ソーシャルメディアは生命体と似ている
ソーシャルメディアは、有機体とよく似ている。私たちのコミュニケーション・ネットワークは、いわば「息づいている」生命体に進化し、そしてその生命体から私たちは今、食い扶持を得ている。もしそれが生命体のようなものであるなら、生命に当てはまるのと同じ法則が適用できるのではないか。
ソーシャルメディアユーザーは、個々に自律した有機体であり、感情を共有する機械を手に、互いに結びつき、時空を超えた繋がりを形成している。流動的に相互作用するそれらの人々の総体が、ソーシャル・オーガニズムという単体だ。遍在的な生命体、ソーシャル・オーガニズムは、常に自分で自分を育て、成長し、進化する。ソーシャル・オーガニズムの細胞にあたる私たち一人ひとりの人間は、情報の塊をミームとして共有したり増殖したりすることで、ソーシャル・オーガニズムの進化を手助けしている。それはちょうど、生きているものの内部で、遺伝的情報が移動するのと似ている。
ソーシャルメディアの世界における7つの法則
生き物には重要な特質が7つある。この法則こそ、物質界において生物と無生物を区別している。これら生物の7つの法則がソーシャルメディアにもほぼ当てはまる。
①細胞による構造
生物は細胞を中心に組織されている。単細胞生物のアメーバのような単純なものもあれば、人体のように、個々の役目を負った無数の細胞を収容する複雑なものもある。
ソーシャル・オーガニズムにとっての細胞とは、感情によって動かされる人間という無数の行為者だ。この細胞は一種のホラーキーを形成する。
②代謝
生物は栄養を必要とする。そして代謝によって化学物質とエネルギーを細胞物質に転換する一方、副産物として分解有機物を作り出す。
ソーシャル・オーガニズムという生命体においては、人間の感情的反応が代謝機能を果たし、コンテンツを処理したり吸収したり、共有したり再形成したりしながら全体として成長する一方、不要なものを自分の中から排除する。
③成長と複雑性
生物は、分解有機物を上回る細胞物質を生産することによって成長し、より複雑になっていく。
④ホメオスタシス
生物は、己の内的環境をバランスのとれた安定した状態に保つためにアクションを起こし、内的環境を整える。
ソーシャルメディアにおいても、代謝経路にあたる人々が感情を交換しあうコミュニケーション・ラインは常に開かれていなくてはならない。さもなければ均衡をとる力が失われる。
⑤刺激への反応
生物は外的環境の変化に反応し、己を守るために自身の性質や行動に修正を行う。
ソーシャルメディアというコミュニティでは、受け入れ難いものに対して、ハッシュタグのムーブメントが一種の免疫反応として機能する。
⑥繁殖
生物は、子孫をつくる。
文化を形づくる情報を積んだ「ミーム」によって社会のDNAは構成されるが、このミームが別のミームや別のアイデアを生むプロセスは、まさに繁殖である。
⑦適応/進化
生物は環境の恒久的変化に適応する。そして長期的には、生き残った者の遺伝子を子孫に譲り渡すことで、進化を遂げる。
新しいミームがもたらすアイデアは往々にして、対立する意見を持つ人々から反発を招くため、ソーシャル・オーガニズムはいつも何かの争いに直面している。人間の肉体が細菌にさらされることで強くなるように、生命体の適応および進化のために争いは不可欠である。こうした試練を通じて種は適応と進化を成し遂げる。同じことはソーシャル・オーガニズムにも通じるし、ソーシャル・オーガニズムから生まれる人間の文化にもそれは通じる。