ウソはバレる―――「定説」が通用しない時代の新しいマーケティング

発刊
2016年6月17日
ページ数
360ページ
読了目安
511分
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これからのマーケティングの新常識
消費者が、レビューサイトなど多くの情報にアクセスできる時代、これまでのマーケティングの定説は通用しなくなった。これからのマーケティングにおいて大切なことは何かを、スタンフォード大学のマーケティング教授が紹介している一冊。

相対価値から絶対価値へ

かつての消費者は、他の何かと比べて相対的に意思決定を行っていた。例えば、ブランド名、その企業の過去の利用体験、高めに設定された定価、競合ブランドの広告メッセージなど。人間の選択が製品やサービスをオファーする文脈やフレーミングによって大きく左右されることがあるという常識は、今でも成り立つ。

しかし、超情報化時代に突入するにつれて、この状況は変化を遂げようとしている。レビュー・サイト、ショッピング・アプリ、ソーシャルメディア上の幅広い人脈、専門家などの情報源へのかつてないアクセス。消費者が数々の情報にアクセスできる世界では、製品やサービスのおおよその利用体験を予測するのはずっと楽になる。つまり、製品やサービスの「絶対価値」が丸わかりなのだ。絶対価値に頼ることで、消費者は平均的により的確な判断を下せるようになる。そして、かつて多くの製品やサービスの体験の質を予測する手がかりとなっていた「相対的要因」(ブランディング、ロイヤルティ、ポジショニングなど)の影響力は急激に落ちることになる。

 

新しい意思決定パターンの出現

消費者の意思決定は相対価値から絶対価値を重視したものへと変化している。かつて、私達は最も手に入りやすい情報と比較して、相対的に意思決定を下していた。しかし今では、たまたま目の前にある情報だけを参考に意思決定を下すことは少なくなった。今日の極めてソーシャルな情報環境では、手に入る最善の情報に基づいて、簡単に製品やサービスを評価できる。

実際、良質な情報が手に入るようになったことで、新しい意思決定のパターンが生まれている。

①常時情報収集
消費者がソファに寝転びながら絶えず情報を収集するようになった。情報を収集している間、購入する気はない。そして購入する気になった時には、もう答えが出ている。

②自発的な検索と速断速決
人間は意図的に情報を探すと、その情報を活用したくなる。自発的で意図的な情報収集の結果として、消費者の決断がスピードアップした。

③心でなく頭
合理的な情報を目にする機会が増えたことで、意思決定が心ではなく頭で下されることが増えている。

 

変わりつつあるマーケティングの定説

消費者が相対価値から絶対価値で意思決定をすることで、従来のマーケティングの常識は変わってきている。

・多くのカテゴリーで、ブランドは質の判断基準とは言えなくなりつつある
・消費者の過去の満足度は、購入判断において昔ほど重要ではない
・消費者のロイヤリティは低下しており、将来の購入動機として弱くなった
・ポジショニングや説得の手法は、かつてほど効果がなくなっている
・合理的な情報が溢れ、感情に訴えかけるのが難しくなっている
・新製品に対する「判決」が早く下されるようになり、従来のように採用者のタイプを分類することに意味がなくなってきている

 

新しいフレームワークで顧客の意思決定パターンを見極める

ある人の購入判断は、関連しあう3つの情報源の組み合わせによって決まる。

・P:その人が前々(Prior)から持つ嗜好、信念、経験
・O:他の人々(Other)や情報サービス
・M:マーケター(Marketers)

影響力ミックスは一種のゼロサム・ゲームのように一方の要因が強くなれば、一方は弱くなる。意思決定の時、ある情報源への依存が大きくなると、他の情報源の必要性は小さくなる。

顧客の依存度は、時流の変化に応じて移動していく。Oの重要性が増しているのは進行中のプロセスであり、テクノロジーに大きく左右される。今はMやPが支配しているカテゴリーがOに支配されることもありうる。だからこそ、マーケターは画期的なテクノロジーや消費者の行動の変化にいつもアンテナを張っておく必要がある。