セールスイネーブルメントのビルディングブロック
セールスイネーブルメントとは、効果的に営業チームをサポートする方法にまつわる役割、役職、増え続ける知識体系である。営業リーダーが、セールスイネーブルメントの役割を効果的に開始または進化させ、成果を達成するには、12個のビルディングブロック(構成要素)に重点を置く。
①顧客理解
顧客のペルソナ、COIN-OP(課題、機会、影響、ニーズ、目標、優先順位)、顧客が解決しようとしている問題、達成しようとしている成果、それぞれにおいて重要視される指標を特定する。プロセスの段階ごとの目標、タスク、完了条件を含む顧客の一般的な購買プロセスもこのブロックに含まれる。
営業は現代でも「1対1」または「1対少数」の活動だ。営業をかける際はまずペルソナのデータを最大化するべきだが、その後はペルソナ調査の枠を超え、実際の商談相手に関する深い知識を得る必要がある。相手のCOIN-OPの核心に迫るとともに、実際に意思決定を下す人のリスク、指標、圧力、政治、感情的要因、個人的ニーズ、個々の状況判断をも把握しなければならない。
②バイヤー(顧客)エンゲージメントコンテンツ
バイヤーエンゲージメントコンテンツは2種類ある。
- 案件発掘:営業担当者がアウトバウンドの案件発掘を行い、顧客の関心をひき、反応を得るために使用するコンテンツ
- 商談管理:購買プロセスを辿る一般的な顧客のペルソナが完了条件を満たせるよう作成されるコンテンツ
このコンテンツでは顧客の質問に答え、企業、製品、サービスに関する疑問を解消することでエンゲージメントを実現し、顧客が効果的に購入決定を行えるようにする。
バイヤーエンゲージメントコンテンツは、顧客理解とペルソナ調査、中でもプロセスの段階およびペルソナごとの購買プロセスの完了条件に基づき作成しなければならない。コンテンツを理解し、効果を最大化するには、それが営業によってどう使用され、顧客によってどう消費されるかを把握することが重要である。
③営業サポートコンテンツ
経営層が意図した通りに営業チームが行動できるようサポートするプレイブック、資料、ジョブエイド、早見表、ツールなど。
④営業の採用
それぞれの職務で成功を収めるであろう営業担当者やマネージャーの募集方針の決定、募集、採用、育成を行えるよう計画とプロセスを共同で作成する。
⑤営業トレーニング
営業チームをサポートするトレーニングと育成計画を作成する。これにはビジネスの目標をサポートするオンボーディングと継続的なトレーニング、営業プロセスと営業メソッドの教示、不足している営業スキルの獲得を目的とした継続的なトレーニングの開発、営業マネージャーのトレーニングとイネーブルメントが含まれる。
⑥営業コーチング
営業コーチングのモデルを選んで能力開発フレームワークを導入し、障害を取り除き、マネージャーに対するイネーブルメントを行う。営業担当者とマネージャーを継続的なプロセスに参加させて営業力の不足を補い、組織的な営業の熟達を実現し、パフォーマンスを向上させる。
⑦営業プロセス
営業プロセスを購買プロセスに関連付ける。また、各段階での顧客と営業にとってのプロセスの目標、タスク、完了条件を記録する。
⑧営業メソッド
案件発掘、商談管理、戦略的アカウントマネジメントにおける適切な営業メソッドを選び出す。可能であれば成績上位の営業担当者の分析、あるいは有効性が実証済みのベストプラクティスを用いて、職務ごとの営業力育成に努める。
⑨営業分析と指標
商談の受注率、平均販売価格、クロスセル、オンボーディングの強化期間、受注までの速度、営業の生産性、目標達成率、コンテンツ共有、KPIなど、重要な営業指標の基準を定める。トレーニング前後の結果を追跡し、営業のオンボーディングや学習指標に沿ってあらゆることを分析する。
⑩セールステックとツール
営業チームのサポート、効率性の実現、営業活動にかける時間の増加、営業の効果的な活動のサポートにつながるセールステックを選択、導入する。
⑪営業報酬と評価
シニアリーダーが望む行動や成果につながる営業担当者の給与、インセンティブ、評価、報酬を設定する。
⑫営業マネージャーイネーブルメント
営業担当者の目標達成をサポートできるよう、マネージャーに対するトレーニングを行う。トレーニング内容にはパフォーマンスの分析、適切な介入の選択、効果的なコーチングが含まれる。コーチング文化を醸成して、営業力育成のフレームワークを実装する。また、社内に浸透させる営業マネジメントオペレーティングシステムとマネジメントの規律を決定し、それらに関するトレーニングをマネージャーに対して実施して、実行責任を取らせる。
ビルディングブロックはコミュニケーションとシステム思考に支えられている。