フラット化が個人に与える影響
フラットな世界では、今自分が知っている事は思っている以上に早く陳腐化してしまう。個人がフラット化に適合するためには「学ぶ方法を学ぶ」ための好奇心と熱意が必要である。個々が求める知識の大部分がウェブのどこかにあり、好奇心と熱意を持っていれば自ら学ぶことができる。そして、世界に影響を与えたいという強い渇望があれば、個々がイノベーションを起こすことは容易である。
フラット化への対処法と現状
フラットな世界において企業や国が生き延びるためには、ずば抜けた才能や起業家精神を有する労働力が求められる。その上で、国家として以下3つの要件を実践する事が重要である。
①プラットホームにできるだけ効率的かつ迅速に接続できるインフラ
②プラットホームでイノベーションを行い、付加価値の高い労働ができるような教育プログラム
③適切なガバナンス
何よりも国民に良い意味の刺激を与えるリーダーシップにより、フラットな世界への流れは勢いづく。
上記3分野において、アメリカにはいくつもの深刻な欠陥がある。このことは発展途上国に関しても当てはまる。メキシコやエジプトに代表される発展途上国は、自国が世界のフラット化からどれだけ取り残されているか、自己省察する必要がある。
フラット化が世界に与える影響
フラット化が世界にもたらすプラス側面を2点挙げる。
第一に、フラット化した世界での共同作業、とりわけサプライチェーン構築が、古くからの地政学的脅威を緩和する事が可能である。グローバル・サプライチェーンへの加盟は、当該国の信用力と生活水準向上の保証をも意味するため、従来の戦争・紛争に代表されるイデオロギー的対立は回避される。長年の軋轢を有する中国と台湾が、部品サプライヤーとしてデルのPC製造を担っている事が良い事例である。
第二に、世界のフラット化は、文化の独自性を守る事が可能だ。アップローディング技術の向上により、グローバルがやってきて我々を包み込むのではなく、ローカルな文化や情報をグローバルに広げることができる。
2つのイマジネーション
世界をフラット化する方法は二種類ある。一つはイマジネーションを使い他人を同じレベルまで引き上げること。もう一つはイマジネーションにより他人を同じレベルまで引きずり落とすことである。
前者は創造的なイノベーションと呼べ、ベルリンの壁の崩壊が象徴する。後者は破壊的イノベーションであり、9.11 同時多発テロが象徴している。
我々は、創造的遺伝子を残し破壊的遺伝子を駆逐すべく、心して努力しなければならない。そのためには、大きな視野をもった良い意味での楽天家になること、そして思い出よりも夢を育むことがとりわけ重要になってくる。