お金の減らし方

発刊
2024年6月7日
ページ数
256ページ
読了目安
283分
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推薦者

お金は何のためにあるのか
お金とはそもそも何のためにあるのか、という根本的な意義を問い直し、人生においてお金をどのように使えばいいのかを考えさせる一冊。

単純にお金を増やすことだけが目的となりがちで、増やしたお金も本当に価値のあるものに使われていないことが多い現代において、改めてお金と人生についての認識の持ち方が書かれています。
お金そのものへの認識を改めて考えることで、自らの生き方も振り返るきっかけとなる内容が書かれています。

お金は価値を測るものさし

お金というのは、ものの「価値」を仮に数字にしたものであり、それを示す指標でしかない。お金以前に物品や作業の結果などにそれぞれの「価値」がある。その価値を認めなければ、交換することもなかったはずだ。

ある商品を買おうかどうしようかと悩んでいる時に、何をどう比較するのか、という問題にこの認識が必要になる。少し金銭感覚を持った人なら「このお金で他に何ができるだろう?」と考える。もう少し比較の対象を広げられる人は、そのお金はどのようにして自分のものになったのかという点を振り返ることができる。

ものの価値というのは、そのものの値段ではない、という点が重要である。値段は、売りたい側が勝手に決めた数字だ。買う側は、自分にとっての価値をそこに見出そうとする。

 

自分のためにお金を使っているか

本来は自分自身の満足度が価値となるはずだが、多くの場合、別の評価を受けることになりがちである。その最も多い例は、その品物を自分が持った時に、他者がどう感じるかという想像をして生まれる妄想的な価値である。これは、自分以外の人がそれを持っている時に、自分がどれくらい羨ましく感じるかという体験から類推されるものだ。特に最近では、ネットで持ち物を自慢したり、美味しいものを食べた、素晴らしい場所に自分は行った、という証拠写真をアップして、周囲のみんなに見てもらうという趣味が流行している。

 

もし、写真を撮って人に見せることができないとしたら、それを買うだろうか? それを食べに行くだろうか? その場所へ出かけていくだろうか?

それならしませんと答える人は、自分が本当にしたいことを見失っているように思われる。自分にとって価値のあるものに、自分のお金を使っていないことになるからだ。

 

自分にとっての価値を見極める

価値を評価するのは頭だ。未来のことを想像し、自分がそれによって、どれくらい楽しい思いをするだろうと考える。その楽しさの量が価値となる。その価値を、自分が働いて手に入れたお金と交換しても良いか、自分はその交換で得ができるのかという判断をする。

ものを買う、つまり「お金を減らす」ことは、自分が得をするための行為だ。その行為に及ぶ時に頭の中で想像するのは、自分の気持ちである。他者がどう思うのかなんて、難しい問題ではない。

 

もちろん必ずいつも得をするとは限らない。交換に失敗することもある。自分の気持ちの予測が充分にできなかった場合である。未来に起こる事象を見誤った場合にも、同様の結果となる。これらは観察不足が原因である。

このように、自分の気持ち(欲求)によってものの価値が決まるということに気づくことが、お金を無駄にしない上で最も重要な点といえる。お金を使って手にいれる価値とは、結局は自分の欲求を満たすことだ。だから、まず自分の欲求をよく知ることが基本となる。

 

値段が価値ではない

値段がすなわち価値だ、という安直な認識に長く浸っていると、高価なものは価値がある、高価なものを持っていれば周囲から尊敬される、というような歪んだ価値観へシフトしてしまうかもしれない。自分の欲しいものがわからない人間になっている。これは、自分の人生を見失っているに等しい。自分は何が好きなのか、何がしたいのか、ということを感じられないほど、感覚が麻痺してしまう、一種の病気だといっていい。

 

問題は、自分がどう感じているか、自分は何をしたいのか、という基本的なことが、今の情報化社会では見えにくくなっているという点である。周囲とのコミュニケーションが必要以上に個人を拘束しているため、自分がしたいことではなく、みんながしたいことを自分もしたいと思い込むようになっている。

 

自分の欲求を見定めよ

多額のお金を持っていても、そのお金を自分が欲しいもの、やりたいことと交換しなければ、価値は生まれない。お金を失うことで、価値が得られるのだ。

 

まず、どのようにすれば自分が満足するかを経験しなければならない。満足とは、面白い、楽しい、気持ちが良いなどの感性によって生まれるものであり、感性が鈍っている人には満足を感じることができない。

自分が楽しめるもの、自分が面白いと思えそうなものを、どんどん試してみること。その経験を積み重ねる内に、自分は何が好きかが、だんだんわかってくる。そういった体験が、自分にとって何が価値があるのかを理解する元となる。

 

お金は、自分の欲しいものに使う。必要なものよりも、欲しいものを優先すること。それはつまり、自分にとって価値のあるものを得るために使うということであり、結局はそれが自分の価値を見つける方法である。