「人事のプロ」はこう動く 事業を伸ばす人事が考えていること

発刊
2025年11月14日
ページ数
240ページ
読了目安
311分
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推薦者

人事のプロの仕事とは
人事の仕事の全体像や、仕事の深さ、キャリアのステージなど、人事という仕事を捉えるのに必要な知識が詰め込まれた一冊。

実績のある人事のプロたちがどのように仕事を進めているのかなど、人事としてキャリアを積みたい人にとって参考になる内容が書かれています。人事という仕事の奥深さを知ることができます。

人事のプロの役割と領域

人事のプロとは「人を生かして事をなす」プロフェッショナルだと定義される。その人事の役割は、以下の4象限に整理される。

①管理エキスパート(日常業務/運営の重視 × プロセス)

就業規則や給与計算、労務管理など、日々の人事オペレーションを正確かつ効率的に実行する役割。業務基盤を安定させることで、組織全体を底支えする。

 

②従業員チャンピョン(日常業務/運営の重視 × 人材)

従業員1人1人の声に耳を傾け、社員のやりがいと働きやすさなどを高める役割。面談やカウンセリング、職場環境改善などを通じて、離職防止や能力発揮につなげる。

 

③戦略パートナー(将来/戦略の重視 × プロセス)

事業戦略を人・組織側から具体化する役割。人員ポートフォリオや組織設計、タレントマネジメントを経営者と共に描き、KPIに落とし込んで実行をリードする。

 

④変革エージェント(将来/戦略の重視 × 人材)

企業文化の刷新やM&A後の統合など、大きな変革を成功に導く役割。周囲をうまく巻き込み、利害関係者の心理的抵抗を最小限に抑えながら新たな行動様式を根付かせる。

 

人事の仕事では「自分はどの象限に強みを持ち、組織はどの役割を求めているのか」を意識することが重要である。一般的に、初期は管理エキスパートで基礎を固めつつ、従業員チャンピョンとして現場理解を深めることで信頼を築きやすいと言われる。その上で、データ分析やファシリテーションを学び、戦略パートナー/変革エージェントへと射程を広げると、人事は単なる管理部門ではなく「事業を推進する仕事」になり得る。

 

人事の扱う領域は、採用、労務、育成、評価、異動、代謝など、伝統的に扱われてきた領域もあれば人的資本経営、健康経営、ウェルビーイングなど近年になって扱うようになってきた領域も多い。

各領域の深さは、次の3段階で捉えることができる。

①オペレーションエクセレンス(業務遂行の卓越者)

様々なオペレーションを滞りなく正確に処理していく役割

 

②カテゴリーマスター(領域の熟練者)

各領域の原理原則を押さえながら、目的と組織状況をふまえて課題解決をする役割

 

③ストラテジスト(戦略立案・遂行者)

社会全体のマクロな動きに注目しながら自社で取り組むべきことを構想し社内で実装する役割

 

人事のプロとしては、今の事業において「人を生かして事をなす」ためには、何が問題で、何が課題なのか、その解決に必要なプロセス・ストーリーはどんなもので、どんなやり方で進めるのか、という一連の流れでの発想が必要である。

 

人事のプロになるためにすべての仕事モデルを網羅する必要はない。人事のプロへの歩みには以下の5段階があり、ステージ3以上が人事のプロである。

ステージ0:人を生かして事をなす、から始まっていない
ステージ1:人を生かして事をなす、を礎にできている
ステージ2:経営陣を超える専門領域が1つある
ステージ3:経営陣を超える専門領域が3つ以上
ステージ4:経営会議などで日常的に4象限の役割を発揮している

 

人事のプロの仕事の進め方

まずは色々なことを知らないと、何に取り組むのか考えることも、どうしてその取り組みを優先するのか示すこともできない。人事のプロが仕事で価値を上げるために「知る」ことは最重要であり、最も時間を割くべきフェーズでもある。人事のプロの仕事の質の7、8割は「知る」の質で決まる。

 

人事にプロとして知るべきことは、以下の4つの点がある。

  1. 事業:自社事業においてどんなことがあるとうれしいのか
  2. 組織:自社の各組織がどのような機能を果たしているのか
  3. 人:人が今、何に困っていて、どうすれば意欲が上がるのか
  4. 歴史:これまでの取り組みの結果と、経営陣や現場は何を感じてきたのか

 

人事のプロの仕事の進め方には共通点があり、そのPlan-Do-Seeサイクルには人事ならではのやり方も多い。

①Plan:考える

人事のプロとして課題解決する上で大切なポイントは次の3つである。

  1. 複数人で捉える:経営、事業部、一般社員の立場など様々な立場から見てみる
  2. 走りながら対応する:タイムリーに情報を更新しながら打ち手を考え、同時に当面の対応をし続ける
  3. 誰よりも考え抜く:自分自身が誰よりも考え抜いているという自負を拠り所にする

 

②Do:動かす

抵抗を前提として、1つ1つ乗り越えていくことが要となる。重要なのは、「考える」段階で絞り込んだ課題や優先順位について、特に合意を得たキーパーソンや、既に協力的な姿勢を示している人たちとの連携を強化していくことである。ポイントは次の通り。

  1. 小さく始め、よい事例を作る
  2. キーパーソンとの協働で波及させる
  3. 抵抗を前提に設計しておく
  4. しつこく動かす

 

③See:振り返る

「なぜ成功したのか」「どこが失敗だったのか」を改めて事実と主観の両面から振り返ることで、次のサイクルをより精度高く回せるようになる。