強い組織は違いを楽しむ CQが切り拓く組織文化

発刊
2025年4月28日
ページ数
316ページ
読了目安
324分
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推薦者

組織文化を構築するための教科書
多様性の時代において、個人の想いと組織の目指す方向を一致させるためには、組織文化を構築する必要がある。

組織文化を構築するための鍵として「CQ(文化的知性)」を取り上げ、CQの高い組織にするために必要なことが解説されています。特に多国籍な組織の場合には、国ごとの文化の違いも含めて、他者を理解することが求められるとして、そのための解決策を提示しています。

組織文化の鍵「CQ」

どんなに素晴らしい戦略を立てても組織文化と相反すれば、実行のスピードは鈍る。組織文化とは、戦略の良きパートナーにすべきもので、そこに向かうためには、組織のパーパスやリーダーのコミットメントが必要である。さらに欠かせないのが、組織文化と個人の想いを共鳴させることである。

 

今日、組織で働く人たちの価値観や背景は多様化している。様々な場面で、メンバーが能力を発揮できて、共通のパーパスの実現に向かう組織文化が必要である。そのためには、文化を使いこなすための実践的な能力「CQ(文化的知性)」が不可欠である。CQはIQ(論理的な推論能力)やEQ(他者への共感と視点を理解する能力)と並べて挙げられるスキルであり、多様な人々や状況と効果的に関わる能力である。「違いに橋を架け、ポジティブなエネルギーに変える力」と言い換えられる。

CQはチームワークやコラボレーションなど、組織の活動の全てに影響を与える。CQがあれば「違い」を観察し、編集して、共創を実現する新しい組織文化や考え方や行動を生み出すことができる。CQの高い組織は、心理的安全性と知的誠実性を共存させ、意見やアイデアをぶつけ合うことができる。

 

CQのもたらす最大の価値が「共感」である。他者の考え方や感じ方になって、その視点から物事を見ようとする。そして、自分がして欲しいことを他者にするのではなく、相手が望むことを理解した上で向き合う。CQは、共感をベースにした行動を実践するために役立つ。自分と相手の視点を理解し、それを基に相互適応して、共創を実現する。

 

CQの4つの要素

CQの高い組織には、共感する力が根付いている。共感を具体的な行動に変える鍵となるのは、CQを構成する4つの要素である。

 

①CQドライブ(動機)

異なる文化の人材・チームへのオープンな好奇心と、違いと相互適応したいとする動機。共感の力を育む第一歩は「相手を理解したい」というモチベーションである。自分と異なる文化への好奇心、学び続ける意志、そして失敗しても立ち上がる力強さがその中心である。

 

②CQナレッジ(知識)

文化がどのように似ていて、どのように異なるかについての知識。文化やコミュニケーションスタイルの違いを学び、自他の視点や価値観を深く理解するための基盤となる。自分と相手の文化の共通点や違いを認識することで、より効果的なコミュニケーションや判断が可能になる。

文化の違いを理解するためのフレームワークが「ホフステードの6つの文化次元」である。6次元モデルは、文化間の相対的な差異を表す際に役立つ。

 

③CQストラテジー(戦略)

異なる文化を活用する設計力と内省力。ここには計画を立てることだけでなく、現場で相手を観察することや、情報収集、行動後の内省などが含まれる。文化的背景が異なる人が集まっている場合には、より戦略的なアプローチが求められる。

 

④CQアクション(行動)

多文化環境の中で状況に応じて行動を変える適応力。適切な言葉遣いや態度、非言語的なコミュニケーションの調整を通じて、相手に接する。

 

CQの高い組織文化を醸成する

CQの高い組織文化を醸成するためには、次の4つステップを回していく。

 

①現状を把握

6次元モデルを通してみることで、組織の文化を様々な角度から捉える。

 

②目指す文化を定義

現状を把握した後、「私たちはどんな組織文化を育てたいのか」を考える。チームで対話をしながら、6次元モデルを活用して、パーパス実践に最適なチームの「こうありたい」を具体的にイメージしていく。チームが目標を効率的かつ生産的に達成するための仕組みや合意事項を、具体的な行動基準まで落とし込み、日常業務に組み込んでいく。

 

③リーダーによる模範提示

文化の醸成は、一過性の取り組みではない。粘り強く継続していくものであり、そこではリーダーが重要な役割を担う。組織のリーダーが組織文化を体現することで、メンバーには指針が与えられ、信頼感が生まれる。

 

④行動基準とルールの策定、見直し、強化

理想とする組織文化を根付かせるためには、日常業務に組み込める具体的な基準が必要である。6次元モデルを通して、メンバー全員が一貫して行動できる基準を設定する。

 

共創のためには、新しい提案、既存の在り方に挑戦するような提案は不可欠である。提案したメンバーが報われる仕組みを作る必要がある。

参考文献・紹介書籍