発想の転換で読み解く働く女性のやる気スイッチ 持てる力を120%引き出す並走型マネジメント

発刊
2020年7月13日
ページ数
200ページ
読了目安
179分
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働く女性のやる気を引き出す方法
女性社員比率が9割というサマンサタバサで、同社の急成長を支えてきた著者が、働く女性のやる気を引き出すために大切なことを紹介している一冊。女性管理職ならではの視点で、部下をマネジメントする方法が書かれています。

女性は「今を熱く」生きている

女性が置かれている状況は男性と全く同じではない。改善されてきたとはいえ、依然として男性よりも女性の方が、結婚や育児などのライフイベントにキャリアが影響されやすい。また、一人ひとりの個性もある一方で、女性には女性としての特性や傾向がある。

 

男性は頂を目指し、いかに高い山を登れるかに闘志を燃やす。一方で女性は、日々登っていく道が心揺さぶるものに溢れていて、それが誰かの心を素敵にできたらいいなと思いながら歩く。女性にとっては、一日一日を一歩一歩のように進み、少しずつ「素敵」を見つけて、気づいたら頂上に着いていた、というのが理想である。昇進を目指して頑張るより、目の前のことを頑張っていたら昇進というご褒美がもらえた、というのを求める女性が多い。

 

女性は「今を熱く」生きている。それは、女性の人生はいつ何が起きるかわからないからである。結婚、妊娠、出産、子供の受験、夫の転勤、親の介護など、人生の決断を迫られてばかりである。女性が男性と決定的に違うのは、出産が人生の選択肢としてあることである。

仕事では他の社員という「代わり」がいるのに対し、家族やプライベートに関わることには、代わりはいない。仕事を軽視しているのではなく、自分の人生を左右するような決断にいつ迫られるかわからないという思いを抱えながら、仕事に向かっている。だからこそ、後悔のない「今」を過ごしたい。

 

すべての女性がそうとは言えないが、女性には女性なりの「熱さ」があることをマネジャーが理解してあげるだけでも、彼女たちの働きやすさは違ってくる。

 

目の前にある目標を立てる

男性は、今頑張っている方向の先に道が開けることをイメージする一方で、女性は今頑張っても、その先に違う道が待っているかもしれない。だから先のことを聞かれても、女性は苦しくなったり、「重い」と感じたりしてしまう。それは人生における仕事の優先順位が低いということではなく、一瞬一瞬を大事にしようという意識の高さの表れである。

 

必ずしも頂上を目指していない女性をリードするには、「自分はどうなりたいの?」「どんなキャリアを築きたいの?」と聞くより、「今、何をしたい?」「今、何ができるようになりたい?」と声がけする。そして、必ずしも頂上を目指さなくてもいいということを伝える。すると、彼女らは一歩一歩進んでいける。

 

女性スタッフと今後のプランを話す時には、どんなに先でも半年後くらいまでしか聞かないこと。「この仕事でどんなことができそう? 何を頑張ってみたい?」と、目の前のことから目標を立てていくことが大切である。

大きな目標や目的がないからこそ、今の環境に感謝して、とにかく今を頑張りたいと感じる人も多いのである。

 

自分が前進しているという実感を大切にする

女性たちの「頂上までの道のり」をキラキラさせるのは「自分が成長できているという実感」である。前回の仕事より何か1つできることが増えていたら、それは前進している証拠。それを言葉にして、ちゃんと本人に成長を気づかせて、一緒に喜ぶようにする。

マネジャーとしては「成果」を上げさせたいけれど、ちょっと発想を切り替えて、「成果」より「成長」を軸にサポートしてあげれば、本人にとって「成果」までの道のりが充実したものになる。

 

大事なことは、少しだけ高いハードルを用意してあげること。その人にとって、自分が課題としていることは大体気づいているはずなので、本人に聞くこともある。取り組めそうな課題が出てきたら、目標を一緒に設定する。それでも何も思い浮かばないなら、取り組んでいるプロジェクトに対して、目標を1つ1つ一緒に考えていく。