リソースの集中と生産性の向上がカギ
インターネットを活用したマーケティングでは、強者と弱者が同じ市場で戦う可能性がある。強者と弱者、両方がインターネットとスマホを活用することで、同じように日本中のユーザーに情報発信や商品紹介ができる環境が出現した。
ランチェスター戦略では、弱者は弱者なりの戦略・戦術をもって、戦いに臨むことで、強者を打ち負かすことができることを説いている。ランチェスター戦略の第二法則をネットショップのマーケティング公式にすると以下のようになる。
販売力 = リソースの2乗 × (生産性を高めるための)効率化
ネットショップの運営では、リソースの一点集中と、効率化が重要になる。リソースについては、少額ずついろんな媒体に広告出稿するのが一番効率が悪い。大手の競合はリソースも潤沢で、多くの商品に均等に広告を出稿する。そのため弱者が、同じように広告予算を分散しても販売力は上がらない。
ネットショップ運営は、規模の経済が効きにくく、売上が上がっても固定費も上がるという点で、生産性を高めることが難しい。そのため生産性を高めるためには、受注業務や商品の在庫を管理するシステムを導入し、それらの業務を少人数で実施することが必要になる。固定費がかさみやすいコールセンター部門や受注部門、検品からピッキング、梱包、出荷、商品や梱包材の在庫等をアウトソーシングする方法も検討することが大切である。
ランチェスター戦略6つの視点
①一点集中
特定の商品の露出を高めて販売していき、特定の商品の売上を上げていくのが最も月商や、年商を押し上げる効果が高い。そのために鍵となるのが「集客商品と本命商品」という概念である。
集客商品とは購買確率が高く、ミドルレンジ(月間平均検索数3000〜5000回程度)以上の集客力を持つターゲットキーワードを内包している商品、本命商品とは一番売りたい商品で集客キーワードを持たない商品(2回目に購入してもらいたい商品、主にオリジナルブランド等の商品)のこと。
ネットショップ運営の場合、市場の絞り込みには、キーワードの役割が極めて重要である。中でもユーザーの検索意図がトランザクション(購入・問い合わせ・予約)であるキーワードを判断する必要がある。
②差別化
キュレーションマーケティングという観点で、情報の再編集、再構築によって商品価値を生み出す。バリューチェーン分析をベースに、自社の強みをどう活かして行くのか、弱みをどう克服していくのかを考える。
③一騎打ち
アマゾンや楽天のような「総合店」に対して「専門店」で勝負する。専門性で勝負することで、セッション数や商品数ではない部分での勝負となる。そのための評価基準として「E-A-T」(専門性、権威性、信頼性)を重視した店舗設計を行う。「E-A-T」を訴求すれば、検索結果の上位表示を実現できる。
④陽動戦
自社のネットショップの成果や成功要因を競合他社に悟られないようにする。モールに出店すると、価格比較が容易であり、ランキング機能があるので、競合他社間で何が売れたのかという情報が共有されやすい。
そのため、アマゾン、楽天から距離を置き、専門性を中心とした「E-A-T」を重視した店舗設計を行っていく。専門店化することで強者が模倣困難なビジネスモデルにする。
⑤局地戦
日本国中に展開できるインターネットマーケティングをあえて地域限定に露出することで成果を上げる。的確な情報を、ピンポイントのエリアに表示させる。リスティング広告やディスプレイ広告は、エリアを絞り込めるだけではなく、時間帯も絞り込むことができる。チューニングを行い、効果的に広告表示させることでCPA(顧客獲得単価)を調整する。
⑥接近戦
接近戦には、2つのポイントがある。ここでは、自分と店舗のブランド化、リアルでのコア・ユーザーとの徹底的な「接近戦」を行う。
- リスト集客(メールマガジン、LINE@、SNSのフォロワー)
- 特別な場所の小売店による各種メディア露出、歴史監修によるブランド化、それらの結果としてイベント集客によるリストの増加