突き抜けるデザインマネジメント

発刊
2019年12月5日
ページ数
480ページ
読了目安
570分
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経営にデザインの力を取り入れる実践論
経営にデザインの手法を取り入れ、企業組織の変革や戦略を実行するための方法を紹介している一冊。そもそもなぜデザインが有効なのか、何をしなければならないのかという部分から解説されています。

経営にデザインを

経営に必要なのは「デザインを取り入れた戦略」だ。デザインの視点を取り入れると「なぜやらなければいけないのか」という活動の根本に目が向けられるようになる。そして、明確なビジョンと筋の通ったコンセプトを描くことが可能になる。

何を作るかというアクションプラン以前に、プロジェクトを成功させるために考えなければいけないことはたくさんあるが、多くの人はそのことに目を向けようとしない。だからこそ、あえてデザイン的なプロセスで物事を整理する必要がある。そこが明解になれば、予想もしなかった複合的なシナジーを発揮させることも期待できる。

デザインは複合的な情報を要素分解して、問題がどこにあるのかを明確化した上で、解決策を導き出すプロセスを当然としている。だからデザインが有効である。

デザインマネジメントの役割

①検知
企業の歴史、文化、環境把握、社会情勢や外部環境との関連性などの考察を経て、根本的な課題がどこにあるのかを探り当て、解決すべき問題点を洗い出す。

②破壊
課題解決に向けた最適なコンセプトを発案するために、固定概念を覆しながら対象となる課題を捉え直す。さらに既存の環境を生かしながら、必要に応じて新たな環境整備も行い、課題解決が革新的なシナリオとなるように描きあげる。

③創造
革新的シナリオに具体性を与える。今までにない視点で創出された切り口を具現化することは、発明に相当する。画期的な発明の対象はモノの場合もあれば、方法や仕組みの場合もある。

④一貫
①②③を常に統合して捉え、最適解を導き出す。デザインの思考は右脳と左脳のハイブリッドによって、レスポンシブかつアジャイルに情報を処理する。しかも要素を分解し、点を線につなげることや面で捉えながら、常に全体をシステムとして俯瞰して情報処理を行う。

Whyから始めよ

デザインをする上で大切なことは「なぜ?」を自分自身に問いかけ続けることだ。常に好奇心、探究心、向上心を持って、「なぜ?」を突き詰めることで、物事の本質を捉えることができるからだ。既成概念だと思われているようなことにも、あえて疑問符を投げかける姿勢が必要である。

多くの日本人はテーマやコンセプトをしっかり定めずに、「まず何をするか?」「どうやって実現するか?」ばかり考えがちである。特に自分の担当する事業や前例にとらわれて、自分のテリトリー内で方法論ばかりを探してしまう。その時に「なぜ」の視点を持ってさえいれば、外界の変化や状況をより多く知り、自分が越境しなければ事をなし得ないということに気づくはずだ。

優れたデザイナーになるための素質とスキル

①レスポンシブ
デザイナーの最大の武器は「バイアスにとらわれず実行できる」ところにある。しかもレスポンシブ(好反応)かつアジャイル(俊敏)に動く。デザイナーは、実行と失敗をクイックに繰り返す中で、日々、知見と判断能力を常に高め、どうやれば実現可能なのかを直感的に設計して、見通しを立てることができる。

②カルチャー
デザイナーは文化や歴史、テクノロジーのトレンドに高い関心を持っている。そのためライフスタイルの変化からくるユーザーの潜在欲求を、自分ごととして捉える感度に優れている。

③コミュニケーション
活躍範囲を広げるために、他者との対話を重んじコラボレーションする。共創のためのコミュニケーション能力に長けていて、コミュニティーから創発される可能性を大切にしている。

④自律性
自分ですべての物事を生み出したり、プロデュースしたりするスキルが高いので自律した人が多い。