異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

発刊
2015年8月22日
ページ数
320ページ
読了目安
481分
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推薦者

異国の文化を理解するためのツール
異なる文化の違いに着目し、どのように多国籍な人々を組織としてマネジメントしていくかについて、示唆を与えてくれる一冊。各国の文化の違いを8つの指標で示されています。

文化の違い

国をまたいでビジネスを行うマネジャー達の大部分は、文化が彼らの仕事へどのような影響を与えているかほとんど理解していないのが現実である。私達が気づいていようがいまいが、コミュニケーションの微妙な差異や「良いビジネス」だとか「一般常識」に対する各国の認識の違いは相互理解に甚大な影響を与えており、ひいては私達の仕事のやり方にも影響を与えている。この差異を意識せず、効果的に対処する戦略を用意しないでいると、チームミーティングは脱線し、従業員達の士気は低下し、外国の取引先はいら立ち、その他あらゆる点で目標達成をずっと困難なものにしてしまう。

次の8つの指標はそれぞれマネジャーが自覚しておくべき分野を表し、その分野内で両極端の特徴の内、当該文化がどこに位置するかを示す事ができる。そして、ある文化と別の文化の指標における位置づけを比較する事で、国際チームに文化がどう影響しているかを読み取る事ができるようになる。

 

カルチャー・マップ8つの指標

①コミュニケーション(ローコンテクスト⇔ハイコンテクスト)
アメリカ←オーストラリア←ドイツ←ブラジル←フランス←ロシア←中国←日本

②評価(直接的なネガティブ・フィードバック⇔間接的なネガティブ・フィードバック)
ロシア←ドイツ←フランス←オーストラリア←アメリカ←ブラジル←中国←日本

③説得(原理優先⇔応用優先)
フランス←ロシア←ドイツ←ブラジル←オーストラリア←アメリカ

④リード(平等主義⇔階層主義)
オーストラリア←アメリカ←ドイツ←ブラジル←フランス←ロシア←中国←日本

⑤決断(合意志向⇔トップダウン式)
日本←ドイツ←アメリカ←ブラジル←フランス←ロシア←中国

⑥信頼(タスクベース⇔関係ベース)
アメリカ←オーストラリア←ドイツ←フランス←日本←ロシア←ブラジル←中国

⑦見解の相違(対立型⇔対立回避型)
フランス←ドイツ←ロシア←オーストラリア←アメリカ←ブラジル←中国←日本

⑧スケジューリング(直線的な時間⇔柔軟な時間)
ドイツ←日本←アメリカ←フランス←ロシア←ブラジル←中国

 

文化の見取り図を作る8つの指標

8つの指標を読み解く際に重要なのは、指標における各文化の絶対的な位置ではなく、2つの文化の相対的な位置関係である。

①コミュニケーション(ローコンテクスト⇔ハイコンテクスト)
ローコンテクストの文化圏においては、シンプルで明快で曖昧さがない事が効果的なコミュニケーションだとされている。一方、ハイコンテクスト文化における良いコミュニケーションのあり方は、共通点や暗黙の了解がある事を無意識に前提としたコミュニケーションを行う。

 

②評価(直接的なネガティブ・フィードバック⇔間接的なネガティブ・フィードバック)
多くのヨーロッパの国は直接的な批判を行う傾向が高い。アメリカは真ん中に位置し、多くのアジア諸国は直接的ではない。評価の指標で自分より率直な文化を相手にする時は、率直すぎる対応をしてしまう可能性があるため、彼らの真似をしてはならない。

 

③説得(原理優先⇔応用優先)
原理優先の思考法は、結論や事実を一般的原理や概念から導き出す。反対に応用優先の思考法は、現実世界の個別の事実を積み重ねる事で普遍的な結論へと至る。原理優先の文化の人々は一般的に、行動へ移る前に「なぜ」を理解したがる。一方で、応用優先の人々は「なぜ」よりも「どうやって」に重きを置く傾向にある。

 

④リード(平等主義⇔階層主義)「権力格差が低い」事を平等主義と言い、「権力格差が高い」事を階層主義と呼ぶ。平等主義的な文化では、権威ある人間としてのオーラはチームの一員として振る舞う事が培われる事が多く、反対に階層主義的な文化では、周りと一線を画す事が培われる傾向にある。

 

⑤決断(合意志向⇔トップダウン式)
合意に基づく文化では、全員の意見を聞くため意思決定にかなり時間がかかる。しかし一度決断が下されると、実行はとても迅速だ。反対に、トップダウン式の文化では、意思決定権は個人に委ねられている。この種の文化では、決断は素早く、進行過程の初期に、1人の人間によって下される傾向にある。そして、決断は気軽に修正されたり変更されたりする。

 

⑥信頼(タスクベース⇔関係ベース)
信頼の指標でタスクベースに寄れば寄るほど、その文化出身の人は認知的信頼(頭からくる信頼)と感情的信頼(心からくる信頼)を分けて考える傾向にあり、仕事においては主に認知的信頼に頼る。

 

⑦見解の相違(対立型⇔対立回避型)
対立型の文化では、相手自身は傷つけずに相手の意見を攻撃するのがとても自然な事だ。対立回避型の社会では、その2つが密接に結びついている。

 

⑧スケジューリング(直線的な時間⇔柔軟な時間)
ある文化では明らかな遅刻と見なされるものが、別の文化では時間内として許容される事がある。

参考文献・紹介書籍