U理論[エッセンシャル版]――人と組織のあり方を根本から問い直し、新たな未来を創造する

発刊
2019年11月14日
ページ数
248ページ
読了目安
341分
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本当の問題を見極め、新たな可能性に気づくための原理と実践論
過去の延長線上ではない変容やイノベーションを人や組織に起こすための原理と実践の手法を明示したU理論の解説書。

リーダーシップの神髄

リーダーシップの神髄は、盲点に気づき、直面している状況の必要に応じて、我々の行動の起点である内面の場を転換させることである。我々の盲点、つまり我々の意識と行動を生み出している源のレベルに気づかなければならない。その源のレベルがリーダーシップ、学習、聞き方の質に根本的な影響を与える。

今日のリーダーシップの問題は、ほとんどの人がリーダーシップとは個人で成り立っていると考えていることだ。しかし、リーダーシップを、システムが未来を共に感じ取り、共に作り上げる能力と捉えると、すべてのリーダーシップは分散して存在することに気づく。あらゆる人を巻き込む必要がある。

形は意識に従う

U理論は個人、グループ、組織が、その最高の未来の可能性を感じ取り、実現するにはどうすれば良いかに焦点を当てる。社会システムにおける結果の質は、そのシステムの中の人々の行動を生じさせている意識に左右される。

U理論のコア・プロセス

人は気づきを得るコア・プロセスを1つの能力として育むことができる。

①保留(観察する):習慣的なパターンを保留する
②視座の転換(一歩退く):意識を外側から内側に向ける
③手放す(行動する)

U理論

U曲線の左側では、上から下へと気づきの深い層に向かい、右側にはそれに対応するものが下から上に向かって描かれる。世界に意識を向け、共に形作るU理論の7つのプロセスは次の通り。

①ダウンローディング
過去のパターンを引き延ばすことを超えて、我々を動かす気づきの瞬間がある。

②観る
習慣的な判断を保留して、新しいものに気づき、世界を自分の外側にある対象の集まりとして見る。

③感じ取る
対象から源へと意識の方向を変えると、認識は広く、深くなる。この転換は、観察の視線を曲げて観察者自身に向ける。

④プレゼンシング
静寂の時間に入ると、古いものを手放し、自分を取り巻く未来の可能性の領域とつながる。観察者と観察の対象との境界が崩れ、未来が現れる場ができる。

⑤結晶化する
ビジョンと意図を迎え入れ、結晶化すると、観察者と観察の対象の関係が転換しはじめる。

⑥プロトタイピング
プロトタイプを具現化しながら、行動することで未来を探っていく。

⑦実践する
自分たちの実践法やインフラを進化させることによって新しいものを具体化すると、観察者と観察の対象の関係は完全に転換する。

内なる知を得る方法

U理論の核心は、介入者の内面の次元に関するものだ。内なる知を得るためには、3つの手段がある。

①開かれた思考:判断の古い習慣を保留する
②開かれた心:共感する能力、誰か他の人の目を通して状況を観る
③開かれた意志:古いものを手放し、新しいものを迎え入れる

リーダーは、これら3つの手段をもって良い聞き手となり、人の意識の向け方を変える。

①ダウンローディング
既に知っていることを再確認する。

②事実に着目して聞く
データに語らせ、既に知っている知識とは違う事実に気づく。そのために、開かれた思考、つまり判断の習慣を保留する。

③共感的に聞く
他の人の目で見る。そのためには心を開く。

④生成的に聞く
何か新しいものが生まれるための空間を保持しながら、最高の未来の可能性が現れるのに耳を傾ける。

Uの右側を上がるために欠かせない2つの課題

①思考を伴わない行動を避ける
学ぶことをせずに抽象的なアイデアをやみくもに導入すること

②行動を伴わない思考を避ける
行動しながら未来を探る代わりに、延々と議論し続けること

Uの両側で最も重要なことは「そこにとどまる」ことだ。