命綱なしで飛べ

発刊
2023年1月10日
ページ数
437ページ
読了目安
534分
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成功したいと思う人が陥りがちな罠
ハーバード・ビジネススクールの教授が、不安で自分を変えることができない人へ向けた、自分を動かすための方法を紹介しています。
成功を強く思う人ほど陥りがちなパターンや罠を解説し、いかにそれを乗り越えるべきかが書かれています。
変化の激しい時代に、どのような信念で不安を克服し、成長すべきかという教訓が得られます。

成功したいと強く思う人が陥りやすい11の特徴

仕事で結果を出したい、成功したいと強く望む者には、次の11の特徴がよく見られる。

  1. 与えられた仕事は何としても成し遂げようとする(自分の仕事中心主義)
  2. 「緊急」と「重要」の区別がつかない(常に全力)
  3. 人に任せられない(優秀という自負)
  4. 現場で活躍するプレイヤーから「管理者」にうまく移行できない(永遠のプレイヤー)
  5. どんな犠牲を払っても今やっている仕事をやり遂げようとする(割り込みNG)
  6. 難しい話を避ける(嫌なことは先延ばし)
  7. コメントやフィードバックを強く求める(欲しい言葉は決まっている)
  8. 気分の両極端を行ったり来たりする(超・気分屋)
  9. 人と比べる(他人が常に気になる)
  10. 安全な仕事しか請け負わない(計算高いリスクテイカー)
  11. 罪悪感に苛まれる(全部できないとダメ病)

 

これらの特徴は多くの人に見られる。当てはまるものがあるからと言って、キャリアに支障が生じるわけではない。むしろそうだと気づき、意識できれば今より生産的になれる。

 

勇気を出して「格好悪くても望ましいこと」をする

結果を出したい、成功したいと強く望む者の多くは、進む道に障害物があっても、「自分が得意なこと」をして乗り越えようとする。すなわち、ルーティンの枠を出ない行動を取って、生産性を下げないようにする。つまり「変化に抵抗する力」があり、この性質がポジティブにもネガティブにも作用する。

 

仕事でさらに成功し、満足を得るには、変わらなければならない。しかし、「自分を変える=手綱を離す」ということで、自分を完全にコントロールできなくなるかもしれないという不安にとらわれる。

成長したいのであれば、自分が弱く、もろくなる状況に身を置いてみなければならない。何かを「見事にこなす」には、何かを「格好悪くてもいいから」しなければならない。それ以外に道はない。まずは弱さやもろさを見せてしまうことだ。そうやって変化が期待できる時こそ、学び、成長し、満足が得られるのだ。

 

仕事で結果を出したい、成功したいと強く思う者は格好良く見せたい、今のイメージを崩したくないといつも気を使っている。愚かに見える、能力がないと決して思われたくないのだ。だが、これでは自分の存在を薄っぺらくしてしまう。周りの人たちにどう見えるか気にするあまり、行動を変えることができなければ、したくないことをあえて試みようとは思えなくなる。その結果、ひたすら「望ましくないことを無難にこなす」ことを繰り返すことになる。

 

「望ましくないことを無難にこなす」から、「格好悪くてもいいから望ましいことをする」への移行は、不安から勇気に移ることに他ならない。自分の弱さを認め、わからないものは「わからない」と正直に白状し、新しいスキルと知識の習得を心がけなければならない。その結果として「望ましいことを見事に行う」ことに昇華できる。

 

命綱なしで飛べ

目の前の現実に視点を定めることができず、目をつぶって「まばたき」をしてしまう。これによって、自信と決断力を喪失し、消極的になる。仕事で結果を出したいと思う者が不安を生み出す罠にはまると、考えすぎて行動できなくなることがよくある。

ここでいう「まばたき」とは、未知の恐怖を恐れ、躊躇いが生じ、以前取った行動を取ろうとすることを指す。過去や自分に語った物語に固執し、古い行動や自分の考え方に閉じこもってしまうのだ。

 

「命綱なしで飛ぶ」のは、「目をつぶって飛ぶ」のとは違う。「命綱なしの飛行」が機能するのは、準備が整い、よく考えた上で、自分の弱さをさらけ出し、勇気を持って行動に望むのがいいと判断できる時だけだ。

成功を望んで熱心に仕事を進める者は、決断しなければならない時がある。不安を感じる、リスクと伴う可能性がある状況に直面した時、目を逸らさず、前に進むのが正しいと信じて、前進する覚悟が時に必要なのだ。それによって「望ましいことをする」という強い意志が持てる。まばたきしない勇気は「必ず乗り越えられる」という信念に根ざしている。

 

精力的に仕事を進める者は、まばたきをしてもいい瞬間と、してはいけない瞬間を見極めなければならない。心配や恐怖を克服し、チャンスをつかみとるには、次のことをするといい。

 

①「論理」と「直感」を組み合わせて、望ましいことを行う

②ここで行動すべき、変化すべきと思うのであれば、賭けに出る

 

重要な決定を前にまばたきせずにいるための手順

  1. 恐怖や不安と向き合う
  2. 恐怖や不安を克服するために「目標」を立てる
  3. 学習し、成長するためには「自分は弱い、不安があると認める必要がある」と考える
  4. まばたきをしている自分の否定的な将来を想像する

 

練習を積んで、まばたきしないでいられるようにしなければならない。まばたきしないことは、継続的にしなければならない。時間を重ねながら、まばたきしてはいけない状況を知ることができる。困難に挑戦し、不安を克服していく過程で、まばたきしてはいけないタイミングをより確実に見極められるようになる。