「ネットの出現+情報洪水+成熟市場」という流れで出現した「疑い深い消費者」
このような消費者に商品を販売するには、商品が売れるための「空気」をいかにつくるかという、戦略PRが重要になっている。サントリーのハイボール、アディダスの迷走ランナーなど豊富な事例で解説している。
・商品のよさを消費者に伝えるためには、「量のハードル」、「質のハードル」の2つがたちはだかっている。
・ここ10年で消費者を取り巻く情報量は410倍に拡大しているという統計もある。消費者に襲いかかる大量の情報とどう闘うか、「量のハードル」がある。
・また、消費者が疑い深くなり、企業が伝えたいことの中身を見る目が厳しくなっているという「質のハードル」がある。
・2007年に大ヒットした「ビリーズブートキャンプ」。この裏には、メタボリックシンドロームに対する意識の高まり、安易なダイエット法に対する疑惑、著名人からの情報発信、口コミ情報の盛り上がりなどといった「空気」があった。「空気」は2つのハードルを簡単に越えていく。
・つまり商品を販売するためには、「空気」=「カジュアル世論」を作るちからが重要となっている。
・「カジュアル世論」をつくるためには、「おおやけ」「ばったり」「おすみつき」という3つの要素がいる。特に「ばったり」という、情報洪水のなかでの偶然の出会いをいかに演出するかが重要となる。「ばったり感」があると、主体的な興味が喚起されやすい。
・営業マンでもセンスがある人は、商品説明だけでなく、カジュアル世論的な話を足すことで、消費者の興味喚起をすることに長けている。
・オバマ大統領の選挙活動でもPRが重視され、「Change」というキャッチフレーズが「空気」を作った。このように、いかに「空気」を作るかが企業だけでなく問われる時代となっている。そのような時代のコミュニケーション戦略を考えるうえでの良書といえる。