オープン・オーガニゼーション 情熱に火をつけて成果 を上げる新たな組織経営

発刊
2016年9月16日
ページ数
268ページ
読了目安
352分
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オープンな組織をつくるためのマネジメントの要諦
オープンソースのソリューション提供で、57四半期連続で最高益を更新し続けているソフトウェア企業レッドハットの組織運営の要諦。社内外にまたがったオープンな組織を作るための方法が紹介されています。

オープンな組織こそが成功の条件

競争で勝ち抜くにはスピードと柔軟性が一番大切であることはわかっていても、リーダー達の多くは、未だに環境の変化に応じて組織を動かすことに困難を感じている。従来型の指揮命令系統では時間がかかりすぎ、中央集権的なやり方では、計画を立てるのに時間と労力がかかりすぎる。めまぐるしく変化する環境で発生する様々な課題に適切に解決できる組織を作ることが成功の条件である。

これからのリーダーは、組織のメンバーから、知識、創造力、アイデア、情熱と活力を引き出して活用しなければならない。同時に、求める能力、アイデア、リソースは組織の外部にも存在することに気づく必要がある。外部の知恵を活用することも、組織が成功するための必要条件となる。それは即ち、組織の壁を破り、顧客、ベンダー、パートナー企業と真の協力関係を結ぶこと、変化の最先端を走り続けるために組織をオープンにすることに他ならない。組織の内外で参加型コミュニティと協力関係を結ぶことができる組織は、より迅速に機会をとらえ、組織の外部にあるリソースと能力を活用できる。

自発的に活動するメンバーとして考えよ

組織の内外を問わず、人々の心に火をつけて、組織のために情熱と努力を傾けさせるためには、自分自身が参加者を自発的に活動するコミュニティメンバーとして考える必要がある。彼らはただ与えられた仕事をこなす訳ではない。何よりも重要なのは、給料を支払っている従業員に対しても、対価を求めないボランティアと同じ原則を適用することである。彼らが日常の仕事の中で心から情熱と努力を傾けようと感じ、この会社で働きたいと思えるような何かが必要である。

目的と情熱が組織のパフォーマンスを最大化する

グループの目的で大切なのは、何をすべきかではない。なぜそれをするのかが問題である。グループの目的はゴールではなく、そのグループがなぜ存在し、何を求め、何を提供できるのかに関わっている。近年、多くの企業がこのメッセージを重視するようになった。

人間は自己に内在する情熱に沿った仕事に取り組む時、いちばん充実し、幸福を感じるものだ。つまり個人の情熱と企業の目的、ビジネスの成果は不可分のものである。トップエンジニアがレッドハットで仕事をするのは、ソフトウェアのコードをフリーでオープンなものにするためだ。彼らは、レッドハットでの仕事はより良い世界を作ることにつながると考えている。これこそがレッドハットに優れた人材が集い、その才能を最大限に発揮できる理由である。

ただ、最高のパフォーマンスを発揮し続けるには、目的を設定するだけでは不十分だ。「オープンな組織」を差別化し、真の競争優位性を与えるには、掲げられた最終目的を組織メンバーが熱望し、本当にそこに到達するのだという熱意をかき立てる必要があることを理解し、それを実現していくことだ。現代の労働者は、自分達の仕事が何らかの意味を持ち、世界を変えていくのに役立つものであることを望んでいる。人を正しい方向に向かわせるのが「目的」の役割だとすれば、その達成を目指して全力を尽くし、さらにその先へと向かわせるのが「情熱」の役割だ。

多くの企業が社是や理念を持っているが、実際には誰もそれを口にせず、企業の目的や社員の情熱にはほとんど影響を及ぼさない。その理由は、社員と会社のミッションを結びつけることを、組織のリーダーが自分の仕事と捉えていないからだ。オープンな組織ではこの結びつきが最も重要な点であり、概ねいかなる企業でも良い業績に結びつく。リーダーの大切な役割の1つは個々のメンバーの仕事を組織の大きなミッションと結びつけることによって、情熱を引き出す環境づくりをすることである。