良いアイデアを出す上で「図を描く」ことが欠かせない
必要な情報を把握し、アイデアを生み出し、「まだ世にない新しい価値」を考えるのが、クリエイティブ思考である。「アイデアはセンスがある人しか出せないものだ」というのは間違いだ。アイデアの9割以上は「セオリーのインプット」と「ロジカルなアウトプット」によって生まれる。それは決して「思いつき」や「たまたま当たった」ということではない。
アイデアには大きく3つのポイントがある。
①ターゲットは決まっているか
「ターゲット」設定はビジネスをする上では欠かせないので、決まっている場合が多い。
②他にない新しい視点か
その商品の強みやコンセプト、さらに他社の過去事例からどんな視点で事業開発すれば良いかなど考える。
③心が動くか
ビジネスにおけるアイデアは9割がロジックだが、残り1割は「感動」だ。心が動くことでその商品やサービスを受け入れる。
これら②と③は、図を使って考えることでよりアイデアが出やすくなる。
確かに関連キーワードを広げるという意味では、単語などを文字で書き出すこと自体は正しい。但し、そこから関連性やアイデアを膨らませていく作業は、図で描くのが最も有効だ。頭の中で考えたことを具現化するには「描く」という行為は必須条件だろう。
図を描く時には、できれば紙に描く方がいい。その方がより全体の構造を理解しやすくなるからである。
アイデアを結果に変える8つの図のパターン
①成長型(切り株型):アイデアの全体図を把握する
単発の面白いアイデアが生まれても、なかなか実現しないのは、ビジネスにつなげるまでの全体像が見えていないからだ。そこでこの図を基に考えることでアイデアは生まれやすくなる。考える順番としては次の通り。
- どんなビジョンを持ってビジネスをするのか
- 想定するメンバーにどんなアセット(資産/能力)があるのか
- あなたのビジョンを実現するためには、どんな課題があるのか
- その課題を解決するためのコンセプトは何なのか
- 自社の「USP(強み)」を活かしたサービス/商品は何なのか
成長型をもとにしたアイデアと仮説を検証していく。課題やアセットは複数あっても構わないが、ビジョンだけは1つに絞った方がいい。
②比較型:立ち位置を認識し、方向性を明確にする
立ち位置を認識する場合、使うのは中央の十字線だけで良い。ビジネスで似たような競合サービスや商品がたくさんある中、自社のサービスや商品の強みを見つけるために用いる。
比較の軸に定性と定量がある時は、縦線を定性の軸、横線を定量の軸にして比較する。また最重要視するものは「縦線であれば上」に、「横線であれば右」にした方が良い。
③分解型:自分たちの強みを見つける
分解型はブランディングを考える上で非常に重要な型だ。ブランド力は焦点の広がりに反比例するため、それぞれの要素に分解させる必要がある。
人間の脳みそは怠け者で、考えること自体を面倒くさがる。いかにシンプルに記憶させるか、そのためにはエッセンスをなるべく分解して、シンプルなサービスや商品を設計していくことが重要になる。
④解釈型:物事を深掘りする
物事を考える時、細かいエッセンスに分解するだけでは足りない場合もある。そこで役立つのが「解釈型」だ。これは個々のエッセンス同士に「なぜ」「どうして」の因果関係を見つけるのが目的だ。因果関係を明確にすることで、自社の改善点が見えてくる。
⑤インアウト型:ビジネスや物事の流れをつかむ
入る(イン)と出る(アウト)を組み合わせる。ビジネスでは何がどこに集約し、何がどこに拡張するかを常に考える必要がある。これからのビジネスでは「インアウト」を駆使した企業独自のラベルを構築していく必要がある。
⑥結合型:企業の強み、コンセプトを考える
まずは分解型でエッセンスをミクロ化して洗い出し、散らかしたものを回収する時に役立つのが「統合型」である。サービスの強みを出すという意味でも、複数のエッセンスによって組み合わさった「掛け算」でコンセプトをつくる。
⑦応用型:他のビジネスのコアを見極める
他の業界や業種で使われているビジネスのコア(仕組み)が何なのかを見極め、自社に応用する。
⑧転用型:自社の強みを他に転用する
自社で使われているビジネスのコア(仕組み)を他の業界や業種で使う。
8つの図は、どれも経営学のセオリーに基づいている。
- 新事業でのビジョンを通して「成長」する全体像を把握する。
- 数値やグラフを使って「比較」し、自社のポジションや方向性を把握する。
- 自社の強みを見つける時は「分解」して、因果関係を探すことで「解釈」が深まる。
- ビジネスの商流を考える時は「インアウト」で集約して拡張する。
- 商品やサービスのコンセプトを「統合」して考える。
- 場合によっては他業界の仕組みを「応用」し、それを他に「転用」することもある。