マインドフル・ワーク 「瞑想の脳科学」があなたの働き方を変える

発刊
2015年5月22日
ページ数
336ページ
読了目安
508分
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瞑想がアメリカで大流行
現在、アメリカで大流行している「マインドフルネス」という瞑想について、その有効性や仕組みについて紹介している本。多くの企業で取り組まれているマインドフルネスの事情が書かれています。

ありのままを受け入れる

マインドフルネスは、心や身体の中で、また私達を取り囲む世界で、現在起こっている事について、最も基礎的なレベルで気づきを深める事だ。これらの動きに気づく事、目の前の現実と違うものを手に入れようと躍起になるよりも、それをありのままに受け入れる事だ。そして、マインドフルネスを養う優れた方法が瞑想だ。

 

この数年の間、マインドフルネスはビジネスの世界で勢いを増し、ゼネラルミルズやゴールドマン・サックスのような大企業でも実践されている。企業の社会的責任がますます問われる昨今、多くの企業は、従業員や社会の感情的、精神的な幸せにどうすれば貢献できるのかを問い始めている。その答えの1つがマインドフルネスなのだ。

 

マインドフルネスとは

マインドフルネスとは、過去の思いに囚われたり、未来を夢見たりする事なく、この時、この場所に存在する事だ。マインドフルネスとは、優しさ、好奇心、そして受容の心を具現化した状態の事だ。マインドフルになるとは、自分の身体の感覚を感じ取る事だ。例えそれが不快なものであっても、それに執着したり、消え去るよう望んだりしない事だ。マインドフルネスとは、自分の思考を、それが唯一の真実であるとは考えずに観察する事だ。

 

マインドフルネスは、起こる感覚をただ単に観察するだけにとどまらない。数週間、数ヶ月、数年間にわたって丹念に実践を続ける事で、私達の意識や心、行動に変化を起こす。つまりマインドフルネスは、より持続可能な幸福感をもたらし、思いやりの心を育てるための実践なのである。何度も続ける内に、私達は「無常」や「慈悲」といった難解な概念と相対する事になる。

 

マインドフルネスの効用

マインドフルネスを実践する事で、いくつかの有用な資質が得られる。ストレス軽減、集中力、他者への思いやりといったものだ。マインドフルネスがストレスを減らすのは、1つには自分で変えられる事と変えられない事を認識する手助けをしてくれるからだ。呼吸と身体を観察する事で、いくつかの事はコントロール不可能だという事がわかってくる。脚の痛みを消す事はできなくても、自分の反応は変える事ができる。雨を止める事はできなくても、雨によって感情が乱れる程度をコントロールする事はできる。マインドフルネスは、私達がひっきりなしに状況を評価し、批判し、それによっていかにストレスを生み出し自分を不幸にしているかに気づかせてくれる。ストレスは現実の出来事によって引き起こされるのではなく、それに対する私達のリアクションによって起こり、その反応の仕方が今この時の幸福感を決めるのだ。

 

自分の注意を現在の瞬間に引き戻すという、時に骨の折れる作業を繰り返すマインドフルネス瞑想は、集中力も鍛えてくれる。現在の瞬間にとどまろうと努力してみると、意識がいかに手に負えない存在か、いかに過去にこだわり、未来に逃走したがるのかが理解できる。マインドフルネスの実践により、私達は集中力を鍛え、意識を安定させ、ずっと長く穏やかなままでいるようにトレーニングできるのだ。

 

マインドフルネスに習熟し、思考と感情が現れ消える様子を観察できるようになると、意識の仕組みが見えてくる。雑念に心を奪われている事に気づくたび、頭の中の声や経験している事が唯一の真実だという考えから距離を置く事ができる。思考は身体の感覚と同様、一時的なもので、本当の自分を総体として表すものではない事を理解するようになる。