本は熟読しなくていい
大半の人は、本を1回読んだくらいで内容を完璧に記憶するなんてできない。いくら熟読しても、実際には忘れている事の方が多い。読むスピードと理解度・記憶は全く比例しない。
「頭に入ってこない事の方が多い」という事は、裏を返せば「忘れていないものの中に自分にとって大切な部分が凝縮されている」という事である。本から得られる価値のすべては、頭の片隅に残った一節に出会えた事にある。つまり、読書の本当の価値は、書かれている事の「100%を写しとる」事ではなく、価値を感じられるような「1%に出会う」事にある。
遅読家というのは、読書に対する「真面目さ」を捨て切れない人の事である。それは能力の有無ではなく、読書のとらえ方に由来する。大切なのは、その本を読んだ結果として、知識や発見のひとかけらが頭の中に残ること。「全部残さず取り込んでやろう」と欲張らない事である。
読書習慣をつくる方法
「本を読みたいのになかなか読めない」という人は、読書を「生活のリズム」の中に組み込む事に失敗している。読書を習慣にするためには、次の3つのステップがある。
①毎日・同じ時間に読むようにする
読書を習慣化する上で、時間帯を決めるのは決定的に重要。特に朝の時間がおすすめ。
②「速く読める本」を中心に選ぶ
全体を貫く「線」の要素が少なく、どこから読んでも相応の価値を見出せる「切れ目」が多い事は「速く読める本」の特徴。「速く読める本」9割、「速く読む必要がない本」1割の比率を意識する。次々にいろいろな本を読める環境をつくる事は「前に進んでいる感じ」を作り出し、モチベーションにつながる。
③「昨日とは違う本」をいつも読む
1冊の本に10日以上かかりきりになると、必ずどこかで飽きてくる。「速く読める本」を別途用意して、複数冊を同時に読む。
読書体験をストックする極意
息を吸う事と本を読む事はとても似ている。本をひたすら読み続ける事は、息を吸い続ける苦行と同じようなもの。息を吐くように「読む」だけでなく「書く」ようにすること。「自分の中に情報を書き写そう」という意識を捨ててしまい、「自分の外に書き出せばいい」というスタンスで本と向き合った方がいい。
①本の魅力だけを抽出する(1ライン・サンプリング)
本を読みながら短い引用をどんどん書きためていく。引用する時は、なるべく短く、数行に収まる分量にする。
②最高の1行を選び出す(1ライン・エッセンス)
本を読みながら引用リストをつくり、読了した後に再びリストに目を通したら、その中から「最も素晴らしいと思った引用」を1つだけ選ぶ。「価値ある1行」を探しながら読むようになると、そこには冒険がある。読書という行動のどこかにささやかな楽しみを見つける事は大切である。
③感動できた1行に感想を書く(1ライン・レビュー)
「1ライン・エッセンス」について「なぜこの1行に感動したのか」という観点で、ひと口メモを書く。後から見た時に「読んだ時の気持ち」を呼び起こす事ができる。
④読書の足跡を自己評定する
12冊分の1ライン・レビューがたまったら、定期的に引用と感想を読み返す。自分の読書傾向を見極めると「次に読むべき本」の方向性も見えてくるし、自分の考え方も再確認できる。さらに12冊の中からベストだと言える1冊を選ぶ。読書を習慣化する上で重要なのは、自分が本を読んで味わった感動を忘れないようにする事である。
熟読しない
すべてを頭に叩き込む事を前提とした読書ほどムダなものはない。熟読して覚えたつもりになっている多くは、時間の経過と共に記憶から消え去っていく。
読書の本当の価値は、書かれている事の「100%を写し取る」事ではなく、価値を感じられるような「1%に出会う」事にある。
「熟読の呪縛」から抜け出すこと。「全部残さず取り込んでやろう」と欲張らないこと。ささっとその本を自分の頭の中に「流し込む」事が重要である。
読み飛ばしていい3つの目印
本を読み飛ばして速く読む際に重要なポイントは、小見出しを見て「読むべきパートであるか否か」を判断するだけである。読み飛ばしていい基本的な目印は次の3つ。
①商品差別化のために挿入された「著者の自分語り」
②理論や主張を裏付ける「個別の事例・体験談」
③期待・危機を煽る「過剰すぎる表現」
読書スピードを高める4つのステップ
①「はじめに・目次」をよく読む②最初と最後の5行だけ読む
③キーワードを決めて読む
④2つ以上の読書リズムで読む