質問力で人を動かす

発刊
2025年10月24日
ページ数
272ページ
読了目安
243分
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コーチングで使える効果的な7つの質問
相手に気づきを与え、潜在能力を引き出すために使えるシンプルな「7つの質問」を紹介している一冊。
それぞれの質問にどのような効果があるのかを解説しながら、いかに相手を動かし、効果的にリーダーとしての仕事を進めれば良いかが書かれています。
1on1などでも使える内容になっています。

コーチングの習慣が少なく働いて多くの成果を上げる

コーチングの習慣を身につければ、職場にはびこる3つの悪循環を容易に打ち破ることができ、より良い働き方ができる。

  1. 過度の依存を生み出す
    →コーチングの習慣を築けば、チームは自立する
  2. 膨大な仕事量に押しつぶされそうになる
    →コーチングの習慣を身につければ、集中力を取り戻し、チームはやりがいのある仕事に正面から取り組む
  3. 本当に重要な仕事に取り組めていない
    →コーチングの習慣を確立させれば、チームも影響力がありかつ意義のある仕事に取り組めるようになる

 

コーチングにおける7つの質問

この3つの悪循環から抜け出し、働き方を改善するためには、7つの質問が役に立つ。

 

①何が気になっていますか?(はずみをつける質問)

うまく会話を始めてすぐ本題に入るにあたって、絶対確実な最初の質問は「あなたは何が気になっていますか?」だ。「はい」「いいえ」で終われない質問で、直ちに問題の核心に迫り、最も重要だと考えていることを話すように求める。「一番重要なことを話そう」と言い、お決まりの議題に風穴を開け、雑談を避け、的外れの課題を打破する。

この質問の後は「3Pモデル」というフレームワークを使って、より焦点を絞った会話を進めていく。通常、問題の中心には3つのPがある。

  1. プロジェクト(課題):今置かれている状況の中で取り組んでいる課題
  2. ピープル(人):他の人たちとの関係、その関係における役割
  3. パターン(行動):行動パターンと仕事の仕方

 

②あと、他には何がありますか?(他を聞く質問)

この言葉が力を持つ理由は3つある。

  1. 選択の幅が広ければ広いほど、良い意思決定ができる(より多くの、たいていはより良い選択肢を得られる)
  2. 自分を抑える(アドバイスしたいモードの出現を止め、リラックスして相手に関心を持ち続けることが容易になる)
  3. 時間を稼ぐ(事態を理解するのに少しばかりの時間を稼げる)

「あと、他に何がありますか?」のマジックを引き出すためには、次の4つがガイドラインになる。

  1. 誠心誠意、関心を持ち続ける
  2. もう一度尋ねる(通常は3回は質問をする)
  3. 成功を確認する(もう他には何もありませんという返答を求める)
  4. 時間がきたら次に進む(エネルギーが消えたと感じたら切り上げる)

 

③あなたにとって、ここで取り組むべき本当の課題は何でしょうか?(フォーカスする質問)

相手が話せいる問題が本当の問題であることは滅多にない。そのため、最初の問題に飛びついて解決したくなる衝動を抑える必要がある。そこで、大急ぎで行動に移そうとするのを押し留め、最初に提示された問題でなく、本当の問題の解決に時間を使うための質問をする。課題はいくつもあると暗示しながら、一番重要な課題を選ばせようとすると、相手は落ち着いてより深く考えようとする。

フォーカスする質問を味方にするためには、次の3つの戦略がある。

  1. あなたの役割の大切さを信じる
  2. あなたのアドバイスが必要な場面もある
  3. 「第2の質問」を思い出す

 

④何を望んでいますか?(本質的な質問)

私たちは往々にして、自分が本当に何を望んでいるのかわかっていない。また、自分が何を望んでいるのかをわかっていても、それを口にするのは難しく、相手にはっきり伝わらないことも多々ある。また、相手に伝わったとしても返答を得るのが難しい。答えは「イエス」ではなく「ノー」かもしれない。

誰かに「何を望んでいますか?」と尋ねた時、その人の要望の背後にある必要を推察してみること。背後にある必要を理解すれば、その人の願望に対してより適切な対応ができるだろう。お互いに相手の願望がわかれば、会話は興味深く価値あるものになる。

 

⑤私にできることはありますか?(怠ける質問)

この質問の効力は2つの要素から生まれる。

  1. 相手にはっきりした要望を単刀直入に言うように迫る
  2. 自分が一番よく知っていると考えて、すぐさま行動に移すのを止める

この質問の受け止め方は声の調子によって随分変わる。「ちょっとお伺いしたいのですが」と言う言葉を添えると、質問の印象が穏やかになる。

 

⑥これをやるとして、逆に何を辞めますか?(戦略的な質問)

相手に何をやるのかをはっきりさせ、それにコミットすることを求める。そして「これに本気で取り組んでいることが何でわかりますか?」と尋ねれば、やるべきことが鮮明になり、焦点がしっかり定まる。「イエス」には、それに境界と形を与える「ノー」が伴わなければならない。

 

⑦あなたにとって何が最も役に立ちましたか?(学びの質問)

学びの瞬間が生まれる場をメンバーに与えるのが、マネジャー、リーダーの仕事である。この質問は、改めて問題を振り返り、洞察を得ることができ、「なるほど」と思う瞬間を生む。人は聞いたそばから忘れ始めるから、会話の最後に振り返りの質問をするだけでも、忘却を食い止める第一歩となる。