小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密

発刊
2012年4月5日
ページ数
296ページ
読了目安
341分
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失敗や挫折を成長のための機会と考えよ!
元ベンチャーキャピタリストである著者が、数々の起業家を見てきた経験から、成功した起業家に共通する「小さな賭け」について紹介している。

Google、Amazon、スターバックスなど、成功した企業は、はじめから素晴らしいアイデアを持っていた訳ではない。失敗や挫折を成長の機会と捉え、小さな投資を繰り返し、そこから洞察を得て、大きな成功を導き出した。

最近、ベンチャー企業経営において注目されているリーン・スタートアップ(ムダのない起業プロセス)の考えと同じ、実験型思考の経営マインドについて述べられている。

「小さな賭け」を繰り返すこと

ほとんどの成功した起業家は素晴らしいアイデアを発見してから起業した訳ではない。

・Google
創立者のラリー・ペイジ、サーゲイ・ブリンは巨大企業になるというゴールを目指して起業した訳ではなかった。彼らの最初の目標は、スタンフォード大学の図書館のオンライン書籍検索で検索結果表示の優先順位をいかに決めるかという、ささやかな問題の解決であった。
様々な可能性を試すうちに2人は、最も有効な基準は対象となる文献が他の文献から参照されている回数だと気付いた。

・ピクサー
ピクサーの当初のビジネスは、コンピュータのハードウェアとソフトウェア、コンピュータ・アニメーションを利用したテレビCMの製作であった。
1980年代の半ば頃、コンピュータで長編アニメ映画を製作するというアイデアを真面目に取り上げる人間は誰もいなかった。CG製作コストは膨大で実績もなかった。このコンピュータ・アニメーションに夢中になったのが、スティーブ・ジョブズであった。ジョブズは500万ドルでピクサーを買収し、許容し得る損失の範囲で、短いCGアニメの製作を許した。

・スターバックス
創立者ハワード・シュルツが、スターバックスの前身の店を始めた時、バリスタは蝶ネクタイを締め、バックには絶えずオペラが流れ、店には椅子がなかった。スターバックス独自の顧客体験を確立するまでに、無数の種類の飲み物を試し、何百ものアイデアを試した。現在の店舗と体験は、当初の構想とはほとんど似ても似つかないものになった。

大きな成功の可能性を発見し、実現に導くためには、創造的な方法で「小さな賭け」を繰り返すことが極めて有効である。成功した起業家の大半は、普通の人なら「失敗」と考えるところを「学習」と考える。問題点を発見し、修正し、さらに問題点を再発見でき、「小さな賭け」を繰り返していく。

最初からあまりに正しいやり方を追い求め過ぎると、多くの可能性に対し、心理的に目を閉ざしてしまう。知性や能力は努力によって伸びると信じ、失敗や挫折を成長のための機会と考えるマインドセットが大切である。

 

「小さな賭け」の原則

①実験する:試行によって学ぶ。素早く行動し、素早く失敗して教訓を引き出す
②遊ぶ:即興とユーモアにあふれた遊びの雰囲気は、心の束縛を解く
③没頭する:外界に飛び出し、全身で環境に浸り、洞察を得る
④明確化する:吸収した情報に基づく洞察を利用し、問題を再定義する
⑤出直す:思いがけない解決に導く問題の見直しチャンスを利用する
⑥繰り返す:テストを重ねるうちに、優れた知識、経験、洞察が蓄積する