実行する仕組みをつくる
プリマベーラは群馬県を中心に、古着、古本・DVD、貴金属のリユースショップ、整骨院など4事業・51店舗を運営している。2000年の会社設立以来、23期連続増収を達成し、売上49億円、経常利益4億円となっている。
プリマベーラでは、人に依存する経営から抜け出すべく、「仕組みづくり」に注力し、誰でもできる「再現性のある仕事のやり方」を確立した結果、店舗ごとの業績が各人の力に頼ることがなくなり、会社を大きく成長させることができた。プリマベーラでは、新しい取り組みを「実験」と捉えている。10回実験すれば9回は失敗に終わる。しかし、成功した1回の取り組みを仕組み化して横展開することで、会社は確実に変わる。
どんなに社長1人が優秀でも、それだけでは会社は成長しない。社長の方針を「実行する組織」を築くことが「成果を出す仕組み」で回る会社への第1歩である。成果を出す仕組みの中には、「やらざるを得ない仕組み」(義務)がある。但し、これだけでは社員の自発性とやる気が失われるため、「やりたいこと」(自由)とのバランスをとっている。
- 義務:嫌々ながら仕方なく会社のルールを守り、方針を実行する。ex.業務のタスク化・マニュアル化・チェックリスト化
- 自由:自由に企画を行える余白を残し、自ら考え楽しく仕事をする。ex.自由に売り場をつくる。仕事の自由度を与える。
プリマベーラでは、各仕組みの実行度合いを人事評価制度と連動させている。「やらなければ評価が下がる」ため、社員は義務感を持って方針を実行する。これが「やらざるを得ないこと」である。
成果が出ている仕組みをマネる
プリマベーラの仕組みの多くは、すでに成果が出ている既存の仕組みを「マネ→実施→工夫→発展」させたものである。他社の成功事例のマネこそが、手っ取り早く新しいものを生み出す原動力である。ポイントは次の2つ。
①「よいこと」ではなく「成果が出ていること(実績のあること)」をマネる
「よいこと」であっても、成果が出るとは限らない。マネすべきは「よいこと」ではなく「成果がすでに出ていること」である。
②「包装紙」に惑わされない
「評判、人気、知名度、企業規模、見栄え」といった表面的な情報に惑わされず、「会社の経営状態や数字などの実績」を把握した上でマネする会社を選ぶ。帝国データバンクなどの企業信用調査を活用し、決算書データを確認し、実績のある企業に限って勉強会などに参加する。
他社や他分野における成功事例をマネして、経営改善を進めるには、次の手順を行う。
- 「何をマネるか」を決める
- 「どのように」をマネる
- 「なぜその取り組みをしているのか」理由を知り、マネる
- 「習慣」をマネる(地味だが長く続いている仕組みをマネる)
- 「やらないこと」を決める(優先順位をつける)
成果を出す仕組みの基本
経営には4つの必須項目があると考えている。
- 報告:日報やチャットなどのツールを使って、現場から報告(お客様に関する情報)を集める。
- 決定:集まった報告、情報をもとに、会議の場で「次に起こすべき行動・実施する方針」を決定する。
- 実施:決定した方針を全社員、全店舗で実施する。
- チェック:「やるべきこと」が実施・実行されているかをチェックし、結果を次の報告につなげる。
この4項目をPDCAサイクルのように高速回転させ、成果を生み出している。これを「決定サイクル」と呼んでいる。決定サイクルを円滑に回すほど、高速回転で会社で実験が繰り返され、成果が出る。
成果を出すための業績方程式
会社の業績は、トップの戦略確率と社員の実行確率の掛け算で決まる。
会社の業績 = 戦略確率 × 実行確率
「報告→決定」:戦略確率
「実施→チェック」:実行確率
「報告→決定」でトップの戦略確率を高め、「実施→チェック」で社員の実行確率を高める。このことで業績アップに直結する。
戦略確率を上げるポイントは次の2つ。
①報告の量と質を上げる
報告の量を人事評価と連動させている。お客様の声やライバル情報、業務の改善提案などの報告の回数が少ないと評価が下がる仕組みである。報告の質は、「緊急度、重要度」に応じて、報告のツール(日報、チャット)を使い分けることで上げている。
②決定の量と質を上げる
議事録・録画による「情報共有の効率化」と「議題、資料の事前共有」などの会議の効率化により、迅速かつ効果的に意思決定を行う。
実行確率を上げるポイントは次の4つ。
- 「何をやるか」を明確にする →タスク化する、チェックリスト化する、経営計画書の方針化をする
- 「いつまでにやるか」を明確にする →カレンダー化する、デッドラインを決める
- 「どのようにやるか」を明確にする →マニュアル化する、動画化する
- 「なぜやるか」を明確にする →経営計画書の解説、ベクトル勉強会で伝える