アクセンチュア流 生産性を高める「働き方改革」

発刊
2017年8月31日
ページ数
176ページ
読了目安
202分
推薦ポイント 6P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

アクセンチュア流の働き方改革マニュアル
体力、気合、根性に象徴される体育会系カルチャーのもと、社員は疲弊し、長時間労働やハラスメントなど労務問題が常態化していたアクセンチュアはどのように組織を改革したのか。
残業時間や離職率を大幅に減らすことに成功したアクセンチュアの「働き方改革」の取り組みが紹介されています。

方向性をはっきりさせる

体力、気合、根性などの言葉に象徴される旧態依然とした「体育会的な」カルチャーのもとでは、多様な人材が活躍するダイバーシティは実現しにくく、働き方も変えられない。働く環境に魅力がない会社では、優秀な人材を採用することなど難しい。

会社を変える時、何よりも重要なことは、方向性をはっきりさせておくことである。そして、それを社員たちと共有する。どこに連れていくのかをしっかり理解してもらう。そのためにも、なりたい姿をしっかり描いておく必要がある。

「働きがいのある会社」、そして世の中から認められ、「選ばれる会社」になるという方向性を決め、『プロジェクト・プライド』を発足させた。改革にあたって、社員1人1人が持っている「プロフェッショナルとしての誇り」をもう一度定義し直して欲しいという思いがあった。長時間働いて、多くの社員が疲弊しながらお客様に価値を提供することが、本当の誇りなのか。

改革のフレームワーク

『プロジェクト・プライド』の推進にあたっては、組織改革のフレームワークを活用した。これは次の4つの象限に分かれる。

①方向性提示と効果測定(ハード×経営層)
まずはプロジェクトのリーダーが方向性をしっかり定めてメッセージを発信する。なりたい姿を設定し、社員に提示してコミュニケーションを図りながら、何を指標として見ていくのかを確定させ、それをもとに継続的にモニタリングしていく。

・徹底的な数値化を行い、各種KPIを設定、PDCAサイクルを構築
・経営トップがリーダーとなり、専門コンサルタントが参画
・働き方改革を強力に推進するプロジェクト体制の立ち上げ
・ビデオを効果的に用い「なりたい姿」を全社で共有
・浸透状況調査を、全社員へ四半期ごとに実施
・残業時間や有休取得率などをモニタリング

②リーダーのコミットメント(ソフト×経営層)
経営者だけでなく、執行役員や本部長クラスの現場のリーダーたちが責任をもって改革に取り組むよう、コミットメントを引き出す必要がある。そうすることで、課題と解決に向けた障壁を特定して、適切に対処することができる。

・9人の本部長が、各現場のヒアリングや定量調査に基づきプラン発表
・毎月経営会議にて「個人別労働時間の実施・予測レポート」を議論
・各本部長がプロジェクトや個人に対してアクション

③仕組み化・テクノロジー活用(ハード×現場)
色々な仕組みが働き方を邪魔するため、その仕組みを変えていかなければならない。『プロジェクト・プライド』では、1年強で人事制度を中心に約25の制度・仕組みを変え、新しい働き方を実現した。

・ハラスメント抑止に向けたルールの周知徹底、研修の拡充、社外窓口設置
・残業の適用ルールを厳格化、18時以降の会議原則禁止
・短時間勤務制度の導入、在宅勤務制度の全社展開
・生産性の高い社員に、より報いるための給与制度の改定
・プライドを実践している社員/プロジェクトの表彰
・働きやすい環境作りに向けた管理職研修の義務化
・生産性向上につながるツールやコツを提供

④文化・風土の定着化(ソフト×現場)
この段階で、リーダーから指示されなくても、自発的に働き方を変えていく土壌が整ってくる。文化や風土の改革のためには、イベントやキャンペーンなど、それを定着させる様々な取り組みをしなければならない。すなわち、新しい働き方や文化が風土として根付くまで続けることである。

・成功事例や社員の声などを定期的に発信、積極的な挨拶の励行を促進
・オフィスの壁一面を使った啓蒙メッセージの掲示
・部門ごとに働き方改革に関するディスカッションを実施
・定時退社奨励や有給休暇取得推進活動の実施