ディップの原動力
ディップの急成長を支えた社員達の高いロイヤリティを生んだのは、創業者である冨田の経営哲学、フィロソフィーによる経営である。
冨田が創業からの幾多の試練を乗り越える原動力となった、ディップ(dip)の社名の由来である
「夢(dream) アイデア(idea) 情熱(passion)」
そして、数々の苦境を打開してきた経験から紡ぎ出された言葉、冨田の行動哲学である「ファウンダーズスピリット」
- ピンチはチャンス
- チャレンジし続ける
- 最後まで諦めない
- 期待を超える
- 仕事、人生を楽しむ
- 自らがdipを創る
この言葉が、フィロソフィーとして社員達の心に刻まれ、行動規範として日々の仕事に体現されていくことで、多くのユーザー、クライアントのロイヤリティが生まれ、高い売上・利益成長につながってきた。
ディップの創業
冨田がディップを設立したのは1997年。起業を決意し、無一文で準備を始め、資金を得て会社を設立するまで2年半、大変な苦労を重ねた。大学を卒業し、2つの企業で営業を経験。その後、赤字の英会話スクール再建の依頼を受け奔走した。成功している同業他社を徹底的に研究し、短期間で単月の黒字化を成し遂げた。スクール経営で最も重要な生徒募集とその効率化を成功させた。さらに、英会話スクールのオーナーに事業拡大のアイデアを提案したが、オーナーはほどほどの黒字が出ればいいと反対した。そこで冨田は、アイデア実現のために起業を決意した。そのアイデアとは、キオスク端末を設置し、利用者がその端末から、スクール、ブライダル、海外旅行、自動車等の欲しいカタログを、無料で請求できるという仕組みである。企業は、その利用者を見込み客として集め、マーケティングを大きく効率化できる。
リクルートが有料の情報誌を通して行っていた得意分野において、デジタル技術を活用し、無料で情報を提供しようと考えた。インターネットが普及していない時代、1995年当時では画期的なアイデアだった。その後に「はたらこねっと」の前身となる「人材派遣お仕事情報サービス」や「バイトルドットコム」などの新しいコンテンツを立ち上げていった。
期待を超える
冨田のフィロソフィーによる経営が、ディップの急成長のドラマを創り出してきた。ファウンダーズスピリットの1つ「期待を超える」は、冨田が創業期から大切にしてきた精神であり、行動哲学である。社員達の重要な行動規範となっている。
2007年の創立10周年には、全社員550人でハワイ旅行を決行。リーマッショック後の全社員への個人の株式の無償譲渡、予想もしていなかった決算賞与の支給。2013年の社員総会では、社員全員の年収を2年で100万円アップすると宣言し、公約数字を超えて134万円アップを達成した。次は2020年までにもう100万円アップするという公約も果たされた。
「期待を超える」施策の数々は、社員達のロイヤリティを高め、仕事への情熱を大きくかき立てた。そして、冨田にエンパワーされた社員達の「期待を超える」活躍がディップの急成長を支えてきた。
ディップの成長の秘訣に、冨田の掲げる「ユーザーファースト」という経営方針がある。求人広告事業は、顧客企業から広告費を頂き成り立っているので、クライアントのことを優先しがちになる。しかし、冨田は、企業側の視点にとらわれすぎて、サイトのユーザー、求職者を軽視することを決して許さない。ユーザーを満足させるサイトでなければ、ユーザーは増えず広告効果も上がらない。顧客企業の満足も得られないと考えるからである。
この「ユーザーファースト」の経営方針は、「期待を超える」と深いつながりがある。仕事探しに訪れてくれたユーザーを失望させてはいけない。そのため、ディップの求人サイトは、求人情報の数と質を重視してきた。「はたらこねっと」は、スタート当初から掲載案件数No.1を実現できたので一気に成長した。「バイトル」も同様い、日本最大級の掲載数で多くのユーザーを集めてきた。そして、情報の質にこだわっている。
ユーザーを満足させるだけでなく、「期待を超える」サービスを提供していくことこそが、ディップの社員達に求められているのである。
「期待を超える」は、クライアントを担当する社員達の行動規範として、その営業姿勢にも体現されてきた。求人広告の営業は、広告枠を売るだけでいいものではない。その広告で企業が求める人材が必要な数だけ集まる。そして、その人材が定着、活躍し企業の成長に貢献してくれる。それが、いい採用ができたということである。そのために営業担当者は、多くの工夫を凝らし努力を重ねる。「お客様とのパートナーシップを築き信頼を獲得する」ために、クライアントの「期待を超える」営業、提案活動をできる社員が数多く育ち、ディップの急成長を生む競争力を高めてきた。