データ活用の現状
企業が扱うデータの量と種類は爆発的に増えた。これらデータを活用することには確実なメリットがある。企業におけるデータ活用の最終的なゴールは、「ビジネスに役立つ知見=インサイトを導き出し、適切なアクションをとる」ことだ。ただ、それよりも手前の段階として、データの塊から必要な部分だけを取り出して精査する「分析」が必要になる。
そして、分析したデータを数字の羅列ではなく、人間が見て理解しやすい形にし、とるべき行動を判断しやすくする「可視化(表やグラフ、チャートで表現する)」が求められる。多くの人にとって、データを何らかの形で可視化してはじめて、それが意味する状況を理解することが可能になる。そして、可視化されたデータを通してインサイトを導き出し、アクションがとれるようになる。
実は多くの人は、既にExcelを使ってデータ分析と可視化を行っている。ただ、Excelの大抵の種類が扱える柔軟性が高いという特徴が、様々な課題を生んでいる。典型例に、人手によるデータの集計・加工に工数がかかること、レポート作成のノウハウが属人化しやすいことなどが挙げられる。
BIの登場
多くの企業がデータの分析と可視化に課題を抱える中、2010年頃から脚光を浴びるようになったのが「BI(Business Intelligence)」と呼ばれる製品群である。BIとは、様々な種類のデータを組み合わせた高度な分析と可視化により、大量のデータからビジネスの意思決定に必要な知見を導き出す手法である。
しかし、BIは本来、大掛かりなシステムであり、使いこなすにも相応の知識が求められる。これに対して、導入のハードルが低く、それほど知識がなくても使いこなせるツールが、2015年頃から登場し始めた。「セルフサービスBI」などと呼ばれる。代表的なものにTableauやPower BIがあり、「自分のPCで実行できる」のが特徴だ。
データ活用を専門家から一般ユーザーへ
BIやセルフサービスBIは、データサイエンティストやアナリストなどの専門職を主要なユーザーとして想定している。目的としているのは、専門家の高度な知識に基づいてデータを「分析」し、一般ユーザーには発見できない知見を獲得することだ。
BIツールは導入しただけでは意味がなく、アクションにつながってこそ価値がある。全社的なデータ活用をしたい経営層やすべてのビジネスパーソンに対して、課題を解決する選択肢として、登場したのがDomoである。Domoが主目的とするのは、ビジネスユーザーがデータを見て現状を「診断」し、その結果を踏まえて適切かつ迅速なアクションにつなげることだ。
Domoを導入することで、企業では経営層から一般層まであらゆる社員が、場所、時間、デバイスを問わず、リアルタイムに共通のデータを活用し、ビジネスの意思決定と迅速なアクションを推進できるようになる。また、Domoが中心となることで、部門の壁を超えてデータが共有される体制を実現することも可能になる。
このようなデジタルでつながった組織を実現することこそ、データ経営を実現する原動力となり、企業の競争力へとつながっていく。この点をトップが理解しているかどうかが、今後成長する企業とそうでない企業の分かれ道となるだろう。
Domoの機能
①接続必要なデータを取得するために外部のシステムやツールにつなげる。Excel、ERP、CRM、Web解析、デジタル広告などのファイルやシステムなどを接続する。
②準備
取得したデータを分析しやすい形に加工・変換する。複数のデータソースから取得したデータを組み合わて分析するため、それぞれの形式を整え、共通する項目で結合する。
③可視化
接続・準備したデータを集計し、多彩なグラフやチャートとして表現する。
④共有
チャットやタスク管理機能などで、可視化したデータを使って社内でコミュニケーションする。