創造的に考えるための手順
①最初に、思考の対象となる物事を「課題」と「解決方法」に分解する。
この「課題」×「解決方法」を詳細に検討する場合には、5W1Hに分解して考える。
「課題」=「Who(どんな人が)」×「Where(どんなところで)」×「When(どんなことをしている時)」
「解決方法」=「What(何を使って)」×「How(どのように)」
②「課題」側で、統合思考と転換思考を用いてより創造的な発想に繋がる「課題」を特定する。
また、アナロジー思考を用いて、有効な「解決方法」を考えるヒントを得る。
③「解決側」で「3つの思考法」を用いて、新しい解決方法を生み出したり、まだ組み合わせていない既存の解決方法を探索して「解決方法」を特定する。
- 統合思考:トレードオフの課題をはじめ、様々な課題を同時に解決しようとする考え方
- アナロジー思考:類似する他の物事と結びつけて新しい発想をしたり、当該物事の理解を深めようとしたりする考え方
- 転換思考:常識を疑って、常識の正反対から考えたり、常識とは異なる角度から考えたりする方法
④「課題」と「解決方法」を組み合わせて創造的なアイデアを作る。
1つのフレームワーク
創造力とは「色々なものを繋ぐ力」である。この繋ぎ方のベースとなるのが「課題」×「解決方法」の組み合わせである。既存のありものの「解決方法」と、これまで結びつかなかった「課題」が結びついていくことで、新しい結合となり創造的なアイデアになる。
統合思考
統合思考には、次の2パターンがある。統合思考のポイントは、課題を抜本的に捉え直すことである。
①課題を抽象的に捉えて複数の課題を一気に解決する
創造的な考え方をする上で「本源的欲求」と「ニーズ」の違いを意識することが極めて重要になる。漠然と課題やニーズといっても、そこには抽象度が高く本質的な課題やニーズから、具体的で非常に細かい課題やニーズまである。これらを整理して構造化することができると、幅広い解決方法を導くことも可能になる。
- 本源的欲求:人間が誰しも持っている本能的な欲求
- ニーズ:本源的欲求が特定のシーンにおいて発現する具体的な欲求
本源的欲求はニーズと異なり、特定のシーンを前提としない。従って、ニーズではなく本源的欲求を解決しようとすることによって、前提となる具体的なシーンの状況に制約されずに様々な解決方法を考えられるようになる。
実際には、本源的欲求そのものを解決しようとすると、解決しようとする課題が大きすぎて具体的な解決方法がかえって考えづらいこともある。そうした場合には、ニーズを本源的欲求に少しずつ近づけていく(抽象化していく)ことで、最適な課題を特定する。この時、「Who」「Where」「When」の抽象度を調整することで、ニーズの抽象度を細かく調節することが可能になる。
②トレードオフの課題を見つけてまとめて解決する
無意識に諦めてしまっているトレードオフの課題にあえて着目すると、これまでとは思考や行動の質が変わり、大きな成果を出すことができるようになる。トレードオフの課題やニーズを見つけるには次の3つのステップがある。
- 現状感じている課題やニーズを可視化する
- 可視化した課題やニーズの中から統合すべき課題やニーズを選択する
- うまく組み合わせを作れない場合、次の2つの視点で考える
・選択した課題やニーズの真逆の状況を考えた上で、その状況の構成要素を考える
・選択した課題やニーズを実現する際に、何が制約になるのかを考えて、その真逆の要素を考える
アナロジー思考
全ての物事は「課題」×「解決方法」に分解され、さらには5W1Hに分解される。この枠組みで対象の物事を分解して、アナロジーのターゲットを考えることで、効果的に繋げることが可能になる。
アナロジー思考では、発想を遠くに飛ばすために「抽象化する力」が必要である。重要なポイントは、「何を」抽象化するのかということと、「どこまで」抽象化するのかということを区別して考えることである。適切な抽象度は、以下のようなものとなる。
「あまりに抽象的で類推の対象が無数に広がりすぎてしまうレベルから一段下げた抽象度のもので、繋げる範囲を限定する具体的な要素が最低1つは入っているもの」
転換思考
転換思考では、対象となる物事の真逆を考える。また効果的な方法として、二次元マトリクスを活用して対象となる物事を真逆にしたり、ずらしたりして考える。
課題を転換する方法には3つある。
①当該課題を解かなくても、より上位の課題を解消したり、目的を達成できたりする別の課題があるのではないかと考える
②当該課題が逆に強みにならないかを考え、新たな上位の課題を解決できないか考える
③当該課題を導くシーンを構成しているWho×Where×Whenを転換することで、当該課題が新たな課題に転換できないか考える