わるものではない。基礎となる要素は、全体を支える責任である。ここでいう責任とは、社員にどういう行動を取らせるのか、どこに集中させるのかを決める仕組みや報酬、インセンティブなどを指す。この責任のシステムは、会社の目標と整合性がなければならない。
プロセスとは、プロジェクトの企画、マネジメント、チームとの連携、協力など、社員が日々の仕事で使うツールや戦術のことだ。プロセスは、責任の仕組みを選択の枠組みとして生まれる。こうしたプロセスは、時間が経つと文化になる。文化は、それに合う人を引き寄せる。
スタートアップ・ウェイの効果
先進企業なら、いつでも実験できる仕組みをあらゆるレベルに提供することで、無駄を根絶できる。この仕組みは、無駄の削減や士気の向上に資する以上のものももたらしてくれる。小さな問題を解決した結果、大きなチャンスが転がり込むことがある。
スタートアップ・ウェイを実践する会社は、少人数の「ピザ2枚チーム」に担当させ、社内スタートアップとして活動させる。そして、実用最小限の製品(MVP)を作っては顧客に売ろうとしてみる。顧客がどの程度の興味を示すかを観察し、注文へのコンバージョンレートを測定する。