ムーンショット! -Moonshot!

発刊
2016年2月24日
ページ数
238ページ
読了目安
291分
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10億ドルビジネスのつくりかた
かつてスティーブ・ジョブズをアップルから追い出した男、ジョン・スカリーが、10億ドル規模のビジネスを創造するための方法を書いた本。

ムーンショット

ムーンショットとは、シリコンバレーの用語で「それに続くすべてをリセットしてしまう、ごく少数の大きなイノベーション」の事を言う。マイクロプロセッサ、アップルⅡ、Mac、ワールドワイド・ウェブ、iPhoneもムーンショットと言える。これらに共通しているのは「技術的な事に疎い一般の人々を賢くした」という事だ。

ムーンショットは、ビジネスを行う側から顧客の側に経済的な力を動かし、さらに賢い顧客を生み出した。今後、世界のあらゆる業界に変化をもたらす。ムーンショットを後押ししているのは、急激に進化した4つのデジタル技術「クラウド・コンピューティング、IoT、ビッグデータ、モバイル機器」である。

今は、10億ドル規模のビジネスを立ち上げるのに最適な時代だ。世の中を変える画期的なテクノロジーが手頃な価格で、誰でも利用できるようになったからである。

 

10億ドルビジネスのコンセプトをつくる

10億ドル規模のビジネスのコンセプトは、物理的にも資金的にも実現できる可能性があり、顧客の視点から見て革新的と思えるものでなければならない。

①10億ドル規模の問題を解決する
将来有望な新しいビジネスを立ち上げる時、その原点にはいつも顧客経験がある。多くの場合、不愉快な経験だ。

②「もっといい方法が必ずある」という姿勢を貫く
商品やサービスを改善するもっと良い方法を追求する姿勢は、目新しいものではないが、今でもビジネスを成功させる基礎となる。

③価格を破壊する
クラウド・サービスとデータ分析という技術的なツールを使う事で、期待以上の低価格で顧客の経験価値を高める事ができるようになってきている。

④抜きん出た顧客経験を提供する
「ストーリーを伝える」「顧客に極めて個人的な経験をもたらす」「自分は特別だと感じさせる」モノやサービスは成功する確率が高い。

 

革新的なビジネスをつくりあげる10原則

①変化を生み出す環境は整っている
今では、デジタル・テクノロジーの急速な進化により、多くの業界にチャンスがある。たくさんの情報を抱え、より賢くなった顧客が、ネットワーク効果を通じて大きな影響力を持つようになるからだ。

②生き残るためには適応する
進化には適応力が欠かせない。ネットワーク効果の表れとして規模を重視し、ネット・プロモーター・スコアといった基準を利用して顧客経験が好意的に受けとめられているか確認すると良い。

③業界内で最も解決が望まれる難しい顧客問題に照準を合わせる
有望なものではなく、可能性があるものに焦点を当てる。それから10倍良い解決策を想像する。間違っていても良いから想像力を働かせる。

④失敗を利用する方法を学ぶ

⑤常に最高の顧客の経験価値を追求する

⑥ビジネスを「最良の顧客経験をつくって、継続的にフィードバックを得るエンド・ツー・エンド・システム」と考える。
顧客からの情報をリアルタイムで循環させ、決断に役立てる。

⑦バスに正しい人材の乗せる
顧客の経験価値を傷つけるような人材を雇わない。

⑧コンセンサスによる経営はあり得ないと知る

⑨現実の世界の文脈を把握する
変化はかつてない速さで訪れるようになっている。今では12億人が携帯電話でブロードバンドを利用している。世界の新しいミドルクラスが、新興市場国を中心に数十億人増えており、将来のミドルクラスより控え目な支出が、安くて良い商品やサービスの需要を創出している。

⑩もっと良い方法が必ずあるという姿勢を貫く
バーは常に上がり続けている事を忘れてはいけない。厳しい姿勢と好奇心を保つ事ができる会社だけが、方向転換したり、将来必ず訪れる変化に対応できる。

 

適応型イノベーターが知っておきたい6項目

今の時代に起業家として成功するのは、適応型イノベーターだ。「高い志」と呼ぶ自身のミッションを胸に、やる気と好奇心に溢れた人達だ。今では、革新的なテクノロジーを手頃な価格で利用できる。適応型イノベーターは、自身の専門性とこうしたテクノロジーを組み合わせる事で、革新的なビジネスを今までにない規模で生み出すだろう。

リーダーであれば、起業家であろうと企業の幹部であろうと、適応型イノベーターのスキルを学ばなければならない。

 

①好奇心を持つ
楽観的でいよう。適応型イノベーターは可能性があるものに反応し、有望なものに集中する。ただの夢追い人で終わる事なく、実行しなければならない。

 

②アイデアを展開する
アイデアを発展させたい時には、専門用語に頼らず、アイデアの奥底にあるものを明らかにする必要がある。アイデアを展開するという事は、アイデアの中に飛び込む事を意味する。ひねってみたり、ひっくり返してみたりして、別の角度から眺めるのだ。潜れば潜るほど考えが深まる。

 

③学びを重ねる
毎日学んだ事と新しい情報を貼付けていく。大抵貼付ける1枚は、好奇心を刺激したほんの些細な事だ。

 

④もっと良い方法を見つけるまで諦めない
スティーブ・ジョブズは決して満足しなかった。常にバーを上げ続けた。自分だけではなく、周りの人間に対してもそうするように強要し「もっと良い方法がある。見つけるまで諦めるな」とマントラのように言い続けた。

 

⑤準備する
すべてに秀でる必要はないが、自分の守備範囲については技術を磨き、準備を怠らないようにする事だ。

 

⑥ビジネス・コンセプトの中心に顧客を置く
ビジネス・コンセプトは、専門知識を十分に活用して、その業界にはない顧客の経験価値をつくるものでなくてはならない。その上で、進化したテクノロジーを利用して破壊的な価格を実現する。