本に最先端の知識が集う
意識の高いビジネスパーソンは、今も変わらず本を読む。それは本が世の中に生まれる様々な最先端の思想やアイデアに、いち早く触れる事のできるメディアだからだ。確かに本は、速報性ではテレビやウェブにはかなわないし、新聞や雑誌の方がずっと早く世に出る。しかし、新たな知識やイノベーティブなアイデアが世に出るスピードで、本に勝る媒体はない。
多くのブームというものは、本がその火付け役になっている事が非常に多い。それは、テレビや新聞、雑誌などのメディアの人達が「ネタ元」として本を活用しているからだ。世の中のムーブメントの多くは、まず、本が注目される事から始まる。次に、雑誌に取り上げられ、さらにネットで話題になる。そして、最期にテレビに取り上げられる事で、一気に社会全体に広がり、パラダイムシフトが起こる。
多様なメディアがある中で、本がそうした地位を占め続けている理由の1つは、本が持つ権威にある。各界の第一人者と呼ばれる人の多くは、今も、本によって自分の考えを発信しようとする。
今の時代に必要なのは「知識創造」型の読書
本の重要性は変わっていないが、意識の高い人の本の読み方には、変化が見られる。「知識創造」「価値創造」型の読書をする人が増えている。旧来型の読書は、本に書いてある知識をしっかりと頭に入れ、それを必要な時に正しく迅速に引き出せるようにするというものだった。ところが「正確な知識を提供する」役目は、今やコンピュータにとってかわられてしまった。
代わりに求められるようになったのは「知識の創造」「価値の創造」だ。求められているのは、イノベーティブなアイデアや解決策を自らの頭で創造すること。既存の常識の枠を超える発想を生み出す事だ。
「知識の創造」には「情報の編集」と「知識の創造」という二段階がある。「情報の編集」とは、世の中の情報から、正しい情報と間違った情報を見分け、編集した上で発信する事だ。最初に情報の見極めが必要である。「知識の創造」は、正しい情報を元に、行動しながら思索を重ね、イノベーティブなアイデアや知識を創造する事だ。
知識創造型の読書の三原則
「知識創造型の読書」ができるようになるには、次の三原則を実行すればいい。
①目的志向型の読書をする
「なぜその本を読むのか」という目的を明確にして、本を読むこと。目的意識なく、たくさん読んでも、どの情報が必要なのか脳は判別できないため、仕事の役に立たない。例えば「ビジネスのアイデアを発展させるために、この分野の最新情報が欲しい」といったように目的を明確にして、必要な情報を能動的に「取りに行く」事が、知識創造をする上で必要だ。
目的を明確にすると、必要な情報が目に飛び込んでくるようになる。そして、リアルな行動につながりやすくなる。イノベーティブな知識の多くは、こうした過程の中から、生み出される。
②大勢の人と共に読む
「読書会」に参加したり、自ら開催したりする。読書会は「本」を触媒にする事で、参加者の脳を刺激し、さらに参加者同士のつながりによって、新たな「知」を生み出す事を可能にする。
大勢で本を読むと、自分一人では考えもつかなかった視点が得られる。さらに本を読んで得た事を人に語る事で、自分自身の思考を整理し、フィードバックを得る事ができる。その過程を踏む事が知識創造につながる。
③即、行動に結び付ける
あらゆる情報がネットを介していつでも手に入るようになった今、得た情報について机の上で考えている程度では、価値のある知識を生み出す事が難しくなった。必要なのは、情報を元にリアルな行動をする事だ。それが伴う事で、はじめて、価値の高い知識を創造する事ができる。