ウェブは人を中心にした構造へと変化する
ウェブが人を中心にした構造へと変化することは、もはや止めることのできない流れといえる。ウェブは人々を結び付けるものに変わろうとしている。ウェブ上で成功するためには、企業は変化の裏側に人々のどのような行動が隠されているのかを理解すると同時に、なぜ人中心型に再構成されつつあるのかを理解する必要がある。
「独立した小規模な友人グループ」のつながりに焦点を当てよ
マーケティングの世界には「少数者の法則」という概念がある。これは社会の中でわずかに存在する、大きな影響力を持つ人物(インフルエンサー)の考えを変えることができれば、大勢の人に影響を与えることができるという理論である。
しかし最近の調査によって、インフルエンサーは、非常に稀な存在であることが明らかになっている。クチコミの起点となっているのは、私たちが一緒に夕飯を食べたり、働いたりしている普通の人々である。人々は心理面で近い人々から強い影響を受ける。
「インフルエンサー」の発想を離れ、仲の良い友人たちが形成する小規模なグループに注目し、マーケティング活動を行う時代が始まろうとしている。
許可型マーケティングへ移行せよ
この100年間、マーケティング担当者はメッセージを伝える手段として、CMなどの「妨害型マーケティング」に頼り続けてきた。しかし、妨害型マーケティングには2つの問題がある。
①一般の人々にとって妨害型マーケティングは嫌な経験でしかない
②人が持つことのできる関心には限界がある
妨害的な広告で接触を増やそうという戦術は、もはや有効ではない。人々の邪魔をするモデルから、人々の了解を得るというモデル「許可型マーケティング」へと移らねばならない。
許可型マーケティングは、一般の人々が企業に対して「自分にメッセージを送ってもよい」という許可を与えるところから始まる。企業のフェイスブックページに「いいね!」ボタンを押すというのは、一例である。
ソーシャルウェブによって、許可型マーケティングを大規模に展開することが可能になった。最初に少数の人々から許可を得て、彼らの友人関係を通じて何百万人もの人々に接触することができる。許可型マーケティンングとクチコミの活用は、今後ますます重要になる。
友人を経由して情報を届けよ
企業からのメッセージが増え続ける一方で、ソーシャルウェブ上では近況アップデートや写真、メールといった新たな種類の情報が増加している。オンライン上では、ターゲットとする人々の友人たちが発する近況情報と争わねばならない。そして、ほとんどの場合、人々は企業からのメッセージよりも、友人からのメッセージを知りたがる。
こうした状況の中で広告に注目してもらうためには、人々から「これは自分に関係がある情報だ」と感じてもらわなければならない。これを達成する方法は次の通り。
①彼らの友人たちに情報を伝えてもらう
②ターゲティングの精度を上げる
たとえ知名度が低いブランドであっても、友人の口から聞かされれば、関係性が高く興味深いものであると感じてもらえる可能性がある。