センテニアルズ “100年生きる組織”が価値をつくり続ける12の習慣

発刊
2025年1月28日
ページ数
384ページ
読了目安
580分
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推薦者

長く続く伝統的な組織の特徴
英国王立音楽院、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート、オールブラックス、NASAなど、長く続く組織に共通する特徴を分析し、組織が長期的に継続するために必要な要素とは何かを解説している一冊。

短期的な目標を追求することで、企業文化が崩壊してしまったり、リーダーの世代交代に失敗して、凡庸な企業になってしまうなど、長期的に企業を繁栄させることが難しい一方で、一部の組織は長期的に継続する運営をしている。
長く続く伝統的な組織から、変化に対応しながら、継続的に繁栄するための組織運営のポイントを学ぶことができます。

革新的な伝統主義の組織

短期的な目標を原動力にすると、長期的な視点が損なわれ、それ自体が組織の存続を脅かす危険性がある。長い伝統を持つ組織「センテニアルズ(百年組織)」は、野心的な長期目標を掲げ、それを追求する過程で、短期的な利益に屈することを拒絶する。彼らの哲学は、目の前の状況を常に注視しつつも、地平線上を常に見据えるというものである。

 

センテニアルズのために働く人々は、常に動き回り、新たな発見をし、アイデアを交換している。しかし、各センテニアルズの中心には、時間をかけて構築され、長年受け継がれてきた価値観の安定したコアがある。それは常に変わらない揺るぎない目標や、過去を大切にしつつ未来を見据える文化である。変化が必要となれば、このコアはそれを受け入れるが、それは慎重にゆっくりと行われる。つまり、センテニアルズは安定したコアと破壊的なエッジの両方を持ち、両者のバランスを注意深く保っている。

 

センテニアルズの揺るぎないコア

①北極星をつくる

センテニアルズは社会の未来にポジティブな影響を与えるという高次元の目的を持たなければ、いつかは資金と才能が他へ行ってしまうことを知っている。彼らに共通しているのは、過去100年以上にわたって彼らを支えてきた指針となる目的、つまり北極星があることだ。

目標、価値観、成果が一致すれば、革新的な結果を生み出す。センテニアルズと共に働く人たちは皆、何を達成しようとしているのか、そこに到達するためにどのような計画を立てているのかを正確に理解しており、それに関わる志を列挙できる。

 

②子供とその子供のために

ほとんどの組織は、社会で働くための準備は、すべて学校や大学で行われ、必要な時には必要な人材がきちんと用意されていると考えている。一方、センテニアルズは若い世代の興味を引き、情熱を引き出し、適切なスキルを身につける手助けをしなければ、彼らがいざ仕事を選ぼうとした時に、人材が育っていなかったり、他へ流出したりすることを知っている。

それゆえに、彼らは学校や大学とのアウトリーチ・プログラムを実施している。効果的なプログラムを作るのに、さほど時間はかからない。職場体験やコンテストの企画、賞品は効果的であり、組織化も容易である。実習や新卒研修、インターンシップなど、アイデアやプロジェクトは小規模でも、有意義な結果を出すことができる。

 

③強固な基盤を持つ

変化する世界に適応するには「破壊的イノベーター」は必要だが、革新的な思考は、しばしば文脈や意味の理解を犠牲にすることがある。センテニアルズは、2つの異なる役割の間で慎重なバランスをとっている。イノベーションと変化に不可欠な「破壊的イノベーター」と、組織の文化の最良の部分を保持し、軌道を外れないようにする「安定したスチュワード」(組織の保護者)という役割である。

組織の1/3〜2/3を占めるのが「破壊的イノベーター」である。組織は彼らが最高の成果を発揮できるよう、様々な役割を持たせたり、異なるプロジェクトに参加させたりする。「安定したスチュワード」は、チームが50〜70人で構成されるような組織の1/4を占める。彼らはフルタイムで組織のために働き、組織全体に広がっている。安定したスチュワードは、控えめで謙虚、自分が成し遂げたことよりも、見逃してしまったかもしれないことを気にしている。彼らの関心は今ここにあるものよりも、後に残るものである。

 

④ギャップを作らない

センテニアルは、3、4世代の人材を含む多世代組織を注意深く構築している。基本的に5人で成功するグループには、その成功を維持するために最低20年の集合的経験が必要である。50人の組織であれば、必要な経験は200年以上になる。

センテニアルズは入念に引き継ぎを管理する。これにより、何も失われることなく組織の継続性が保たれる。

 

⑤人前で演じる

顔見知り同士で構成されたグループは、すぐに誰もが受け入れられる答えに落ち着く傾向がある。一方、ストレンジャー(外部の人)が加わったグループは、証拠をより深く精査し、様々な角度から可能性を検討し、より考え抜かれた結論に達することができる。

センテニアルズにとって、ストレンジャーの前でパフォーマンスすることは、彼らの活動にとって不可欠なことであり、成長と改善の機会である。

 

⑥多くを与え、多くを得る

センテニアルズは、自分たちのストーリーを、世界中の人々とわかち合うための努力を惜しまない。彼らが、オープンな運営方針を取るのは、オープンであることが信頼を生み、信頼が資金と人材を引きつけることを信じているからである。

潜在的な競争相手であっても、自分たちのストーリー、成果、失敗を共有することで、誰もが学び、改善する機会が得られる。そして、共有すればするほど、より多くの資金と人材が集まり、より多くのブレークスルーが起こる。