ここからはじめる実践マーケティング入門

発刊
2015年10月22日
ページ数
277ページ
読了目安
356分
Amazonで購入する

Amazonで購入する

マーケティングの基本的なことを学ぶ
電通、オグルヴィ&メイザー、FIFA、マッキンゼー、ディズニーなどの企業で、マーケティングの経験を積んだ著者が、マーケティングの基本と実務をまとめた一冊。
マーケティングの基本中の基本から、抑えておくべきポイント、最新の知見まで網羅した入門書。

マーケティングとは

「お客さんにお金を払ってもらい、ものを買ってもらう」。その上で「その値段を払って満足だった」という思いをお客さんに提供するだけでなく、自社に収益を絶対にもたらさなければいけない。それがマーケティングの至上命題である。

マーケティングとは「買ってもらえる仕組みをつくること」と定義される。売れる仕組みにかかわる事であれば、すべてがマーケティングといえる。

 

マーケティングのプロセス

新しい商品を売ろうと考えた時、以下のプロセスを経る。

①コンセプト開発
・製品コンセプト開発:どんな製品をつくるか考える
・コンセプト・スクリーニング:コンセプトを取捨選択する

②事業性検討
・市場調査:それを売って儲かるのかを検討するデータを集める
・事業経済性分析:データに基づいて儲かるか分析する
・事業性の検討・意思決定:「やるかやらないか」を決定する

③戦略策定・製品開発
・事業戦略策定:どれだけ売れるのか、どう売ればいいのかを考える
・製品開発:どうやって世の中に出すかを考えながら新製品を開発する
・テストマーケティング:試験的に販売する
・製品生産

④市場参入
・新製品の市場導入
・市場導入後:実際に買ってくれているユーザーの反応を調べる

 

マーケティング戦略

事業戦略策定から市場参入までのプロセスの中で、以下の戦略の流れでPDCAサイクルを回す。

①市場機会の特定 →3C分析
外部環境と内部環境の分析を行い、自社にとっての市場機会を特定する。環境分析では、3C(自社・顧客・競合)をそれぞれ分析して、市場機会の特定を進める。

②マーケティング戦略構築 →STP
市場を特定する内にターゲットもおおよそ決まってくる。そこから、より細かくセグメントとターゲットを決め込み、ポジショニングが決まれば、マーケティング戦略が完成する。

・セグメンテーション(S)
同質のニーズを持つ顧客群に分ける。世の中的に、ある程度わかりきっているところで切った方がいい。かつ、そのセグメンテーションで売れているかどうか、後から追いかける事ができるものにするのが肝になる。

・ターゲティング(T)
顧客群に魅力があるか自社の強みを活かせるかを見極める。それを計るには6つの要素(成長性、規模、競合、顧客の優先順位/波及効果、到達可能生、反応)を見る。この6要素があるところに市場を設定するとうまくいく。

・ポジショニング(P)
顧客に競合商品よりも魅力的に見せる。ポジショニングの際には、4つの質問に対する答えを明確にする。

1.誰のためにあるの?(相手にする顧客像が明確)
2.これの何がいいの?(顧客にとって重要な提供価値)
3.それってわかりやすい?(明快なメッセージがある)
4.これまでと矛盾しない?(既存製品や企業のブランドとの整合性)

③実行
・マーケティング・ミックス(4P)
商品コンセプトをもとに4P(商品・価格・流通・プロモーション)をふまえた最適な実行施策を考える。STPで設定された戦略と論理的に整合性がとれていて、かつブランド力と顧客基盤を最大化する事を常に考慮して作成する。

 

マーケティング・プランを成功させる4つのコツ

マーケティング・プランはマーケティング活動の基本である。成功するには次の4つのコツが大切である。

①良いデータに裏付けされている
マーケティング実務の成功は、調査、情報収集、分析にかかっているといっても過言ではない。データがどのようなもので、どのように解釈できうるのか、きちんと調べ、データの正確な扱いを知って、正しい分析を行う。その結果に基づいて戦略を立てる。

②全社戦略とそれに紐づくブランド戦略に紐づいている
マーケティング・プランは、短期的に売上を上げるためだけにつくられるものではない。究極の目的は、売上を上げると共に、ブランドを構築し、会社の価値を高めていく事である。

③整合性が細部までとれている
良いプランは、データの丁寧な提示、戦略の細かな書き込みやポジショニングの詳細な説明など、細部もしっかりとわかりやすく書かれていて、整合性がとれている。どの方向になら思い切りクリエイティビティを発揮していいかがわかるプランが良いプランである。

④無理なく実施できるわかりやすい内容になっている
どんなに素晴らしいが描けても、それが協業する各部門に受け入れられない、難しくてなかなか理解されないという事になれば、実施できても、その価値は半分以下に減る。大事なのは、最新の理論やツールを使う事により、無理なく実施できる内容で、他の部門の理解が得られるプランを、各部門が行うべき事を理解してもらった上で実施する事である。