NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘

発刊
2020年6月16日
ページ数
462ページ
読了目安
628分
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優れた組織をつくるために本当に大切なこと
働くことやマネジメントに関する通説をデータ分析の結果から、その間違いを指摘。会社組織をつくる上で本当に大切なこと、人をマネジメントする時に本当に大切なことは何かを解説している一冊。

高業績チームの8つの特徴

最も業績の高いチームに特に多く見られる従業員経験には「8つの側面」がある。次の質問項目を使えば、チームの長期的な業績を妥当性をもって予測することができる。

 

①「会社の使命」に貢献したいと心から思っている

②仕事で「自分に期待されていること」をはっきりと理解している

③所属チームでは「価値観が同じ人」に囲まれている

④仕事で「強みを発揮する機会」が毎日ある

⑤私には「チームメイト」がついている

⑥「優れた仕事」をすれば必ず認められると知っている

⑦「会社の未来」に絶大な自信をもっている

⑧仕事で常に「成長」を促されている

 

これら8項目は、次の2つに分類される。

①③⑤⑦:チームメンバー同士のやりとりから生まれる経験

②④⑥⑧:個人的な仕事経験

 

これら2種類の経験が、仕事で成功するための必要条件である。最高のチームリーダーを凡庸なチームリーダーから際立たせているものは、チームメンバーが持っているこれら2種類の欲求を満たすことができる能力だということが、研究からわかっている。チームメンバーがリーダーに望むのは、次の2つである。

 

①自分たちが何か大きなものの一部だと感じさせて欲しい、共に取り組んでいる仕事が重要で意味あるものだと示して欲しいということ

 

②チームリーダーが自分たちの個性を認識するようなかたちで、自分たちのことを理解し、共感し、気にかけてくれていると感じたいということ

 

「みんな一緒」という普遍性を感じさせると同時に、個性を認めて欲しい。全員が共有するものを拡大して見せると共に、一人ひとりの特別なところを高みに押し上げて欲しいということだ。

 

どの会社で働くかよりも、どのチームで働くかが大事

これら仕事経験の大部分が「どの会社で働くか」によって概ね決まるのなら、8項目に対する回答は、同じ会社内のすべてのチームのすべてのメンバーで概ね同じになるはずだ。ところがそうではない。実際には、会社間のレンジよりも会社内のレンジの方が常に大きい。仕事経験のばらつきは、異なる会社間よりも同じ会社内での方が大きい。つまり、項目への回答は、同じ会社内でも、どのチームに属しているかによって大きく異なる。

 

8項目のスコアが低いチームは、メンバーが離職する可能性が非常に高い。あるチームの8項目のスコアが会社全体の上位50%から下位50%に転落すると、メンバーの離職率は45%上昇する。従業員がここで働くのはやめようと決める時、その「ここ」とは会社ではなく、チームなのだ。つまり、どの会社で働くかは大事ではない。本当はどのチームで働くかが大事である。

 

最高の会社をつくるために本当に大切なこと

どの企業もほぼ例外なくチームの重要性を見過ごしている。大半の企業は、社内にいくつチームがあるのか、誰がどのチームに所属しているのかはおろか、最高のチームがどれなのかさえ、どの時点でも把握していない。チームを可視化する機能を持っていない。

 

それに企業は文化を重視しすぎるせいで、本来チームの経験に対して責任を持つべきチームリーダーからその責任を取り上げ、漠然とした一般論にばかり目を向けさせる。企業文化は均一ではないし、何か特徴的なことがあるとしても、それは測定できない。このことが本当に重要なことを覆い隠している。残念ながら、企業文化について書かれていることの多くは、データに見せかけたフィクションでしかない。

 

偉大な企業をつくろうとするCEOにできるたった1つのことは、社内の最高のチームに似たチームを、できるだけ多くつくることだ。どんな企業にとっても、誰をチームリーダーに選ぶかが最も重要な決定だ。そして、リーダーはチームメンバーが8項目にどう答えるか常に把握すべきである。