モンスター組織 ~停滞・混沌・沈没…8つの復活ストーリー~

発刊
2019年7月12日
ページ数
280ページ
読了目安
338分
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推薦者

組織課題のケーススタディ
企業が陥りがちな組織課題を8つのケースで紹介し、その対処法を示す一冊。形だけの組織変革に終わらないためには、どうすれば良いのかがわかります。

組織メカニズムを正すこと

組織課題の原因は「人」や「集団」ではなく、その組織メカニズムによる認知のひずみである。見方を変えると、被害者だと思っていた人が実は加害者だったり、加害者だと思っていた人が実は被害者だったりする。実際は社内に敵はいないのだが、意識の中で「組織」という名のモンスターは勝手に自己増殖されていく。モンスター化を正常化する唯一の方法は、組織のメカニズムを正していくことである。

但し、制度(ハード)で会社は変わらない。組織のメカニズムは、組織制度だけでなく組織心理(ソフト)に根ざしたものである。制度やツールは具体的でわかりやすい一方、組織心理は組織における安全性や信頼性といった目に見えづらいものである。従って組織変革はとかくハード面が強調されてしまうが、実際はその表面的な制度の下に根を張っている社員の心理状況の方が重要である。組織変革に万能薬はない。千差万別に移り変わるコンテクストの中で最も効果的だと思われる処方箋を投与するしかない。

モンスター組織における3つの病

①二元論の幻覚病
組織課題において対立構造はいずれの場合にも存在するが、本来はAさんとBさんのどちらが正しくてどちらが間違っているといった類いの対立構造ではない。本質的には置かれている立場や見ている時間軸、対処のアプローチ方法によって違いが起きているだけである。

組織課題の解決を難しくさせる理由の1つとして、被害者が加害者にも、加害者が被害者にもなることである。被害者のようにしている人が、実は組織を悪くしていたり、加害者だと思われる人が本当は被害者だったり、傍観者が加担していたり、被害を広げていたりする。二元論で見ている内には組織の本質は見えてこない。組織課題を二元論で単純化させて、対立構造が創作されることでモンスター組織は創り出される。

②武勇伝の陶酔病
未来に向かって進んでいかなければならない緊迫した状況にもかかわらず、その一歩を踏み出す邪魔をしているのは顧客でも競合でもなく、実は自社の内面にあることが多い。組織は生き物のように刻一刻と変化している。

実際は外部環境からも内部環境からも変化を要求されているのだが、その変化を妨げるのは往々にして過去の成功体験や失敗体験である。無意識に過去の体験に縛られていることが多い。どこの組織においても、新旧の対立が起きるのもそのような事情からである。古参社員によって何度も同じ武勇伝が繰り返される中で、組織の未来を創っていくことを期待された新参社員たちは、次第に重たい組織を諦めて外に出るか、中で静かに息を潜めることを選択するようになる。過去に縛られ、環境適応しないことでモンスター組織は増殖されていく。

③ゴシップ蔓延病
その場で当事者同士話し合えば、すぐに解決しそうな内容もケースの中には多く見受けられる。しかし、その場では本人への遠慮や気まずさから飲み込み、後になって周囲に相談したり、愚痴をこぼしたりすることを選んでしまう。

同僚との会話で「〜らしいよ」といった会話が増えてきた際には注意が必要である。人から人へと情報が流れ、もはや情報の発信元が誰か分からないままに一人歩きして制御不能になってくると、組織の信頼関係は大きく崩れる。コミュニケーションを迂回させて、噂が一人歩きすることで、モンスター組織は肥大化していく。

この3つの病を乗り越えて、組織をモンスター化させない方法は「柔軟でフラットな組織づくり」の構築である。柔軟でフラットな組織づくりが実現されることで、組織は全体観を捉えた上で環境適応され、多様性を内包しながらも平衡感覚を保ち、未来志向で建設的な組織づくりに向かっていく土壌が整っていく。