世界最高のスリープコーチが教える 究極の睡眠術

発刊
2018年3月1日
ページ数
288ページ
読了目安
331分
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睡眠の質を高めて、疲れをとるメソッド
多くの一流スポーツ選手に、効率よく「疲れ」が取れ、最高のパフォーマンスを発揮できる睡眠メソッドを指導してきた著者が、睡眠管理の手法を紹介している一冊。

「体内時計」のリズムを制する

概日リズムとは、体内時計によって管理される24時間の体内サイクルのことだ。脳内に潜むこの時計は、私たちの体内システム(睡眠と食事のパターン、ホルモン分泌、体温、注意力、気分、消化機能)を、地球の自転と同調しながら24時間周期で動かしている。体内時計は外部からの合図を受けてセットされるが、その合図の主たるものは「日光」だ。気温や食事の時間なども合図となる。

メラトニンは私たちの睡眠を調節するホルモンである。暗い時間が長く続くことにより、睡眠準備のためにメラトニンが分泌される。夜間の最も能率的な睡眠の時間帯は午前2時から3時頃で、その後程なく体温が最低ポイントに達してから日が昇り、身体は目覚めていく。朝が近く頃に、メラトニンの分泌が止まる。これは、環境が「暗」から「明」へと移行するからだ。

PCから発せられる人工光は自然な睡眠プロセスを阻害する。だから、まっすぐベッドに直行はしない。PCをしまってから、しばらく寝ずに起きていると、脳は暗くなったことに反応してメラトニンを分泌する。

「時間」より「サイクル」で眠る

毎晩8時間の睡眠を取るのが理想だと言われるが、これは万人向けの数字ではない。実際のところ、人には個体差がある。睡眠は時間単位ではなく、サイクル単位でとらえると良い。

睡眠の1サイクル(90分)は4つのステージから構成される。

①まどろみ:数分間は覚醒と眠りの間をうろうろしている
②浅い眠り:心拍が遅くなり、体温が下がる
③深い眠り:揺さぶってもすぐには起きない状態
④ヘルタースケルター:レム睡眠

理想は夜、サイクルからサイクルへと滑らかに移行していき、「睡眠ー覚醒ー睡眠ー覚醒」を繰り返し、徐々に深い眠りの割合を少なく、レム睡眠の割合を多くしながら、最終的に朝になると目覚める、という流れだ。これが、正しい質の眠りを得る鍵となる。「浅い眠り」「深い眠り」「レム睡眠」の全てが入ったサイクルの連続を、滑らかな一続きの睡眠として取ることが重要だ。

回復の質を高めたいなら、「起床時刻を定めること」が、自分の裁量で行える最も強力な方法の1つだ。起床時刻が決まれば、そこから90分刻みでさかのぼり、就寝時刻を設定する。平均的な人は、やはり8時間程度に狙いを定める。これは一晩に5サイクル(7時間半)に等しい計算だ。

起床時刻は毎日揃えるが、ベッドに入る時刻は90分単位で考える。但し、「理想の就寝時刻」より前に眠ってはいけない。失われた睡眠は後から補えるわけではないからだ。帰宅が少し遅くなり、午前7時半起床からさかのぼって5サイクルの午前0時に睡眠状態に入れない場合は、午前1時半に眠ればいい。つまり4サイクルの6時間睡眠だ。

睡眠は「1晩に何時間」ではなく「1週間に何サイクル」という単位でとらえる。すると、7日の内1日くらい安眠できないことも、それほど悪くないように思えて、眠れなかったというプレッシャーが消える。

注意点として、5サイクル未満を3晩続けることはなるべく避けること。少ないサイクルが1晩もしくは2晩続いたら、翌日は理想的なサイクルに戻すのだ。1週間の内4日以上、理想のサイクルを組み込めたら合格だ。何より大切なのは、自分自身が睡眠量を把握することだ。そうすれば、無理をしているかどうかが目に見えてわかる。

睡眠前後の「ルーチン」で眠りを変える

「寝る直前に何をするか」が、睡眠の質と持続時間に直接的な影響をもたらす。理想は、この「90分」を、就寝前と起床後にそれぞれ確保することだ。就寝前のルーチンでは、入眠に適した状態になるための準備をする。

・テクノロジーを遮断する
・温度を「温→冷」にする
・明るさを「明→暗」にする
・今日1日の体験を吐き出して全て整理する