「商品」ではなく「物語」を売る
人が商品・サービスを買うまでの流れ「理想→課題→価値→方法」のストーリーを顧客と一緒に組み立てられる営業を「ストーリー営業」と呼ぶ。ストーリー営業では、顧客が気づいていない「理想」や「課題」を見つけ出して、それと自社の商品・サービスが提供する「価値」を関連させて伝えることが必要になる。
最初にすべきことは、顧客が抱くであろう「理想」や「課題」を、商談の冒頭で営業担当者が伝えられるようにしておくことである。そのためには、顧客が置かれている状況に近い事例を紹介することで、顧客自身にストーリーを喚起してもらうといい。
「挨拶」ではなく「驚き」を届ける
顧客に会うために最も効果的なのは、顧客のビジネスの成果につながる情報を提供することである。顧客に「気付き」や「驚き」といった有益な情報を提供できる営業担当者だけが、商談につながる機会を得ることができる。そのためには3つの切り口がある。
- 「データ情報」で気付きを与える
- 「トレンド情報」で気付きを与える
- セグメント情報で気付きを与える
商談のきっかけをつくる有効な手段として、最近ではホワイトペーパーやウェビナーを活用するケースも増えている。
「自社が主役の台本」ではなく「顧客が主役の台本」で動く
これからの時代に大切なのは、顧客の意思決定のプロセスに並走することである。適切なタイミングで、適切なアプローチを重ねて、購買へとつなげることが大切になる。ここで営業担当者が「自社視点」から「顧客視点」に変われば、購買までのプロセスに次のような形で並走するよう進化するはずである。
- 情報提供:顧客の方針に関連する情報を提供する
- 課題訴求:顧客が解決すべき課題を伝える
- 比較訴求:他社の商品・サービスと比較した際、自分たちの商品・サービスが課題解決に貢献できることを伝える
- 決定支援:顧客の意思決定を支援する
「自分のキャラクター」ではなく「相手のキャラクター」に合わせる
企業の購買はほとんどの場合、複数の関係者の合意や承認によって進む。営業で成果を出すには、顧客に対する解像度を高め、企業や家庭の中にいる1人1人の状況や心情を繊細に捉えていくこと。その上で、信頼関係を構築していくことが大切になる。
①顧客の4つの役割と特徴を知る
- 運用者:商品・サービスの導入・運用を進める
・導入や運用でフランが大きい状況を避けたい
・決裁者に評価されたい
・利用者に満足してもらいたい - 利用者:商品・サービスを利用する
・不便な状況を避けたい
・自分の成果を高めたい
・上司の指示に従いたい - 管理者:商品・サービスの購買について必要事項を確認する
・リスクを避けたい
・全体の整合性を取りたい - 決裁者:商品・サービスの購買の最終判断をする
・組織の方針や競合に関心が高い
・最終成果を高めたい
・商品やサービスの細かい機能には関心が低い
②顧客の4つの志向を知る
- アタックタイプ(達成支配型):商談の段取りを自分で決めようとする
- レシーブタイプ(貢献奉仕型):商談の段取りを自分からは決めない
- シンキングタイプ(論理探求型):商品・サービスの機能や性能、他社での実績などを細かく確認する
- フィーリングタイプ(審美創造型):商談では印象を重視する
「属人的なチーム」ではなく「再現性のあるチーム」をつくる
それまで属人的に取り組まれてきた営業活動から脱し、資料やノウハウを共有することで、再現性の高いチームへと変革する。チームで共有すべき営業ナレッジは大きく2つある。
- 営業コンテンツ:顧客向けの資料や動画
- 営業ノウハウ:社内向けの資料や動画
「感覚的なチーム」ではなく「科学的なチーム」をつくる
データと活かした科学的な取り組みこそ、これからの営業組織に必要である。そのためには、様々なデータ分析が必要である。営業の場合、それは大きく3つに分けられる。
- 「顧客ターゲット(誰に)」:顧客のセグメント別データを分析する
- 「営業プロセス(どのように)」:営業プロセスごとのデータを分析する
- 「営業コンテンツ(何を)」:営業コンテンツを分析する
「金銭報酬だけのチーム」ではなく「意義報酬にあふれるチーム」をつくる
営業チームの「意義」を明確に言葉にして共有すること。これを進めることで、1人1人の営業担当が、金銭的な報酬だけを目当てにするよりも、モチベーション高く働けるようになる。成果や行動の先にある「意義」を語るには、いくつかの切り口がある。
- 社会にとって、どんな貢献ができるのか
- 顧客に、どんなメリットを提供できるのか
- 目の前の仕事はキャリアに役立つのか