レベニューオペレーションの教科書

発刊
2024年9月25日
ページ数
336ページ
読了目安
367分
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推薦者

B2B営業の業務効率化と最適化を図り、収益を高める組織マネジメント
マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセスという収益獲得プロセスにおいて、組織間での目標の違いがもたらす非効率化を解消するための手法「RevOps」の解説書。

共通のゴールを設定し、全体最適の視点から組織間の調整を図るRevOpsの役割と導入にあたってのポイントなどが紹介されています。THE MODELなどのB2B営業プロセスが普及し始めた中で起こる課題を解消するための1つの手法として注目されており、RevOpsがある組織は収益率も高いとされています。

組織のサイロ化を防ぐRevOps

レベニューオペレーション(RevOps)は持続的な収益成長を実現するためにレベニュー組織の協業プロセスを強化し、戦略や戦術面で生産性向上を支援する方法論であり役割である。信頼できるデータに基づいた一貫性のある活動をレベニュー組織が実践することによって、顧客の信頼を得てビジネス成長を加速させることができる。

 

レベニュー組織の各フィールド部門(マーケティング、営業、カスタマーサクセス)には、それぞれ期待される役割を踏まえて専門性の強化と生産性向上が求められる。しかし多くの場合、目標やKPIに対する目線が部門ごとに異なり、各部門が自身の目標を達成しようとした結果、組織の分断が起きている。このレベニュー組織のサイロ化にとって、次のような課題が発生する。

  • 部門間の対立が発生し、組織としての統一感はなくなり、社員のモチベーションが低下する。
  • 部門間でデータが共有されないことで、全体像が見えずに誤った判断をしてしまう。
  • 一貫性のない顧客対応が発生し、顧客体験の質が低下する
  • プロセスが分断され、重複業務の発生により業務効率が低下する

これらのサイロ化による課題を解決するものとして、RevOpsが注目を集めている。

 

RevOpsの4つの役割

RevOpsは、プロセス、データ、テクノロジーの統合によって組織連携を強化し、GTM戦略の実現や顧客体験を向上できるオペレーションモデルを構築する。レベニュー組織のサイロ化を取り除き、レベニュープロセス全体を通してデータを可視化することで、健全なプロセス改善や収益成長を促す。

 

RevOpsを構成する役割は、大きく分けて次の4つがある。

①オペレーションマネジメント

レベニュープロセスの最適化と効率化を実現する。プロセス設計・標準化によって、レベニュー組織の業務効率を向上させ、人材・時間・コストなどを効率的に配分し、最大の効果を発揮できるように支援する。KPI目標を設定し定期的に評価やフィードバックをして、リソースやパフォーマンスを管理・改善する。

 

②レベニューイネーブルメント

収益向上のためにフィールド組織の能力を最大限に引き出す。GTM戦略やレベニュープロセスを踏まえて、レベニュー組織の各フィールド部門がシームレスに連携し顧客に価値提供できるように、トレーニングプログラムの開発、コーチング、コンテンツの提供・整備、テクノロジーの導入や利活用促進、インセンティブの設計などのトレーニングや育成全般を担う。

また、フィールド組織が顧客とのコミュニケーションで活用できるコンテンツをGTM戦略と連動した形で作成・整備することで、一貫したメッセージで顧客に価値提供できる。フィールド組織が高い生産性で業務を遂行するための最適なテクノロジーの導入や活用支援、戦略上重要な活動に焦点を当てて行動できるようなインセンティブ設計をCROやファイナンス部門と連携して実施する。

 

③RevTechマネジメント

フィールド組織が効果的に連携し、データを活用するためのテクノロジーの導入、統合、維持管理を担う。テクノロジーの導入においては、GTM戦略の実現に向けて効果的なテクノロジーを選定し、そのテクノロジーの能力を最大限発揮できるように構築やワークフローの自動化、他システムとの統合を行う。

 

④データマネジメント・インサイト

CROやフィールド組織にビジネス判断をサポートする情報を収集し提供する。各部門や顧客から収集したデータを整理し一元的に管理し、定量的な分析と定性的な分析の両方を行い、トレンドやパターンを見つけ出す。分析結果をレポートとしてまとめ、各関係者に戦略や施策を提案し、データに基づく意思決定を促す。

 

共通のゴールを意識した組織設計

レベニュー組織の連携強化の第一歩は、オペレーションモデルを理解した上で、共通のゴールを意識した組織設計をすることである。ゴールは「売上目標」「売上総利益」「新規の受注金額」などの収益に寄与する指標をレベニュー組織全体で意識し、各部門がゴール達成のための目指すべき目標の数値を合意する。

  • マーケティング:MQLのクオリティと数量、受注貢献割合
  • インサイドセールス:SALのクオリティと数量、受注貢献割合
  • 営業:新規受注金額、商談化からの受注率
  • カスタマーサクセス:契約継続率、契約解約率

 

一連の受注までのステップで行うリードの受け渡しプロセスを決定する際は、一度合意して終わりではなく自社を取り巻く環境の変化に応じて柔軟に調整できるようにフィードバックと改善を回していく必要がある。

 

 

参考文献・紹介書籍