ぼくがジョブズに教えたこと――「才能」が集まる会社をつくる51条

発刊
2014年5月1日
ページ数
254ページ
読了目安
285分
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次なるスティーブ・ジョブズを発掘するにはどうすればいいのか
ビデオゲーム開発会社のアタリ社を創業し、無名時代のスティーブ・ジョブズを雇い入れ、才能を開花させたことでも知られる著者が、才能が集まる会社の作り方を紹介しています。

創造性豊かな会社が生き残る

未来の鍵を握るのはイノベーションであり、そのイノベーションはトップの1人ではなく、アップルの社員全体から生まれなければならない。この点で、スティーブと意見が一致した。スティーブと検討した事はいろいろあったが、その1つがルールの問題である。2人ともルールを厳しくすると創造性が死ぬと考えた。状況は変化するもので、常に柔軟性が求められる。同じルールをあらゆる人、あらゆる状況に適用しようとすれば、土壌が均質でやせたものになってしまう。そして、創造性は衰え、死んでしまう。

創造性なしで会社は成功しない。どのような会社であっても、前進の源は創造性である。創造性が重要となるのは競争があるからだ。どのような会社も、なにがしかの競争にさらされる。ライバル企業は、いずれも、製品やサービス、コンセプトを改良しようと努力している。

アイデアが生まれるスピードも、知識が移動するスピードも、ライバルが反応するスピードも速くなった。変化していく世界で生き残るには、創造性が必要だ。そして、創造性は会社のあらゆるレベルで醸成されなければならない。

職場を「広告」にせよ

アタリ社がスティーブ・ジョブズを見つけた訳ではない。我々は、彼が我々を見つけやすくしただけだ。優れた会社というのは、それ自体が年中無休の広告となる。当時、会社のロビーというのは葬儀場かと思う雰囲気が漂っているのが普通だったが、アタリのロビーはゲームセンターのようになっていた。アタリはアーケードゲームの会社だから、社員にも楽しんでもらうべきだろう。皆、楽しく遊び、その話を友達に語りまくってくれた。会社のイメージは、必ず、採用広告かネガティブPRのいずれかとなる。会社自体を広告ととらえ、適切に構築すれば、顧客としても従業員としても、クリエイティブな人々が集まってくるクリエイティブなエコシステムを維持する事ができる。

規則は柔軟に

クリエイティブな人々というのは、ネコの群れのようなものだ。なんとか管理しようとしても、うまくいくはずがない。だから、やる気を失わせるような規則など作らず、斬新で柔軟な方法で運営する組織とした方がいい。優れた仕事環境とフレキシブルなガイドラインさえ提供すれば、彼らは素晴らしい成果をあげてくれる。

「情熱」を採用基準にせよ

スティーブ・ジョブズと他の社員を分ける特質を1つだけ挙げろと言われたら、それは情熱だろう。情熱を基準に採用すると、部門の中核になる人材が得られる。

会社のやり方なら教育で身につけさせられるが、情熱をもたせる事はできない。長い目で見ると、会社に一番貢献してくれるのは情熱を持つ人々だ。情熱の対象が会社のミッションと同じでなくてもいい。情熱さえあれば、それをうまく利用して目標に向かって進む事ができる。

では、どうすれば情熱を持つ人材が見つけられるか。

情熱はまず目に現れる。スティーブ・ジョブズは、目の前の相手に集中し、目をじっと見つめていた。情熱を秘めた人は皆そうだ。面接でまっすぐに視線を合わせてくる。目の前の人間を説得し、採用させるのが自分の仕事だとわかっているのだ。逆に情熱のない就職希望者は、人生について語らせればすぐ見つけられる。そういう人はたいがい文句言いだからだ。

就職希望者がクリエイティブな情熱を持っているか否かを知るには、趣味について尋ねてみるといい。ややこしい趣味や手間暇がかかる趣味、あるいは知的欲求がかなりないとできない趣味なら最高だ。趣味を持つ人は、いつもいろいろと学んでいる。クリエイティブな人々に共通するのは、様々な知識に対する情熱である。それが前進する力となるのだ。