チームシップとは
何十年にもわたって、リーダーの役割は重要視される一方だ。しかし、リーダーシップだけでは世界トップクラスのチームは生まれない。それを果たすのは主にチームシップである。
素晴らしいリーダーはチームがフィードバックし合うようにする。チームメンバーが自発的に責任を持ち合うようにする。チームがお互いのエネルギーに責任を持つようにする。これらは、本来リーダーのみならず、チーム自体の責任である。
私たちはリーダーにありとあらゆることを期待し、チームメイトと互いに対する責任にはあまり注意を向けない。調査から、株主価値を最悪に蝕むものは、ほとんどのチームメイトが習慣としている悪癖「対立を避けること」であることが明らかになったが、チームシップとその実践はそれを改善するものとなる。
チームシップへの移行の原動力
チームシップへの移行には、次の2つが原動力になる。
①ともに高め合う行動(コ・エレベーション)
ともに高め合う行動は、チームとしてのミッションを果たすことにグループとして真剣に取り組むようにさせる契約であり、ミッションを果たしながら、互いを向上させることにも真剣に取り組むように求める。つまり、チームメイト同士は真実を隠さず、衝突を避けず、意見を分かち合うということだ。
②21世紀的コラボレーションのプロセスとツール
旧来型で効果の薄い会議にコラボレーションを頼ることはやめ、以下を実施する。
- 非同期の業務パターンとコラボレーションのためのソフトウェアを採用し、コラボレーションのサイクル全体を変える。
- より多くの人を共創に関わらせるソフトウェアを用いて、より包括的なコラボレーションを促進する。
- 幹部チームからのトップダウンで組織全体のOSとしてアジャイルを採用する。
- どうすればAIがチームの一部となり得るかを考える。
チームシップへの転換
昔ながらの指揮統制型リーダーシップから、同じ立場の人間が共同でチームを率いるチームシップへの大きな転換は、10の行動様式とプロセスの転換に分類できる。
①中央集権型リーダーシップから、チームがともに高め合う行動への転換
新たなチームのあり方とパフォーマンスのレベル向上について、チームメンバーが希望と可能性を感じられるようにすること。まず、現在のチームの状態を明らかにした上で、新たな社会的契約に同意し、チームとして異なる行動様式を試すことで、変化の兆しを確認してもらう。
②対立回避から、率直さへの転換
世界トップクラスのチームでは、チームメイト同士で批判のメッセージを個人的に送り合うこともない。チームメイトは互いの成功を気にかける気持ちを共有しているため、より良い成果につながる情報や知識を互いから隠そうとはしない。
③偶発的な関係性から、意図したチームの絆づくりへの転換
職場の雑談や偶発的な出会いなどから生まれる関係から、チームメイトの間に信頼と理解を生み出すような絆を意図的に築く関係へと移行する。
④個人のレジリエンスから、チームレジリエンスへの転換
チームが互いのエネルギーを保持・向上する責任を持つことで、チーム全体としてレジリエンスを維持する必要があると受け入れる。
⑤コラボレーションを向上させる転換(会議の変革を通じた共創)
世界トップクラスのチームはコラボレーションを単なる会議とはみなさず、積み重ねとみなす。非同期から対面まで、様々なコラボレーションの方式を積み重ねていく。
⑥チームの新たなOSとしてのアジャイルへの転換
アジャイル・チーム・プロセスへの転換こそが、現在の不安定な状況を乗り越え、常に先を見越し、大胆な取り組みへの適応とその加速を可能にする唯一のOSである。
⑦称賛の乏しい文化から、仲間同士で称賛・承認し合う文化への転換
あらゆる厳しい会話やチームメイト同士のアカウンタビリティにおいて、忘れてならないのは承認と称賛の力である。上司だけでなく、同僚からも得られるようにすれば、その機会は大幅に増える。
⑧多様性、包摂性、帰属意識への転換
異質性と特権の分断は、言葉にされず、微妙な問題であることも多いが、それを絆づくりや生産的な会話へと転換すれば、チームがその潜在能力をフルに活かして画期的なイノベーションを生み出す能力に大きな影響を及ぼすことができる。
⑨互いにコーチとなる探究者チームへの転換
世界トップクラスのチームでは、絶えず成長を求めている。これはリーダーにコーチを期待するチームから、チームメイト同士が互いにコーチ役を担うチームへの転換である。この転換により、メンバーは互いのパフォーマンスや成長に責任を持つようになる。
⑩サイロ化した組織から、足並み揃った組織への転換
チームシップのプロセスとツールを活用することで、変わりやすい世界で紆余曲折しながらも、常に真の意味で足並みを揃え、問題に根本的に適応できるチームとなることができる。