BCGの特訓 ―成長し続ける人材を生む徒弟制

発刊
2015年11月21日
ページ数
232ページ
読了目安
253分
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ボストンコンサルティンググループの人材育成講座
ボストンコンサルティンググループで人材育成に携わる著者が、成長するコンサルタントの共通点を明らかにし、人材育成のためのポイントを紹介している一冊。

BCGの人材育成における2つの方程式

個々のメンバーの背景や置かれた状況は異なるのに、成長のボトルネックをたどると、共通の要因が見つかる事が多い。そのポイントに本人が気づき、納得すれば、大抵の場合、一皮むけ、生き生きと伸びていく。こうした経験の蓄積を通して導き出されたBCGの人材育成における2つの方程式は、成長・育成の大原則のようなものである。

①マインドセット(基本姿勢)+スキル
②正しい目標設定+正しい自己認識

 

スキルを集めるだけでは成長しない

特定のスキルが足りなかった事だけが、うまくいかない理由になる事など、ほとんどない。ビジネスにおける物事の因果関係は複雑で「AだったからBになった」などと単純化はできない。結局、いろいろ試行錯誤を繰り返し、結果的にうまくいったものが正解だし、そうしたプロセスを経ながら結果を出していく方が次に活かせる学びも大きい。このあたりの認識がズレている事が、成長に向けては大きな障壁になる。

 

成長を加速させる鉄則

成長スピードが速い人には共通点がある。

①スイッチ「オン」の時間を増やす
常に「気づき」を求めてアンテナを張っている人のところには、次々に成長につながる学びの種が飛び込んでくる。同じ時間を「仕事」に費やしていても、与えられた「作業」を漫然と受け身でこなしていると、何も残らない。

②自分の「目を肥やす」
絶えず自分の実力以上の「いいもの」やお手本に触れていないと、実力を伸ばす事は難しい。まずは良い手本にたくさん触れて、そのエッセンスを自分のものにしていくという事は、学習の基本動作であり、極めて効果的かつ効率的な手法である。

③自分の行動を「分解」する
応用力がある人は、「振り返り」→「因数分解」→「整理」→「応用」といったプロセスを行っている。振り返りでとどまってしまって、因数分解以降のプロセスをやらない人は、抽象的な学びしか得られず、応用力が身に付かない。

④とにかく実践する、変化する
ビジネスにおいて実践に勝る成長機会はない。人の成長度合いは、どれだけ実践を重ねたかに比例する。実践を重ねるという事は、失敗の数を重ねる事でもある。しかし、失敗しても足を止めず、チャレンジを続ける人こそ、経験の中から多くの学びを得て、成長できる人になる。

 

成長を加速させる2つの要件

スキルを増やす事や個別のスキルを究める事は、必ずしも「成長」ではない。それは単なる「型」や「術」の習得に過ぎない。継続的な成長を実現させるためには、個別スキルの習得を超えて、2つの要件が求められる。

①スキルの「使い方」を身に付けること
まずTPOをしっかりと認識し、それを踏まえて、どのようなアプローチが有効かを考える。スキルをどのような場面でどのように使うかは、人から学んで習得できるものではなく、ひたすら場を経験する事で実践を重ね、磨いていくしかない。

②マインドセット(基本姿勢)
マインドセットができていないと、個別のスキルを磨いてもその使い方を磨く事ができない。他人の答えで仕事をするフォロワーから、自分の答えで仕事をするリーダーになるには、3つのマインドセットを持って、壁を越える必要がある。

1.他者への貢献に対する強い想い
「クライアントの役に立てるようになるために成長したい」という気持ちが一番強い成長の原動力になる。

2.何度もチャレンジを継続できる折れない心
できるかできないか不明な状況でも足を止めず、諦めずにやってみないと、成長はできない。

3.できない事実を受け入れる素直さ
長期的に成長し成功しているコンサルタントには、失敗した時やうまくいかない時に、まず「自分に原因があるのではないか」と考え、客観的に振り返る素直さや謙虚さが備わっている。そこから改善点を見つけて、建設的により良い解ややり方を追求していく事ができる。

 

短期間でマインドセットを変えるための行動様式

BCGにおいて、大きな成長を遂げたコンサルタントの行動様式には、いくつかの共通項がある事がわかってきている。

①クライアントと対峙する場に飛び込む
②小さな成功体験を積む
③挫折、失敗経験を上手に振り返る
④立場が変わる

 

伸び悩みを突破するために必要なこと

成長=「目指す姿」と「現状」のギャップを埋めること
この定義に則って考えると、成長するためには、正しい目標設定と正しい自己認識の2つがセットで必要という事になる。どちらが欠けていてもダメである。間違った目標設定や自己認識には、いくつかのパターンがある。

・目標設定の落とし穴
①具体性のない「スローガン」を掲げる
②目標にそぐわない「憧れの人」というロールモデルを置く
③目の前の「モグラたたき」に夢中になる

・自己認識の落とし穴
①できていない原因を自分の外に探す
②永遠の「青い鳥探し」をする
③過去の経験に基づく無意識の思考のクセから抜け出せない

この陥りやすい「落とし穴」を認識する事で、正しい目標設定と自己認識を正しくセットするヒントが得られる。

参考文献・紹介書籍