世界4大ゲームの1つ「バックギャモン」
バックギャモンとは、1つのボードをはさんで対峙する2人が勝敗を争うゲームのことで、互いにサイコロを振って自分の駒を進め、相手より早くゴールすることを競う「すごろく」の一種である。互いの駒は15個ずつで、2つのサイコロの出目の数だけ自駒を動かし、自駒で相手の駒の移動をブロックしたり、相手の駒を振り出しに戻したりするなど、駆け引きの要素が強い。
海外ではポピュラーなゲームで、チェス、ドミノ、トランプと並んでバックギャモンは世界4大ゲームの1つとされている。海外ではハリウッドスターや著名な実業家が愛好家として知られている。日本では囲碁や将棋のプロ棋士がバックギャモンを楽しむ姿がファンの間では有名である。
望ましい可能性を広げるよう準備しておく
バックギャモンでは、プロも初心者も、サイコロという確率の世界では平等だが、両者が戦うと、まるでプロが数々の幸運に恵まれて毎回勝ってしまうように見える。それは、どういう目が出てもいいようにプロはあらかじめ準備をしているからである。強いプレイヤーは、次にどんな目が出ても対応できるように駒を配置していく。先々の局面について、自分が有利になる可能性が大きくなるように考えて駒を動かす。
私達は自分にとって望ましいことが起きると「運がいい」と感じる。そうであるならば、できる限り自分にとって望ましいと思えるような状況を作り出せばよい。そのためには、先々の展開を想定して、できるだけ自分が有利になる可能性を広げておく必要がある。そうした準備さえできていれば、「ツイてないな」と嘆く可能性が減る。
スタイルを作らず、どんな状況にも柔軟に対応する
バックギャモンの世界では、単純な実力による差を除くと、全体の9割は、どんなプロでも駒の動かし方に変わりはない。すると、プレースタイルによって選択肢が変わる1割の部分で差がつくことになる。つまり、プレースタイルの特徴が勝因にも敗因にもなる。
対峙する相手と全く同じ条件のもとに勝敗を争う時、プレーに何らかのスタイル(特徴)ができるということは、どこかが崩れていることを意味する。フラットな状態を崩すことによってしか、スタイルを作ることはできないからである。従って、強い人ほどスタイルを作らない。どんなスタイルにも自在に対応できるからこそ、状況に応じて自分の隙を最小限に抑えながら相手の隙を突く。
相手を研究することで、リスクをとる
バックギャモンの試合では、自分があえて小さなミスをすることによって、相手のより大きなミスを高い確率で期待できるケースがある。コンピュータの正解はAであることがわかっていても、あえてBという手で相手のミスを誘う。世界チャンピョンになれた理由も、あえてそうしたリスクの高い領域に踏み出すことができた点にある。それは、事前の研究で相手の棋譜を頭にいれているため、相手がどういう局面でどういうミスをしがちなのかが予想できるから可能となる。相手のプレースタイルが明確であるほど、予想も高い確率で当たる。
最善手を打ち続ける努力をする
勝負において流れなど存在しない。物事には大なり小なり原因がある。突然起こった思いがけない出来事のように感じても、実は小さな積み重ねがある。流れのように感じられても、それは自分が作り出した幻想で、流れで片付けているうちは、目の前にある運にも気づかず、ましてや運をつかむこともできない。
もし、自分にとって望ましくない展開が続いたら、まずやるべきことは自分が打ってきた手が本当に最善手だったかを冷静に検証することである。