デジタルプラットフォームへのシフト
プラットフォームには、伝統的な経営手法にはない特有の共通点がある。新興企業は、独自のやり方で人々を誘致し、仲介して、お互いと取引できるよう彼らを結びつける強力なエコシステムを備えている。プラットフォームとは、在庫を持ったり製造したりするよう要求されることのない、コミュニティの力で取引を発生させるオープンなビジネスモデルだ。
多くの場合、プラットフォームは、コミュニティの力をもたらすことで既存企業に対する真の競争相手となる。もはや店舗のような物理的な資産からは競争優位を得られず、「デジタル配信モデル」が必須となった。オフラインからオンラインへシフトする陰で、この「デジタル・プラットフォーム・ビジネスモデル」への進化こそが本質的な変化である。
プラットフォームの典型的な要件
①クリティカルマスの顧客を両サイドに誘致する②両サイドの顧客を仲介する
③両サイドの顧客間で交渉させる
④両サイドの顧客間で取引させる
⑤オペレーションとエコシステムを最適化し続ける
マルチサイド・プラットフォームを立ち上げるために必要な手間と労力は、ロケットの打ち上げにも匹敵する。両サイドの市場に人を集め、それぞれに拡大策とマーケティングを実施する必要がある。
プラットフォームの機能
①誘致する生産者と利用者が引きつけられるのは、プラットフォームで互いに取引する機会を得られるかどうかだ。誘致する際には、両サイドに向けた「価値提案」の設計が欠かせない。うまくいけばネットワーク効果が働くため、まずは両サイドでクリティカルマスに到達するまで参加者を誘致できるかどうかが、長期的な成功の鍵となる。
②仲介する
プラットフォームにおいて両サイドの間で取引をしてもらうには、まず、双方を紹介する必要がある。質の高い仲介は、プラットフォームの成功に不可欠である。プラットフォームが拡大するにつれてマッチングの重要性は高まる。モノや情報が溢れる時代には、絞り込まれた適切な選択肢を示すことが価値を生む。参加者にとっての効果的な仲介とは、選択肢がニーズに合致し、タイミングがよく、情報の量と質が適切であることをいう。
③交渉する
取引の段階に進む前に、参加者間で追加情報を交換し合う必要が生じることもある。交渉には、参加者同士の信頼を高めるだけでなく、取引の妨げになる「情報の非対称性」を抑える効果もある。
④取引する
プラットフォームは、エコシステムに関係する人たちの間で様々な相互作用を生む。プラットフォーム事業者と参加者が交換するのは、多くの場合、金銭ではなく情報である。
関係者間の相互作用の内、プラットフォームの存在理由そのものである相互作用を「コア取引」と呼ぶ。コア取引は、プラットフォーム全体の価値提案を成立させる「補助的相互作用」によって支えられている。この2つの発生件数を最大化することが目標となる。
⑤最適化する
データを元に推進していくことで、両サイドのバランスを取り、仲介や交渉、取引するための機能を最適化することができる。
プラットフォームを支える6つの促進剤
プラットフォームは、次の6つの促進剤によってサポートされている。
①ガバナンス
②信頼
③ブランド
④ITインフラ
⑤ユーザー体験
⑥決済
これらの促進剤はプラットフォームの成功には欠かせない。