瞑想が脳の老化を防止する
脳の疲労からくる老化は20代、30代の内から始まっている。脳を適切にメンテナンスし、「長く使える脳」をつくらなければならない。
近年のエイジング研究で無視できないのが、長寿遺伝子「テロメア」の発見である。テロメアの長さは、老化のバロメーターとなることがわかっている。脳を若く保つためには、この遺伝子構造を長いまま維持することが必要である。実際、アルツハイマー病患者の脳を調べると、テロメア短縮が著しく進んでいるのが確認される。
テロメアの長さを決めているのが、テロメラーゼという酵素。適切な運動や健康的な食事、十分な睡眠など、数々の「アンチエイジング法」が有効なのは、これらがテロメラーゼ分泌やテロメア伸長を促すのと無縁ではない。
この酵素の分泌を促す上で、注目されているのが「瞑想」である。欧米で大流行しているマインドフルネスという瞑想法には、脳と身体に対する老化防止効果が確認されている。
マインドフルネス呼吸法
雑念回路を鎮めてくれるマインドフルネスは、テロメアを短くする要因を取り除き、テロメアの修復を助けてくれる。
①基本姿勢をとる
椅子に座る。お腹はゆったり、手は太ももの上、脚は組まない。目を閉じる。
②身体の感覚に意識を向ける
接触の感覚(足の裏と床、お尻と椅子、手と太ももなど)や身体が地球に引っ張られる重力の感覚に意識を向ける。
③呼吸に注意を向ける
呼吸に関わる感覚(鼻を通る空気、胸・お腹の上下、呼吸の深さなど)を意識する。深呼吸は不要で、呼吸が向こうからやってくるのを待つ。
④雑念が浮かんだら、注意を呼吸に戻す
毎日10分程度、習慣として継続する。
マインドフル・インターバル
継続的な運動にはテロメアを長くする効果があることが証明されている。運動は、アルツハイマー病のリスクを40%低減する効果が見込まれている。
①2種類の運動を使い分ける
中程度(=最大心拍数の60%程度)の有酸素運動を40分くらい継続する。ウォーキングを40分程度×週3回がベスト。
インターバル・トレーニング、例えば3分間速めのスピードで走って3分間休むを4セット行う。
②マインドフル・インターバル
ランニングやウォーキングの途中で速度を落とし、血液が手足の末端へ移動する感じや、呼吸が鎮まっていく時の変化にも注意する。
③ムーブメント瞑想
ラジオ体操、ヨガ、気功、太極拳など、スローなエクササイズを取り入れる。歩行に伴う感覚(両足が地面を蹴る感じ、筋肉・関節の動きなど)に注意を払う。
ウエイト・トレーニングによる筋肉増強には、テロメア伸長効果は見られない。適しているのはあくまでも有酸素運動。
マインドフル食事術
テロメアの短縮を防ぐ食品がある。
①「食べる」を意識する
食べる前に「なぜ食べたいか?」を意識する。食べ物の見た目・匂い・温度・触感などに注意を向ける。
②「依存」から抜け出す
必要以上に「食べたい」「飲みたい」の渇望感がないか、それを満たした時、身体にどんな変化があるかを確かめる。
③食品を選ぶ
以下の食習慣をできるだけ取り入れる。
・全粒穀物は少なくとも1日3食、緑の葉物野菜とその他の野菜を1日1回摂取する
・間食などにナッツをほぼ毎日取り入れる
・豆類は1日おきに摂取する
・週2回以上は鶏肉やベリーを摂取する
・魚は少なくとも週に1度摂取する
・毎日グラス1杯のワインは追加可能
・オリーブオイルを普段使う油にする
・バターは1日大さじ1杯未満
・チーズ、ファストフードや揚げ物は、1つでも週に1食未満