「伝わらない」が「伝わる」に変わるテクニック
自分では何かを伝えているつもりでも、相手に伝わらなければ意味がない。重要なのは、「伝える」ことではなく、相手に「伝わる」かどうかである。
コミュニケーションは、相手に「伝わる」ことで成立する。どんなに泥臭くても不器用でも、伝わったもの勝ちという側面がある。
自分の考えや情報を簡潔かつ的確に話す。これは「伝わる」ことの基本中の基本である。伝わるテクニックは次の通り。
①句点をたくさんつけながら話す
情報を端的に伝えるために意識すべきは「丸(句点)をたくさんつけながら話す」こと。丸をつけるとは、一文を短くするということ。
丸をつけると、聞き手はそのタイミングで情報を咀嚼できる。聞いた情報を1つ1つ咀嚼しながら「わかった」「わかった」と積み重ねていくことで、全体の内容をクリアに理解できる。
丸をたくさんつけるにあたっては、「が」「けど」を減らすのがポイントである。「が」「けど」を使いそうになったら、一旦丸を置いて文章を区切ると、スッキリした話し方に改善できる。
②カタカナ語を使ったら日本語を添える
カタカナ語をあまりに多用すると「英語を使っている自分」に酔っているように見えることもあり、鼻につきかねない。また、日本語が軽くなり、話している内容全体が軽薄に聞こえることもある。さらに、聞き慣れないカタカナ語は、聞き手の思考を止める。たくさん喋った割には、ほとんど伝わらないことが起こり得る。
最初にカタカナ語を出してから、日本語訳を添えると伝わりやすい。カタカナ語を減らすには、まずメールやLINEなどで文章を書く時に減らしていくといい。
③おばあちゃんに話すようにゆっくり話す
話し手の心理として、間が空くのは恐怖である。思うように言葉が出ずに沈黙すること、相手の話に反応できず会話を途切れさせることを怖がる人がほとんどである。
しかし、聞き手の立場からすると、間はそれほど不快なものではない。むしろ間をとってくれた方がありがたいこともある。特に早口な人の話を聞いた時、「もっとゆっくり喋って欲しい」と感じることは多い。
話し手が間を置くことで、聞き手は話の内容を咀嚼しながら、次の話に備えることができる。結果として、内容全体を把握できるようになる。間のとり方は、自分のおじいちゃんやおばあちゃんに話す時のペースを目安にする。
④伝えたい情報は1つに絞る
必要のない情報をたくさん出されるほど、気持ちが引くし、不愉快に感じることもある。情報を詰め込もうとしても逆効果。あれこれ詰め込もうとせず1つの情報をゆっくり丁寧に伝えるべきである。
5分間で何かを伝える場合、伝わる情報はせいぜい1つ。情報を絞る時のコツは、一度書き出してみることである。
⑤過剰な修飾語は省く
修飾語が多すぎると、かえって言葉にインパクトがなくなる。みんなが過剰な修飾語を使っている中で、1人だけシンプルな言葉づかいをすると、かえって伝わりやすくなる。
修飾語を削るにあたっては、まず修飾語の使いすぎに気づくことが肝心である。そして、修飾語を使うなら「ここぞ」という時に限定する。
⑥身近なモノと比べてイメージをふくらませる
「比較する」とは、何かを別のものに置き換えて、イメージを膨らませる手法である。比較の代表例として市民権を得ているのが「東京ドーム◯個分の広さです」という表現である。
比較の対象はたくさんあるので、何を選ぶのかというところにセンスが問われる。比較する時のコツは、対象を1つに限らず、2〜3個提示すること。
⑦「うまく話そう」と思わない
そもそも「うまく話す」とは何か。予定通りとか、ミスなくこなすとか、そういう次元を超えたところで「伝わる・伝わらない」は決まる。だから、うまくやりたいというのは、ベクトルが間違っている。
緊張した時には「うまく話そう」という気持ちを捨てることを意識する。「自分を良く見せようと思うな」と自分に言い聞かせる。緊張を回避するためには「すべては実験だ」と思うことが有効である。「実験なんだから、うまくいかなくて当たり前。失敗したらやり直せばいい」という意識で取り組めばいい。