すごい!ラーメン凪の仕組みと人づくり

発刊
2025年8月10日
ページ数
296ページ
読了目安
251分
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推薦者

店舗ビジネスを拡大させるための仕組み
海外を含めて100店舗になる「ラーメン凪」の経営戦略と人材採用・育成の仕組みを紹介している一冊。
2006年に新宿ゴールデン街の一角から始まった1軒のラーメン屋が、100店舗を超えるまでに事業を拡大してきたノウハウが書かれています。

多店舗展開に必要な仕組み化をどのようにすれば良いのか。飲食業などの店舗ビジネスにおいて、参考になる内容が書かれています。

店舗ビジネスに必要なこと

凪スピリッツジャパンは「すごい! 煮干ラーメン凪」「ラーメン凪 豚王」などの運営などをする会社である。2006年に新宿ゴールデン街の小さな一角から「ラーメン凪」は走り出し、2025年現在、全国6カ国で104店舗を展開。直営・FCも含めた全世界のグループ年商は130億円である。

 

ラーメン店は「出店したい業態」としてトップ5に入る人気業態だが、3年以内に閉店する割合が62.8%と断トツで高く、1年以内に閉店する店舗も30%以上という生き残りが厳しい業態である。

どうすれば事業を拡大できるのか。出した答えは次の通りである。

  • 複雑なことや新しいことをするよりも、絞り込みをする
  • つくるよりも売る
  • 誰でも成果が出せる仕組みをつくる

店舗ビジネスでは、これらのことに取り組まないと、これ以上事業を大きくできないと思い至った。特に仕組みについては、属人的にならずに、誰が取り組んでも同じように成果が出せるものをつくる必要があった。

 

凪の戦略

凪が経営の中心に据えているのが「経営計画書」である。これは、会社の将来の計画と方針を1冊の手帳にまとめた経営ツールである。経営計画書で、自分たちの夢を文字にし、夢を実現するための計画と方針を文字にする。社員教育で、経営計画書の計画と方針を実行できる人を育てる。この取り組みを10年以上にわたって繰り返し続けてきた結果、現在の凪がある。

 

凪が事業においてとっている戦略は次の通りである。

①商品の絞り込み

飲食店が事業として成立するためには、お客様に繰り返しご利用頂く必要がある。リピートして頂くための条件は「また、食べたい」とお客様に思い出して頂けるものをつくることである。

そのためにお店が心掛けることは「明日は今日より美味しいものをつくる」ではなく、「今日の美味しさを明日も明後日も、1年後も続ける」である。同じメニューのラーメンを出すのなら、今日と明日の味が違ってはいけない。飲食業にとって大事なのは「味を変えること」ではなく、お店の旗印になるものをつくり、それを同じクオリティで提供し続けること。それによってお客様が思い出し、繰り返し、来て頂ける。

味を変えないことは、ブランドをつくる上で大切である。同時にその味を深くつくり込んでいくことも必要である。味のつくり込みを続けることで、飽きのこないラーメンを提供し続けることができる。

 

基本的に商品は1種類である。かつては「365日日替りラーメン」という企画をやったり、様々なサイドメニューにもチャレンジしたが、それだとビジネスとして大きくなっていかないと気づいた。メニューを絞り込むことには2つの効果がある。

  1. お店の売りが明確になる:すべてのニーズを自分の店で取ろうとしないのが重要である
  2. オペレーションが容易になる:商品数が少ないと工程がシンプルになり、横展開が可能になる

 

②出店地域の絞り込み

凪が出店するのは、東京都心部とその近郊のみ。関西や九州など、他のエリアにはお店を出さない。やらないことを決めて、それによって浮いた戦力を一点に集中させることで、戦力でライバルを上回り、エリア内での認知度も上がり、成果が出やすくなる。

飲食店事業の基本は「地域の皆さんに愛されるお店」を増やすことである。東京都心部やその郊外には、地域の方が美味しいラーメンを求めているエリアがまだまだたくさんある。

 

国内での店舗展開に加え、海外での店舗展開

海外事業はフランチャイズ展開をしてきたため、人的リソースをさかれることはない。フィリピンには海外最多の45店舗を出店しており、日本同様に地域に密着した店舗展開を行なっている。そして、コロナ禍を経て、海外展開は直営による店舗を増やすことに軸足を移している。特にアメリカに注力しており、現在6店舗を出店している。

海外に店舗を広げる目的は、社員のためでもある。海外出店することで、仕事、人生の選択肢が増える。キャリアアップ、成長にもつながり、それに伴い給料が上がる。様々な可能性が広がることで、社員が夢を持って働き続けることができる。

 

こうした戦略に取り組む大前提として「ラーメンが好き」「ラーメンは面白い」「お客様の笑顔が好き」といった思いがある。優れた仕組みや戦略があっても、それを動かす人にこうした思いがなければ、飲食事業がうまくいくことはない。