コア・フレームワークを確執する
最も大きな成功を収め、長続きする会社は、コア・フレームワークへの強い支持を社内で育んでいる。コア・フレームワークを組み合わせることで、システムの一貫性が保たれて運営がスムーズになり、それにより従業員が最高の仕事を成し遂げることができる。
全従業員に適用すべきフレームワークは少ない。全社的なプロセスには莫大な調整コストがかかる。ルールが多すぎると、従業員やマネジャーがプロセスに従うことに時間を費やしてしまい、新しいアイデアを培って仕事をやり遂げる余裕がなくなる恐れがある。全社的なフレームワークは次の分野に適用すべきだ。
- ゴールとリソースの確立と計画
- 総合的な採用アプローチ
- 意識的なチーム育成
- フィードバックとパフォーマンスの仕組みづくり
事業の内容によっては、会社横断的、あるいはチーム横断的な日常業務を標準化すべき場合もある。
プロセスだけですべての仕事が片付くわけではない。仕事に欠かせないのは人だ。そして、最高の仕事をしてもらうには、できるだけ1人1人がありのままの自分を発揮することを推奨するようなマネジメントのスタイルが求められる。そして、スケールアップできる人材かどうかを判断し、1人1人を次のレベルへ押し上げるために役立つ直感力を養うことは、会社全体のフレームワークと同じくらい会社の成長に欠かせない。
事業運営の基本原則
基本原則は、仕事やチームをマネジメントする際に、その人ならではの価値体系として機能する。基本原則をはっきり説明できれば、他の人に自分の仕事のやり方を理解してもらいやすくなる。さらに、全社的なコア・フレームワークを策定し、実施していく方法の指針にもなる。以下の原則は、リーダー兼マネジャーとしての成功の土台になる。
①自己認識力を高め、相互認識力を築く
自己認識力は優れたマネジメントへの鍵だ。この項目はすべての土台となる。自分自身をスタート地点にすることで、誰もが自分自身を知っているような環境を整えられる。その結果、チームメンバー同士の理解も深まる。
自己認識力には3つの要素がある。
- 自分の価値観を理解する
自分にとって何が大切かを把握することで、自分の仕事のやり方、気力が満ちる状況と奪われる状況などがわかる。これらのインサイトを利用すると、自分の価値観が明らかになり、自分の価値観同士の矛盾や、自分と他人の価値観との衝突が起こった時に理解することができる。 - ワークスタイルの好みを見つけ出す
評価の4象限は次の通り。
・アナライザー型(内向的、タスク志向):意思決定に関して慎重
・ディレクター型(外向的、タスク志向):迅速な行動を重んじる
・プロモーター型(外向的、人間志向):アイデアに溢れるが、細かい管理が苦手
・コラボレーター型(内向的、人間志向):他の人がついてこれるような素晴らしいシステムを築ける - スキルとケイパビリティを分析する
次の2点について自問して、自己認識力のさらに戦略的な面を切り込める。
・あなたが非常に得意としていることは何か
・あなたはどんなケイパビリティ(能力・コンピテンシー)を持っているか
②言いにくいことを伝える
優れたマネジメントには多くのフィルターを持つことが重要だと考えられている。ある考えについて、そのまま口に出すとリスクがあるのでは、あるいは個人的な好き嫌いに過ぎないのでは、と感じられることは少なくない。しかし、フィルターのかけすぎには注意が必要である。フィルターを微調整し、勇気を出して自分の観察した内容を建設的に伝えれば、現状について、もっと率直で嘘偽りのない話し合いができるようになる。そうすれば、全員が一丸となって問題解決に取り組むことができるようになる。
言いにくいことを伝えるために役立つコツは以下の3つ。
・気持ちを伝える
・注意深く伝える
・人とアイデアやタスクを区別する
③マネジメントとリーダーシップを区別する
チームを編成し、部下の成長を促し、自分のキャリアのマネジメントを考える上で、マネジャーであることとリーダーであることの違いを認識するのは極めて大切だ。優れたリーダーはビジョンを打ち出し、必ずしも一本道ではなくても、社員が努力して目指せるような高いゴールを設定する。ビジョンが明確なので、全員が大局的なイメージに集中し、継続的にやる気を持って関われる。リーダーはマネジャーでなくても構わない。但し、本人がマネジャーでなければ、ビジョンの実行に適したチームをつくるためのマネジャーを採用し、その人と協力する術を知っている必要がある。
④オペレーティング・システムに立ち返る
どのチームにも、共通の構成要素がある。明確なミッション、明文化されたゴール、重要な指標、似たような構造のミーティング、週ごと・四半期ごとのリズム。そうすれば、リーダーとしてマネジメントが必要なチームを同時並行的にまとめられる。