クリエイティブ思考とは
ビジネスの現場で求められる創造性「ビジネス創造力」とは、「誰も答えを知らない課題に対して、新しい解を創造する力」である。このビジネス創造力を生み出すための創造的思考が「クリエイティブ思考」である。
クリエイティブ思考は、アメリカで生まれたイノベーションを生むための思考法「デザイン思考」に加えて、日本の様々なデザイナーや編集者、プロデューサー、クリエイターが用いている思考法を包含した概念である。
クリエイターは常に、目に見える「カタチ」あるアウトプットが求められる。その背景から、特にクリエイティブ思考はアイデアにとどまらず「カタチにすることにこだわった」思考法であるとも言える。
クリエイティブ思考に求められる6つのプロセス
創造的思考の基盤となるクリエイティブ思考では、次の6つのプロセスごとに手法を設けている。この6つのプロセスは必ずしもこの順番に実施するものではない。
①観察
生活者の動きや世の中の動きなどを観察することで、まだ表出していないニーズを見出す。大体の答えは現場にある。人や現場、社会情勢をフレッシュな目で見ることによって、固定観念を超える気づきを得ることができる。
②発想(発散-収束-結実)
頭の中にあるアイデア、そして自分でも思いもしなかったアイデアを見出す方法。発想には3つのプロセスがある。
- 発散:アイデアをたくさん出す
- 収束:アイデアをまとめていく
- 結実:それらプロセスを踏まえて、結果を抽出する
③試作(仮説検証)
アイデアはアイデアのままではクオリティの判断が難しいため、実際に試作品を作ってみることが大切である。この試作品を「プロトタイプ」と呼んでいる。プロトタイプによって、アイデアの存在検証や価値検証、仮説検証をする。
④選抜
発想によりたくさんのアイデアが生まれ、試作におけるプロトタイプを用いた検証により、アイデアを「選抜」していく。
⑤精錬
選抜したアイデアを、実際に社会に広めていく「製品」レベルまで磨き上げる。この工程を経ることで、アイデアの強度が高まり、より品質が良く、またアイデア自身が持つ社会への影響力が強くなる。
⑥伝達
伝達方法は、基本となる6つのプロセスのすべてにおいて人と関わる文脈で意識すべきものである。
0から1を創り出す時に最も重要なCause
Causeとは「理由」のこと。何かを生み出す時に1番大切なのは、理由である。理由は目に見えないため、その重要性に気づくことは意外と難しい。アイデアを実際に、人が目にして接することができる「形」にして、実現するためには、次の2つの理由が必要になる。
①実現に向けた理由
新しいビジネスを創る時、何かを創り出す時、最も大切なのは「そもそも何を目指しているのか。究極の目的は何なのか」を明確にすることである。理想はどのような状態で、今どうなってしまっているから、どう改善したいのか。それをはっきりさせる必要がある。
自分が本当に実現したいことを考えるにあたっては、3つの切り口がある。
1.幸福学からの観点
次の幸せの4つの因子を満たしたものを創るといい。
- やってみよう因子:自分の強みを持ち、夢や目標を達成しようと努力する人は幸せ
- ありがとう因子:多様な繋がり、感謝できる人は幸せ
- なんとかなる因子:物事を前向きに、また楽観的にとらえる人は幸せ
- ありのまま因子:自分らしく、他の人に左右されずに、マイペースで生きる人は幸せ
2.「誰かを幸せにするものであるか」という観点
ビジネスとは、誰かを幸せにするために始まったと言われている。誰かを幸せにするから、その労働への尊敬の証として、対価がもらえるのである。
3.自身の原体験
原体験は、過去の体験や価値観から「なぜ」を重ねて深掘りすることで見つけることができる。
②形をデザインする理由
理由を設計すれば、形は半自動的に決まる。アイデアが固まったら、そのアイデアに次の作成を行い、形の理由を設定する。ポイントはアイデアの人格化である。
- ビジュアルリサーチ:そのデザインに対して、どんな形が適切なのかリサーチする
- ムードボード:ビジュアルリサーチを分類し、1つにデザインコンセプトに対して1枚のボードにまとめる
- デザインパーソナリティ:デザインの3つのキーワードと3つの性格を設定し、人格化する