上司の「コミュ力」大全

発刊
2026年3月4日
ページ数
203ページ
読了目安
233分
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推薦者

共感力を高めて部下を動かすコミュニケーション術
ソフトバンクの人材開発部で、4万人超の採用面接・社員面談・研修に携わってきた著者が、リーダーに求められる「コミュ力」を高めるためのポイントを紹介している一冊。

共感力を高め、部下のやる気を引き出し、動かすための基本的な考え方とテクニックが紹介されています。コミュニケーション力は鍛えられるスキルだとし、コミュニケーション力を高める方法が解説されています。部下を持つ上司に必須の内容が書かれています。

リーダーに求められるコミュ力とは

どれだけ戦略の立案やマネジメントに長けていても、それをわかりやすく伝え、納得してもらえなければ人は動かない。人を動かすための鍵を握るのが、リーダーの伝え方、即ち「コミュ力」である。そして、人を動かすコミュ力の核になるのが「共感力」である。

かつてのような上位下達の「命令型リーダー」では、組織は動かない。共感を土台に関係を築き、「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえる存在になることがリーダーに求められる。

 

共感とは、相手が見ている世界や考えていること、感じていることを、その人の立場に立って理解しようとすること。相手を自分のモノサシではなく、相手のモノサシで理解することである。共感を理解するためには、次の2つの区別が必要である。

  • 情動的共感:相手の感情に反応して、自分も同じように感じてしまうこと
  • 認知的共感:相手の立場や感情を事実として受け止めた上で、少し引いて全体像を捉えること

情動的共感だけに頼ると、自分と似た感情を持つ人にしか共感できなくなる。リーダーは、部下の感情に寄り添いながらも、それに流されず、冷静に状況を理解し、対応を考える認知的共感が必要になる。

 

共感できる人に共通する思考習慣

相手の立場を踏まえた上で、親身になるために重要になるのが「抽象度を上げる(チャンクアップ)」という考え方である。抽象度を上げて視点を「俯瞰」に切り替えると、見えてくる情報の量や質が一気に広がる。その結果、自分だけの感情や価値観にとらわれることなく、広く相手の視点や背景を受け入れられ、より深い共感が得られるようになる。

 

チャンクアップに加えて、有効な技術が「チャンクラテラル」である。チャンクラテラルは、同じ抽象度のまま、他の選択肢を横に広げて提示する手法である。チャンクアップとチャンクラテラルの2つのアプローチによって、抽象度を上げて全体像を捉え、選択肢を増やして視野を広げることができる。

 

共感できる人が無意識にやっている3つのこと

共感力を高めるためには「心・技・体」の3つの要素が欠かせない。

①共感力の「心」:相手のすべてを受け止める覚悟をする

深く共感するには「よい」「悪い」の評価を一旦脇に置き、「この人はこう考えているのだな」と、そのまま受け止める姿勢が大切である。

 

②共感力の「技」:相手に寄り添いながら巧みに同調する

相手に応じて、伝え方や関わり方を柔軟に変えることが、的確な共感には欠かせない。その際に有効なのが、相手の感覚タイプに合わせること。「VAKモデル」を活用することができる。

  • 視覚優位タイプ:イメージ重視。具体的なビジュアルを伝えると効果的。
  • 聴覚優位タイプ:論理や情報の整合性を重視。データなどを使って、理路整然と説明すると納得を得られる。
  • 体感覚優位タイプ:感覚や雰囲気に敏感。雰囲気や所作、人間性に関する要素が効果的。

たった10秒ほどの観察でも、相手がどのタイプかを推測することは可能である。目線の動きや話し方、身振り手振りからヒントを得て、相手の「感じ方のチャンネル」に合わせる。

 

③共感力の「体」:呼吸や心身のリズムを相手と調和させる

相手と同じくらいのテンポ、ペース、トーンの「2割増し」を意識する。さらに姿勢や身振り手振り、視線の向け方も合わせていく。

 

共感力を高める3つのセオリー

①すべてを鵜呑みにせず、「本当にそう?」と心で問い直す

相手の話を額面通りに受け取ってはならない。人は思っている以上に「言葉」に引っ張られやすい。そのため、非言語的なサインを観察し、見極める。

  • 目をそらす
  • 表業が引きつる
  • 話題を急に変えたがる
  • 落ち着きなく手足が動く

 

②自分の前提を脇に置き、相手の前提に立って聴く

誰しも無意識の偏見があり、知らない内に自分の「前提」に他者を当てはめている可能性がある。相手の「前提」に立つことを意識する。相手の世界観を踏まえて話を聞く。

 

③感情に惑わされず、無意識の変化に注目する

相手の無意識レベルの変化に注意を向ける。「大丈夫」「問題ない」といった口先の言葉とは裏腹に、体が発している無意識のサインには本音がにじみ出ている可能性がある。

 

共感の先にある「戦略的な対話」のアプローチ

①全体の1/3の時間をページングに徹する

相手の話をオウム返ししながら、言葉のトーンやスピード、表情、身振り・手振り、姿勢など、非言語的な部分をできるだけ相手に合わせる。これによって、相手は自分を理解しようとしてくれていると安心感を得て、心を開いてくれる。

 

②信頼関係の土台を築けたらリーディングに切り替える

相手の気づきを引き出し、より良い方向へ思考を促す。「ここまで話してみて、自分で何か気づいたことはありましたか?」と問いかけることで、相手の内省を促す。相手が自分の言葉で状況を語る内に、自然と視点がチャンクアップされ、物事を俯瞰して見られるようになる。